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2023/03/03

■第21回益田サロン「ウイルスを改めてもう少し理解しよう」報告

細菌学者の益田昭吾さんの21回目のサロンは、「ウイルスを改めてもう少し理解しよう」をテーマにしてもらいました。
益田さんは、ウイルスが生物か生物ではないのかという、参加者の問いに応じて、「生物とは何か」から話を始めてくれました。

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益田さんは、生物の本質は「復元性」ではないか、と言います。
つまり、自分で元に戻る性質がある。
ホメオスタシス(恒常性維持)とも言われていますが、さらに難しい言葉を使えば、エントロピー(無秩序)増大という自然の摂理に抗って、エントロピーを減少させていく性質がある。

元に戻るということは、益田サロンでよく話題になる「自己」があるということでもあります。戻るべき自己があるのが生物。
さらにまた、自己があるということは、自己ではない存在があるわけで、それを「環境」と言ってもいいでしょう。つまり、生物とは環境との関係の中で、戻るべき自己を持っている存在と言ってもいい。

あるいは、環境との間で、エントロピーをやりとりしながら、環境と共に変化しているという言い方もできそうです。生物は環境から隔離された存在でありながらも、両者は双方向的に影響し合いながら存在している。益田サロンでよく話題になるように、「環境あっての生物」「生物あっての環境」というわけです。

さらに益田さんは、復元するためには、失われたものを補うという意味で「増大性」がなければいけないと言います。
増大性もまた、生物の本質のひとつというわけですが、話を聞いていて、増大が生み出す「余剰」が、「変異」とか「進化」、さらには「成長」につながるのかと思ったのですが、そこまでの含意はないと言われました。先走らずに、基本をしっかりと考えることが大切なのですが、劣等生の私はいつも先走ったり、わかったような擬人化をしたりして注意されています。困ったものです。しかし、そうした「逸脱」が許されるのも、益田サロンの面白さです。

ちなみに、教科書的に生物の本質はと言えば、「自己増殖性」「代謝」「独立性」というような言い方がされますが、益田サロンではそういう教科書的な言葉での理解ではなく、しっかりと自分の言葉で考えて、理解することを促されるのです。

そこからいろいろな話へと広がりましたが、要するにウイルスは復元性を持つ生物と考えてもいいというように私は受け止めました。
もっとも私は、ウイルスが生物であろうとなかろうと、どうでもよくて、ただ関心事は、ウイルスとどう付き合えばいいかに関心があるのですが。ただ、生物と考えるかどうかで、付き合い方が決まってくるとしたら、それは重要な問題です。

ウイルスは粒子という表現がなされるように、細胞ではなく、増殖のためには宿主細胞が必要なのだそうです。宿主から切り離されたウイルスは、いわば芽胞(冬眠?)状態になり、増殖もしなければ、悪さもしない存在になっているそうです。

ではウイルスはいつ動き出すのか。それは細菌細胞を宿主としたときであり、その環境となった宿主細胞の状況がウイルスにとって「あやうくなった」時のようです。
このあたりの私の理解はいささか危ないので不正確かもしれません。

さらに、宿主である細菌を食べるバクテリアファージの話や帯状疱疹の増加の話、あるいはrDNAウイルスは定着しにくいなどといった最近のコロナ・ワクチンの話など、いろいろと話は広がりましたが、いつものように、益田さんは話したいことが話せずに終わったかもしれません。

ウイルスはよく言われるように人類の進化に大きな貢献をしてくれています。
最後にそういう話も出ました。
最近はコロナウイルスのせいで、ウイルス悪者観が社会を覆っていて、ゼロコロナなどと騒がれていますが、私はどうもその風潮がなじめません。

すべての生物はつながっていると考える私は、最近の新型コロナウイルスを全否定することは、ブーメラン効果で自らにも戻ってくるような気がして気が重いです。ウイルスもまた、人間にとっての環境ならば、全否定はすべきではないと思えてしまうのです。
まあそんな話から、ウクライナやプーチンの話にまで飛びそうにもなりましたが、ウイルスが教えてくれることはまだまだたくさんありそうです。

益田さんから、そんなことを話したつもりはないと叱られそうな報告になってしまいましたが、お許し下さい。
次回は、また益田サロンの原点に戻って、「生物と環境」をテーマにすることになりました。もちろん今回未消化だったウイルスの話は、引き続き話題にしていき、新型コロナウイルスとの付き合い方も話題にしていきたいと思います。
コロナやウイルスに関する疑問点は、毎回のテーマに関係なく、出してもらってもいいと思います。

次回の日程が決まり次第、また案内させてもらいます。

 

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