■「宗教2世」?
言葉が現実を創り出していくと言われるように、言葉はとても大切です。
マスコミや権力者、あるいは権威筋が使う言葉に、私は時々大きな違和感を持つことがあります。
たとえば、いまマスコミで使われている「宗教2世」にはどうしてもなじめません。
そもそも旧統一教会が「宗教団体」ということ自体にも違和感がありますが、その信者の元で育てられ自らも信者体験をした人たちを「宗教2世」というのでしょうか。
家族の役割のひとつが、子育てだとしたら、子どもは必ず親の影響を受けます。
生物的に育てるだけではなく、考えや生き方も、親から大きな影響を受けることは避けがたいでしょう。
湯島のサロンでも時々話題になりますが、親の影響を受けて生きにくくなってしまった人は少なくありません。もちろんその逆もあるのですが、私自身の反省も含めて、親は自らの生き方は自分だけでの問題ではないことをもっと意識するべきでしょう。
「宗教」をどう捉えるかにもよりますが、宗教はそもそも個人単位というよりも人のつながりの中で生まれてくるようにも思います。
そう考えると「宗教2世」という表現にはどうしても違和感があります。
問題は、「宗教」にあるのでしょうか。
私にはむしろ、そうした問題を起こす親たちが宗教をもたなかったことにこそ問題があるような気がします。また誤解されそうな表現ですが。
というわけで、私は「宗教2世」という言葉に大きな差別意識を感じます。というよりも、否定的なイメージを持ってしまうのです。これが新しい差別感を生み出さなければいいのですが。
「宗教2世」という言葉を使う人に問いたいのは、「宗教」って何ですか、ということです。
それにしても、問題が起こるといとも簡単にカテゴライズして、命名してしまう風潮には恐ろしさを感じます。言葉を生み出すのは、慎重でなければいけません。
先日発表された流行語大賞などというバカげた、というか俗悪で危険な風潮にもいつも極めて不快感を持ってしまいます。
言葉遊びには大切な意味がありますが、言葉を無責任におもちゃにしてはいけません。
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