■月収5万円でも豊かに暮らせる社会
一昨日会った友人から聞いたもう一つのうれしい話です。
いささかプライバシーにかかわる話ですが、まあいいでしょう。
彼女は昨年、伴侶を見送りました。
現在の定期的な金銭収入は年金ですが、月額5万円ほどらしいです。
私の3分の1です。
ところが、私と会うと、私の方がお金持ちだからと言ってご馳走してくれることもある。
それに私と会う時には必ず何かを持ってきてくれます。買ったものではありませんが。
私はそれに対してお返しをした記憶がありません。
まあ、お互いそんなことは気にしません。
彼女は5万円もあれば、お金が余ってしまうというのです。
私の場合は年金15万円弱ですが、ある事情があって、実際の可処分所得は10万円弱です。固定資産税の負担時期など、年に何回か、厳しい時はありますが、でも自宅ですし、最近はお金のかかる仕事はしていませんので(地方にも出かけられませんが)、なんとかやれています。でもまだお金が余るところまではいっていません。
でも、5万円の収入でも彼女はお金が余るというのです。
彼女のことだからあまったら誰かに回して役立てているのでしょう。
そして実に豊かな暮らしをしています。
私よりもはるかに行動範囲は広く、海外も含めてよく出かけています。
5万円でどうしてと思われるかもしれませんが、前「牛とひよこの話」を思い出してもらえれば、お金などはさして問題ではないことがわかってもらえるでしょう。
お金がなくても、きちんと生きていれば、お金が必要になるとどうにかなるものなのです。お金は「天下のまわりもの」ですから。
5万円のベーシックインカムならば、今の財政状態でも実現できるはずです。
ベーシックインカムは現実性のない政策だという人もいますが、国民みんながその気になれば簡単に実現できるのです。
その気になるということは、みんなが生き方を変えるということです。
月収5万円で幸せに生きる。彼女のような生き方です。
日本には空き家が溢れるほどありますし、廃棄している食材もたくさんある。エネルギーの浪費は目に余るものがありますが、そうした社会のあり方を少し組み替えれば、そして多くの人がその気になれば、できるはずです。
いや今のような忙しく労働する生き方を変えるだけで金銭出費はかなり抑えられるでしょう。
でもそうなると、いわゆる富裕族の人たちは困るでしょう。
彼らの生きがいは、貧困者の存在なのですから。貧困者がいなければ富裕者は生まれないのです。彼らのことも少しは考えてやらなければいけません。
しかし、金銭的貧困者が、豊かな暮らしをするようになれば、たぶん世界は平和になるでしょう。富裕層が羨むような豊かな生活を実現すればいい。
だとしたら、まずは自らが金銭的貧困者になることです。
それはそう難しいことではないでしょう。ただ、いまの社会では金銭なしに生き続けることは簡単なことではない。それなりの準備がいる。
私は20年かけてようやくここまで来ましたが、残念ながらこれまでの生き方のつけもあって、なかなか彼女のようにはなれません。まだ金銭の呪縛から自由にはなれていません。自分が満足できる仕事もできない。時にお金が欲しくなる。
困ったものです。
でも幸いなことに、私も彼女と同じように、それなりに豊かな暮らしをしています。
人並みに、悩みもほどほどにありますし、健全な老化も進んでいる。それもまた「豊かな生き方」の条件だと思っています。
「バブルな生活」をしていたころが、時に懐かしくなってしまうような未練がましさも残っていますが、まあ何とか幸せでもある。
生き方を変えれば、誰でも幸せになれる可能性がある。
格差社会と言われていますが、今はそんな社会でもあるような気がします。
バブル時代を生きてきた私にもある程度できるのですから、いまの若い世代ならもっと自然にできるでしょう。
金銭依存から離れる人が増えれば、社会はもっと豊かになる。
5万円で十分だと言い切る彼女の話を聞いていて、無性にうれしい気持ちになりました。
今までは信頼だけでしたが、ちょっと彼女に尊敬の念を持ちました。
もちろん本人にはそんなことは絶対に言いませんが。
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