■第23回益田サロン「生物と環境の役割関係を捉え直す」報告
今回のテーマは、「生物と環境の役割関係を捉え直す」です。
案内文が難しかったせいか、参加者はちょっと少なかったのですが、話し合いはしっかりとできた気がします。
益田サロンは、益田教授が講義するというのではなく、益田さんの仮説を参加者も一緒に話し合おうというスタイルなのですが、これになれると「わからないこと」と「わかること」とは結局同じではないかということに気づかされます。
こういう言い方をするので、私の報告や案内はわかりにくいと言われるのですが。
今回、益田さんは「我を忘れる我」「我に返る我」という話からスタートしました。
そして案内文に書いたように、環境が生み出すものと生物が生み出す環境に関して、図解したり、糖尿病やジフテリア菌の話を持ち出したりしながら説明してくれました。
私にはとても面白かったのですが、サロンに参加されない人に説明するのは至難の業なので省略します。すみません。
ただそこから「生物」と「環境」とは切り離せないものであること、(本来の)環境は生物の復元性を守る役割を持っていること、同心円で描いていた生物と環境との関係図は、空間的かつ物質的な次元では通用するが、心から先を考えていくと時間軸を入れて4次元で考えないと整理できないのではないかということが明らかになってきました。
そこで案内文にも書きましたが、益田さんは、2つのジョウゴを上下逆さまつないだような大きなX状の図を書き、その交点に心(自分)があり、心から生まれる欲や名誉欲は心より半径が大きいと説明してくれました。
そう考えていくと、生物と環境との関係の捉え方が変わってきます。そしてそこから、前回話題になった3種の破壊に関しても新しい面が見えてくるというのです。
この説明ではなかなか理解しにくいでしょうが、たとえばこんな話が出ました。
体が生み出す空腹感は、身体機能の一部ですが、それを体にとっての生物のようなものである「心」が取り込んで、体から分離された「欲」という、新たな「生物のようなもの」を生み出します。これを16回目の益田サロンで話題になった東京湾モデルで図示してくれました。このモデル図は私は気にいっているので、再登場はうれしい話です。
欲にとっては、心は本来の環境ですから大事にしますが、体までには思いは行きません。ですからついつい体を壊してまで好きなものを食べてしまう。体あっての自分であること忘れて糖尿病になってしまう。
しかし、心もまた、欲のなかに同じようにして別の「生物のようなもの」、たとえば「名誉欲」を生み出し、それが「自立」して本来の環境である「欲」を壊さないようにと働きかける。
こうして考えていくと3つの破壊を防ぐ方策へのヒントが見つかるかもしれないというわけです。
とまあ、こんな話し合いをしているうちに、参加者から、結局、「心は一体どこにあるのか」という問いかけが出てきました。
心の段階から次元を超えるとすれば、その心は一体どこにあるのか。
本来の環境である体の中にあるのか、体とは異次元な環境のなかにあるのか。あるいは、何と何をつなぐ接点なのか。そもそも「心とは何か」という問題に行き着いてしまったのです。
益田さんはそこでこんな話をしました。
満員電車の中でなぜ人はケンカをしないでいられるか。頭の中に自分だけの環境を作っているから。つまり人間は頭の中に新しい環境を発見できたのではないか。
環境が生物のようなものを生み出すと同時に、生物のようなものもまた環境を創り出すというわけです。
益田さんはそれに関連してこんな話もしました。
たとえば、引きこもりの人は頭の中に環境を作らないのではないのか。
さらにまた、体からうまれた心が生き延びるためには知能が必要だったのではないか。それは、ジフテリアファージが毒素遺伝子を持っていないと存続ができないこととぴったり重なる。
そう言われるとそうかなと思う反面、なんだか違うような気もして、いまはまだ私自身は消化できずにいます。
しかし、いろいろと考えているときっとまた先に進む道が見えてくるでしょう。
しかし、問題は「心はどこにあるのか」です。
これが今回の益田さんへの宿題です。
次回の益田サロンは、益田さんがこの問いへの答に通じそうな道を見つけたら開催することになりました。
さて何時になりますか。
私の予想ではそう遠くないはずです。
今回の話し合いで、益田さんの世界もだいぶ明るくなってきたような気がしますので。
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