■「嘘つきは政治家のはじまり」にしてはいけません
統一教会との関係が問題になっている細田衆院議長が、24日に行われた与野党の代表者への説明会の中で、2019年に旧統一教会の友好団体が開催した会合に出席し「安倍首相(当時)に早速報告したい」と挨拶したことについて、「この団体が安倍元首相に近い団体というのは知っていたので、リップサービスとして言った。ただ安倍元首相には報告していない」と述べたそうです。
多くの新聞が、そのことをさらっと流しているのが、とても気になります。とても聞き流せるような話ではない。しかも発言者は立法の長たる衆議院議長です。
リップサービス。要するに嘘をついたということです。リップサービスなどという表現に騙されてはいけない。リップサービスは嘘とは違います。言葉は正確に使わなければいけません。まあそのこと自体も、いまや軽んじられていますが。
単なる私人なら嘘も時には許されるかもしれませんが、公人としての政治家は嘘をついてはいけません。残念ながら政治家とは嘘をつくものだという「常識」が広がっていますが、責任ある人が嘘をついたら社会は成り立たなくなります。どんな犯罪さえも否定できなくなる。「嘘つきは泥棒のはじまり」という教えがあるように、犯罪のほとんどは、嘘から始まりますから。
いまは「嘘つきは政治家のはじまり」と言い換えたほうがいいかもしれません。嘘にまみれた政治家が社会を統治していると思えば、最近の犯罪の広がりや経済の劣化もまた、「時代の流れ」かと諦めてしまいたくもなります。
しかし、一昔前の政治や経済では嘘は現に戒められていた。その基本になったのは、「信頼」であり「誠実」だったと思っています。
でもそれが今や失われようとしている。
いや失われてしまった。
嘘が見逃される風潮の中では、嘘つきが主流になっていく。
そのうちに、学校で「嘘のつき方を教えるようになるかもしれません。
そんな悪い冗談さえ、なんだか真実味をもってきてしまう。
その流れに巻き込まれないようにしないといけません。
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