■節子への挽歌5594:場所の記憶
節子
テレビドラマの「グレースの履歴」を毎週観ています。
全8話ですが、今日見たのは第6話です。
毎回、涙ぐむのですが、今回は特に思いにふけってしまいました。
主人公が亡き妻の残した車に残った走行記録の跡をたどって旅をする話ですが、第6話の舞台は、大津の唐橋の近くでした。
節子とよく歩いた街並みも出てきました。
節子と同棲を始めた最初の場所が、この唐橋のすぐ近くだったのです。
主人公には幼いころに両親の離婚で離ればなれになった弟と母親がいましたが、事故で無くなった妻が、弟と母親に再会させようとしていたのです。
兄弟の出会いも感動的ですが、母親との出合いも感動的です。
いや並行して語られるヒッチハイクで同乗させた若者が、別れた兄と再会するエピソードも涙が出てしまいます。
しかし、私の涙は、そうした感動的なエピソードというよりも、亡妻が遺した、「存在しない想い」なのです。そこにいつも節子を感じてしまうのですが、今回は場所が場所だけに、そうした思いがどっと押し寄せてきてしまい、ついつい涙ぐむではなく、涙を出してしまいました。できれば嗚咽したいほどに、です。
石山にも瀬田の唐橋にもさまざまな思い出がある。
私が自宅から出て最初に住んだのが滋賀県の大津の石山であり、節子と同棲し始めたのは、瀬田だったのです。
瀬田に住んでいたのは1年足らずでしたが、思い出が山のようになる。
あの半年は、私の人生では最高に幸せな時でした。
6畳一間の生活でしたが、日曜日はいつも奈良か京都に行っていました。あるいは近くの野原で飛び回っていました。
テレビもなく、エアコンなどあるはずもなく、寒い冬でしたが、私にはそういう同棲生活が夢だったのです。
ドラマを観ていて、そんな記憶がどっとよみがえってきたのです。
哀しさと嬉しさ、何かとても不思議な、でもどこかあたたかな気持に、包まれました。
私にとっての、一番記憶の深い場所は、もしかしたらここかもしれないと、思いました。
でも一人で、そこを訪ねる勇気は全くありません。
いつかまた節子と一緒に行けるといいのですが。
もちろん来世の話ですが。
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