■湯島サロン「『日本政治の解体新書』を出版して」報告
久しぶりのリンカーンクラブ代表武田文彦さんのサロンは10人を超す参加者で、話し合いも(反論異論もあって)盛り上がり、武田さんが持ってきた「高価」な新著(4000円!)も完売でした。さらに武田さんの呼びかけによって、リンカーンクラブ活動再開に向けての定例会が2月から開催されることになりました。
サロンの後、武田さんから、これからの活動に向けて大きな力をもらったと参加者に謝意を伝えてほしいと連絡がありました。参加者のエール(反対論も含めてです)のおかげで、民主国家に向けての武田さんの「熱量」はさらに高まったようです。
武田さんは、「民主主義的政治は政治家ではなく国民が決める政治」でなければならないという、いつもの話から始めました。
しかし政治を変えていくためには、目指すべき国のあり方を具体的に示すことも必要だと考えて、今回の著書では理念に加えて具体的政策を書いたら1000頁を超す大著になってしまったのだそうです。それは読んでもらうとして、と言って、サロンでは基本的に大事な3点だけ話してくれました。
まず第1は、「誰かが決めてしまう政治ではなく、主権者である国民みんなで決める政治の実現」です。一挙には難しくても、現行の選挙制度を少し変えるだけでもそうした政治には近づけるはずだと武田さんは言います。
次に、国のあり方に関して、2点だけ話しました。「目標としての平和国家」と「食料自給と資源(エネルギー)の安定確保の重視」です。その根底には、当然、主権国家としての対米従属からの自立が含意されています。
具体的な政策や国のあり方になると、さまざまな意見があるでしょう。本書での武田さんの提案もその一つですから、当然賛否が分かれるでしょう。しかし、そういう異論反論をぶつけ合いながら、誰もが政治決定に関われる政治を目指したいというのが、武田さんの思いなのです。
たとえば、今回もいささか極端の事例として核兵器保有の是非が話題に出されましたが、最初から核兵器絶対反対というのではなく、賛否いずれの人も相手の意見に耳を傾けて一緒に考えようというのが、「みんなで決める政治」なのです。
そのためには、少なくとも重要な政治課題については直接主権者の手で決められるという選択肢がなければならないというのです。
みんなでは決められない問題もあるのではないかという議論もありましたが、武田さんの出発点は、あくまでも「みんなで決める政治」です。
すべての人が同じ一票をもつ「みんなで決める政治」が本当にいいのか、という問いも参加者から出ました。
たしかに、「みんなで決める政治」、つまり民主主義に対する肯定的な評価が広がったのは、たかだかこの2世紀くらいの話です。武田さんはみんなが決める政治ならば「戦争」は起きにくいだろうと言いますが、9.11直後のアメリカや敗戦直前の日本でもし国民投票を行ったら多くの人は戦争を選んだかもしれません。現に今もそういう雰囲気がないとは言えません。
「みんなで決める政治」が「みんなにとって善い結果」につながる保証はありません。しかし、なにが善いのかどうかを決めるのは至難のことです。みんなで決めた結果がみんなにとって悪い結果にならないようにすることは当然のことですが、そうしたことも踏まえて、善い悪いもみんなで決めようというのが武田さんの思いです。
それこそが、国民主権国家の民主政治のあり方だというわけです。
ちなみに今回の武田さんの新著は、「近代日本は実に高低差の激しい2つの革命を迎えることになった」という文章で始まります。2つの革命とは明治維新と敗戦です。そして、明治維新の77年後に敗戦、奇しくも昨年は敗戦から77年。武田さんは、そこから今こそ「第三の革命」が起きる時期だと考えているのです。
その革命を、主権者の自覚と気づきに基づいた選挙という手段を通して起こそうというのが本書の主張です。そして自立性の高い国家体制の建設を目指す。その革命を、選挙、民主主義、平和、科学の頭文字をとって、武田さんは、E(DPS)革命と呼びます。
詳しくは武田さんの本をお読みください。
ちなみに、武田さんの新著の帯にはこう書かれています。
敗戦後今日までの自由民主党政治を分析すれば、日本国憲法に対する殺意、治安維持法への回帰希望、森友学園と加計学園に見る政治の私物化、旧統一教会との根深い癒着体質、2世と芸能人の跋扈する国会議員団、ただ紙幣を印刷するだけの紙幣印刷財政、「アメリカ様お助けくださいませぇ」条約に依存しきる安全保障策等々、こんな政治的状況がいつまでも続いたら、日本はどうなるのか。そしてどうすればいいのかを考えたのが本書である。
武田さんの熱い思いのこもった話はなかなかうまく伝えられませんが、もし今の日本の政治状況を変えたいという武田さんの思いに関心を持ってもらえたら、是非リンカーンクラブにご入会下さい。
入会してくださった人たちを中心に、武田さんは、これから毎月、「日本政治の解体新書」を題材にして、話し合い、実際の活動に移していく場を定期的に開催する予定です。
また改めてご案内しますが、第1回は2月18日(土曜日)の午後を予定しているそうです。いまの政治状況に満足していない方はもちろん、政治を変えたいと思っている方はぜひご参加ください。「みんなで決める政治」を実現するためには、みんながその気にならなければいけません。
またリンカーンクラブや新著に関する問い合わせは、リンカーンクラブ専用電話(080-2237-3940)で武田さんにご照会ください。
なお、武田さんの新著『日本政治の解体新書』(5500円)は楽天でも購入できますが、湯島にも置いています。湯島では4000円で購入できますので、ご希望の方は湯島に来た時にお申し出ください。売上金はリンカーンクラブの活動資金になりますので。
https://books.rakuten.co.jp/rb/17389219/
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