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2023/04/29

■湯島サロン「中国に存在する『日本人公墓』を知ってますか?」報告

「中国の人たちのことをもっと知ろう」という趣旨のサロンの第1回目は、方正友好交流の会理事長の大類善啓さんに、中国ハルピン市郊外の方正県にある『日本人公墓』の話をしていただきました。

大類さんは、なぜ自分が『日本人公墓』に関わることになったのかの話から始めました。その話も、とても興味深いものがあり、大類さんならではの興味深い話でした。
そこから方正の日本人公墓の話にはいり、そういう活動を通して大類さんが感じていることや「友好」についての思いなどを話してくださいました。

旧満州の「開拓民」たちの死者が眠る公墓が、なぜ中国の方正の地にあるのか。
そしてなぜ、加害者である日本人の墓がこんなに立派につくられたのか。
さらに、いまなお日本人との交流が続いているのはなぜか。

大類さんは、それをご自分の体験を踏まえながら、話してくれました。
大類さんたちの活動が契機になって日本人公募の存在を知った記録映画作家の羽田澄子さんが制作した「鳴呼 満蒙開拓団」という映画、そしてそこから生まれた意外なエピソードの話も出ました。

日本人公墓が生まれた経緯に関する部分は大類さんの了解を得たので下記にアップします。
https://youtu.be/Gw3jVEq4rE4
なお、全体の動画記録もありますので、関心のある方はお問い合わせください。
大類善啓さんが理事長を務める方正友好交流の会のサイトにも詳しい経緯やそれにまつわる話も紹介されていますので、ぜひご覧ください。http://www.houmasa.com/

公募が建立された背景には、中国政府の国家の枠を超えた「国際主義」の精神がありました。大類さんは当時の周恩来首相が「開拓民といえども日本軍団主義の犠牲者だ。丁重に葬りなさい」と言って公募建立を許可したと話してくれました。
しかし、その後、中国政府からはそうした「国際主義」の精神は失われ、「人民日報」からも「国際主義」という言葉が消え、「愛国主義」という言葉がそれに代わってきたと言います。

大類さんがいま感じているのは、国家を前提にした国際主義には限界があるということです。大類さんは、人類人主義というザメンホフ(エスペラント語の創案者)の思想である「我々は人類の一員である」という考えに共感して、ご自分でも「エスペラント」という本をお書きになっています。そして、国際主義より人類人主義をもっと広めたいという話もしてくれました。

「友好」という言葉も、「国家間の友好関係」か「個人同士の友好関係」かによって、まったく違うものになります。旧満州の「開拓民」の歴史は、そのことを生々しく教えてくれます。

大類さんは、日本作家代表団が1960年に訪中した時の陳毅副総理とのやりとりも紹介してくれました。
団長の野間宏が「過去のことは過ぎ去ったことにしようと陳毅副総理は言われるが、我々は責任を負わないといけない。過去を忘れてはいけないし、水に流すことはできません」と言うと、陳毅副総理は即座に「そう言われることは素晴らしい。我々は過去のことは過ぎ去ったものにしようと言い、あなたがたは日本人として過去を忘れてはいけないと言われる。そうであるなら両国人民は本当の友好を実現することができるでしょう。逆に、我々が日本をずっと恨み、日本人が中国を傷つけたことをきれいさっぱり忘れてしまうようなことになったら、中日両国はいつまでたっても友好関係を実現することはできないでしょう」と返したそうです。

これこそ「友好関係」を育てていく基本だと思いますが、残念ながら今の日中や日韓などの関係はその反対のような気がします。そしてそれが個人間の関係にまで影響しているように思います。

参加者は6人だったのですが、それぞれの「中国」への思いも語りながら、いろいろなところに飛び火しました。
いずれにしろ、私も国家を離れた生活者同士の交流が大切だと改めて感じました。

6月から中国現代小説をテーマにしたサロンがスタートします。
日程が決まり次第ご案内差し上げますが、私たちはもっと近隣諸国との人間同士の交流の機会を増やしていくことが大切な気がします。
「中国の人たちのことをもっと知ろう」サロンに話題提供してくださる中国の方をぜひご紹介ください。

Ohrui20230422

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