■湯島サロン「NPOで(ボランタリーに)〈働く〉ということ」報告
〈働く〉をテーマにしたサロンの3回目は、長年ボランティア活動をしている島村八重子さん(全国マイケアプラン・ネットワーク)と須田正子さん(よりあい*ええげえし)のおふたりに話題提供をお願いしました。
おふたりとも、私には〈働く〉を楽しんでいるように思えます。長年のお付き合いですが、その働きぶりはますます広がり、その人生もますます豊かになっているような気がします。おふたりにとっては、生きることと働くことが見事に重なっている、そんな気がいつもしています。
しかし、おふたりとも、その〈働く〉活動は金銭的なものを目的にはしていません。「働く=お金を稼ぐ」と考える人も少なくないと思いますが、おふたりの働きへの動機や意欲は金銭とは無縁のようです。
では、そのおふたりにとって〈働く〉とは何か。
働くとは「社会に働きかけること」と島村さんは言います。働きかけるとはどういうことか、さらに島村さんは「社会に自分の力を還元すること」と言い、同時に「社会から自分の力を高めてもらうこと」とも話してくれました。
須田さんは、働くとは「自分が育つこと」だと言います。そしてご自身の体験からこんな話をしてくれました。義父の介護を通して、義父から学んだことがたくさんあると話してくれたうえで、世話になること、死んでいくことを見せることも「働く」ことではないかと言うのです。島村さんも同じように考えています。
老親の介護は大変だとよく言われますが、おふたりにとっては、大変ではあれどそれ以上に積極的な価値ある活動だったわけです、おふたりが、いまのような生き方、働き方になった契機も、義父の介護にあったというのです。つまり、義父が〈働いてくれた〉おかげとも言えるでしょう。
私も、社会とのかかわりのなかで〈働く〉を考えていますが、おふたりの〈働く〉観をつなげて考えると、自分と社会(他者)とのかかわりのなかで、自分にも社会(他者)にも価値が生まれ育っていく、そんなイメージが持てます。働くとは単なる時間と金銭の交換ではないのです。誰もが働けますし、お金を稼いでいても働いていないこともある。いわゆる「ブルシットジョブ(役に立たない無駄な仕事)」は、いかに報酬が高価だとしても、私には〈働く〉ことではありません。
おふたりの考えは、私の考えている〈働く〉と重なっています。つまり、このテーマのサロンの趣旨を見事に象徴してくれているように思います。
ちなみにおふたりとも、組織の雇用労働で働いていたこともあるのですが、そこで得たものもとても大きかったと言います。島村さんはそこで、働くための知恵や技を身につけたと言います。組織で働くことの意味は大きい。
島村さんはこんな話もしてくれました。
主婦の時は、島村の妻、子どもたちの母、近隣にとっては**町のあの家に住んでいる人、という、固有名詞のない存在でした。それが、組織やPTAで役員になることで、
誰かの〇〇ではなく名前を持った存在になり、行動半径も劇的に広がった。そのおかげで、さまざまな人との出会いのが増え、その重なりのおかげで人生がますます豊かになってきた。それで今の自分がある。
しかし同時に、組織の持つ限界やデメリット、組織のなかで構築される上下関係や管理指向にも気づいたようです。そのためかどうかわかりませんが、おふたりはいま、法人化されていないゆるやかな任意団体のグループを拠点にして働いていますが、グループが法人格を持っていないことで困ったことはないと言います。おふたりとも、制度としての組織ではなく、実質的な組織(仲間)を時間をかけて育ててきているのでしょう。
家事労働に関しても話題になりました。
専業主婦の家事仕事は、金銭評価されないことが問題になりますが、どうも問題の本質は違うところにあるのではないかということに気づかされました。
他にもさまざまな話題がでました。
おふたりの活動の話もとても示唆に富むものでした。全国マイケアプラン・ネットワークの活動もよりあい*ええげえしの活動もそれ自身が実に興味ある活動です、関心のある人はそれぞれのサイトをご覧ください。
全国マイケアプラン・ネットワーク
http://www.mycareplan-net.com/
よりあい*ええげえし
https://eegeesi.com/
改めて〈働く〉とは何かを考えさせられるサロンでした。
参加者が少なかったのが、実に残念です。もう一度、同じテーマに挑戦したいと思っています。
どなたか話題提供してくれる人を探しています。
お話を聞きながら、最近、福祉関係のサロンをあまり開いていないことにも気づきました。コロナに対する心理的免疫もかなりできてきたようなので、またコムケアサロンを再開しようと思います。
話してもいいという方がいたら、ぜひご連絡ください。
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