■湯島サロン「看取られながら人生を終わりたくないですか」のお誘い
昨年末放映されたテレビドラマ「ザ・トラベルナース」は、現在の医療制度のあり方への問題提起を含意する示唆に富むドラマでした。ドラマが始まったころに、突然の入院を体験した私としては、毎回、深くうなずきながら観ていました。
その最終回に、ハッとするシーンがありました。
何時も実に明るく、自らの死にも悟りきっていると思えるナース(中井貴一さんが魅力的に演じていました)が、死を直前に、自分が陰ながら育ててきたナースに本音を言うのです。「一人で死ぬは怖い、あなたに看取られたい」、と。
まあドラマの筋から言えば、これは極めて不正確な紹介なのですが、それはともかく、私はこの言葉にハッとしたのです。
私は、死に関しては比較的達観しています。
死は怖くもないし、むしろある意味では歓迎でもあるのですが、この言葉に、私もまた一人で死ぬのは嫌だなと気づいたのです。
私は両親と妻を見送っていますが、いつもそこに家族みんながいました。
いずれも私は看取ることができました。でも私の場合はどうでしょうか。
伴侶がいなくなって娘たちもそれぞれの生活を持っている今、私を看取ってくれる人が必ずいるとは言えません。これまで、「看取ること」はよく考えましたが、「看取られること」は考えたことがなかったのです。
最近、私の周辺にも独り暮らしの友人が増えてきました。
一昨年、そうした友人の最後に付き合いましたが、看取ることはできませんでした。
前日、彼のところに行き、とてもいい時間を過ごし、彼が笑顔で元気そうになったので、そのまま私は帰宅したのですが、翌朝、彼は逝ってしまいました。
前日の笑顔を思いだすと悔いはないのですが、でも一人で行くのはどういう気持ちだったのか。
よく人は死ぬときは誰でも「独り」だと言いますが、私はその言葉を全く受け入れられません。人はいつでも「独り」ではないというのが私の信念です。いつも誰かと共に生きている以上、死ぬときだっていつも誰かと一緒です。しかし、その誰かが死の間際に手を握ってくれるとは限らない。
そう思うと、やはりドラマの中井貴一さん演ずる静さんの本音がわかる気がします。
長々と書いてしまいましたが、そんなわけで、「善く生きる」をテーマにしたサロンの3回目は、「孤独死」をテーマに取り上げます。
長年この問題に取り組んでいる北原千香子さんに、無理を言って、最初の問題提起をお願いし、あとはみんなで自由に話し合えればと思います。
どうしたら、最後にだれかに手を握ってもらえるだろうか。
いつも以上に重い話ですが、できればそれを明るく軽やかに話せないか。そう思っています。
〇日時:2023年2月25日(土曜日)午後2時~4時
〇場所:湯島コンセプトワークショップ
http://cws.c.ooco.jp/cws-map.pdf
〇テーマ:「看取られながら人生を終わりたくないですか」
〇話題提供者:北原千香子さん(無縁化防止団体OMUSUBI代表)
〇会費:500円
〇参加申込先:qzy00757@nifty.com(佐藤)
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