■You tubeを金儲けの手段にしてほしくありません
回転寿司の店舗での横取りやワサビ乗せの動画が話題になっています。
You tubeでの閲覧者を増やすために、こうした動画づくりに取り組むyou tuberが増えているようです。
こういう事件がなぜなくならないのか、どうしたら減らせるのか、は簡単です。でもだれもとめようとしませんし、むしろ増やそうという動きの方が多いような気もします。その根底にあるのは、こうした行為の深刻さへの認識が足りないからだと思います。
犯罪と言われる行為の評価基準に関しては、私と日本の司法界とでは全く違うようなのですが、私自身は時には「ある種の殺人」(例えば介護疲れややむにやまれずの結果)よりもこうした行為の方が社会を壊す意味では重罪だと思っています。
ですから、たとえば今回の横取りやワサビ乗せ行為者は、少なくとも1年以上の実刑としての懲役刑と罰金刑を重複で課すべきかと思っています。無期懲役刑もあってもいいと思うくらいです。なぜなら、被害は社会そのものを壊すことであり、特定の人たちに留まらないからです。
まあ、あまり賛成は得られないでしょうが。
幸いに今回は、被害を受けた会社(はま寿司)側が、当事者からの謝罪で許すことなく、訴えると言っています。そう決断したはま寿司に拍手したいです。
テレビでも映像が出ていますが、顔が隠されています。これもいつも不満で、本人がyou tubeで顔を出しているのであれば、テレビでも顔を出すべきです。無人販売所からお金も払わずに商品を持ち出す映像も時々テレビで流れますが、この場合も顔を出しません。そうしたマスコミの「過剰な気づかい」にもいつも違和感を持ちます。
まあそれはそれとして、みんななぜ「加害者」にこんなに気を遣うのか、私には理解できません。もしかして加害者の仲間なのでしょうか。
話がずれました。戻します。
こうした行為を過熱させる原因の一つは、you tubeへのアクセス数が多ければお金が入るからです。たしかにネットのおかげで、すべての人が情報発信者になれる時代です。それはとてもいいことだと思いますが、それを金儲けの手段にするのは問題が多すぎます。
近代社会の産業は「問題解決」型であるがゆえに、市場を拡大するためには問題を創り出せばいいという構造になっていますが、私はそれを「産業のジレンマ」と呼んでいます。ドラッカーがいったように、顧客を創造すれば、つまり必要もない人に必要性を感じさせれば、経済はいくらでも成長するのです。私はそんなことは「経営」だなどとはどうしても思えないのですが、you tubeは顧客創造の手段としては実に好都合なツールのような気がします。でもそれでいいのか。そろそろドラッカーの弊害に気づくべきではないのか。
また書きすぎました。
しかし、今回の横取り・ワサビ乗せ動画の投稿者のような人は、社会を壊す存在です。千丈の堤も蟻の一穴より崩れることを忘れてはいけません。そういう人が生まれる素地を広げているYou tubeの課金システムにはどうしても批判的になってしまいます。
もちろんYou tubeそのものを批判しているのではありません。社会を豊かにし、安心したものにしていくために活動しているYou tuberも決して少なくありませんから。
私が批判的なのは、安直にお金を稼ぐ仕組みと生き方です。
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