■湯島サロン「庶民の資産防衛-今起きていること、これから起きること」報告
「資産防衛」という文字のせいか、「陰謀論」という文字のせいか、あるいは新潟からわざわざ話に来てくれるということのせいか、理由は定かではないのですが、満員のサロンになりました。
案内でも書きましたが、裕さんは、「危機は目の前!庶民も生活防衛のためにも資産防衛が必要」と考えているのです。
しかし、そもそも「庶民」とはだれなのか。裕さんはまずそこから話しだしました。
庶民とは、「金融資産が3000万円以下の世帯の人たち」を指し、野村総合研究所「日本の富裕層に関する調査結果」(2023年)によれば、日本の全世帯の8割弱が庶民に相当するそうです。
資産額が一桁違うのではないかと私は思ってしまいましたが、その時点ですでに私にはもう社会が見えていないのだろうと反省しました。困ったものです。
ちなみにここでいう「金融資産」とは「預貯金や株式、債権、投資信託などの現金化できる資産」をさしていますので、土地など不動産は含まれません。土地は国が資産把握しているし買い手がないと価値は実現しないので、個人が自由に処分できる資産とは言えないというのです。
それに、土地資産の多い人も、現在の税制では3代もすれば資産はゼロになってしまうと裕さんはいいます。
問題は金融資産ですが、その金融資産も、裕さんによれば、個人が自由に扱える資産ではなくなるのではないかと言います。
そして裕さんが最近経験したことを話してくれました。
3年前にある必要で裕さんは300万円の預金をおろそうとしたのですが、窓口でその理由を訊かれ、警察官までが呼ばれてしまったそうです。表向きは、振込詐欺防止のための措置とされていますが、裕さんはそうした動きに「金融統制の予行演習」を感じているようです。
さらにいま政府が広げようとしているマイナンバーカードと金融機関のひもつけによって、土地資産などと同じように、金融資産も政府による管理対象になってしまうのではないかというわけです。
管理対象になった金融資産の価値を操作するのは、そう難しいことではありません。
現在、日本以外の国での金利上昇で、日本の債券価格は下がり仕組み債で大損した高齢者も多いそうです。しかしそうした仕組み債を売ってきた銀行は知らん顔を決め込み、報道で加担してきたマスコミもあまり報道していません。その利益はどこに行ったのか。
さらに、コロナ対策でのゼロゼロ融資(無利子無担保)の返済がこれから始まり、企業倒産や失業者増加が予想されます。こうしたことが起こると、損失はテレビでも話題になりますが、利益は全く見えてこないのが通例です。
裕さんは、この秋以降景色が変わっていくのではないかと心配しています。しかもすべては意図されているのではないかと思ってもおかしくない。
いずれにしろ、個人の金融資産も安泰ではないのです。
こうした話は富裕層中心の話とも思われますが、庶民への影響も大きいのです。
たとえば、年金基金や郵貯などの基金運用にも影響が出てきて年金減額も避けられません。米国で起こったような、バンクランがまた日本でも起きるかもしれません。
現金を銀行において置くのは安心かというわけです。
さらに裕さんは、2024 年の新円切り替え時の不安もあるといいます。
具体的には、預金封鎖と財産税です。
そして、昭和24年に行われた財産税の導入と預金封鎖、それによって起こった強烈なインフレの話を少ししてくれました。
こうした強制措置もありえないとは断言できない。むしろ政府はそうした可能性も視野に入れた静かな警告を出しているのではないかというのです。
こうしたことを知るためにも、庶民もまた、もっと金融の動きに関心を持たなければいけない。金融資産がどう扱われていくのかは、決して富裕層だけの問題ではない。私のように、金融資産がほとんどない庶民でも、金融の動きとは無縁ではいられない。だから無関心でいてはいけないというのです。
とりわけ要注意なのはインフレです。
数字の上では今は3%の物価上昇が話題ですが、庶民にとっての肌感覚では3%などという話ではないでしょう。卸売物価の上昇率はもっと高いですし、電力価格の値上げはもう2桁です。
インフレ加速の懸念は大きいですし、場合によっては政策的にインフレを起こすこともあるでしょう。日銀がゼロ金利から金利上昇時に注意しなければいけません。
日銀の債務超過、円安、債権暴落、といったインフレ要因はたくさんあります。
庶民にとっても、不安材料はたくさんある。嘆いているだけではだめなのです。
では、インフレに対して庶民はどうしたらいいか。
日常生活的に言えば、必要なものはすぐ買うのがいい。そしてたとえさほど持っていないとしても、金融資産の保有状況を把握し整理していくこと。注意しないと自分でも自由にできない状況に置かれてしまうかもしれないからです。
そして裕さんは言います。大切なのは金融資産に関しては証券会社や銀行など専門家に相談してはいけない。それこそ狼に道を聞くようなものだ、と。
資産を守れるのは自分だけなのです。
裕さんは、いまや信頼できるのは「金(ゴールド)」だけだと言います。
金融システムはだれかに操作されてしまうとしても、金はだれかが勝手に操作するのは難しいからです。しかし、その金も、個人的な売買ができなくなる恐れもあると言います。なんだかだんだん袋小路に追いやられているようで、暗くなってしまう。
裕さんの話を聞いていると、資産とは実はその価値や管理が、庶民のような個人には手が届かないものになるのではないかと思えてきます。
となれば、そもそも「資産防衛」などできるはずもないのではないか。
しかし、裕さんはさらに話を続けます。
裕さんの見立てでは、金融危機はこの秋以降から来年が本番だそうですが、話はさらに複雑になって私の報告能力を超えるため、あとは省略します。
私の勝手な解釈では、金融資産などには信を置かず、金で資産を形成するしかないということのようです。
しかしそういわれても、私のように、金と言っても昔、歯の治療に使った金歯しかないような庶民には金は手が出ないではないかと言ったら、裕さんが言うには、月3000円からの金の購入システムもあるそうです。あきらめてはいけません。
まあ彼が言うのは、金融機関や政府が発行する紙幣や金融資産などを信じてはいけないということなのでしょう。せめて信ずるとしたら金しかない。
これは実に象徴的な話なのです。
金融システムは、いったい誰のためのシステムなのか、何のためのシステムなのか。
ここでいわゆる陰謀論につながっていくわけですが、今回はそこまでは話は行きませんでした。
話し合いでもいろんな話題が出ました。
電力会社の解体が地域活性化の一歩だとか、食糧自給への取り組みこそ生活防衛だとか、都道府県などやめて地域主権体制に組み替えていくべきだとかなど、裕さんの持論も少し紹介されました。
参加者からも、改めて物を大事にした方がいいというような話も出ましたし、それに関連してシェア経済の話もでました。
庶民にとっての生活防衛とは、実は新しい生き方を創り出していくことなのです。
あるいは政治への関心を高めることなのです。
さらに話を先に延ばせば、「資産とは何か」という問題に行きつきます。私はまさに今、そのことが問われているのではないかと思います。
お金は決して唯一の資産ではないのです。むしろとてももろい資産でしかないような気がします。極端に言えば、個人の「資産」を吸い上げるための仕組みにもなりえるのが金融システムではないかと私は思っています。
そして途中をすべてと飛ばして結論を述べれば、人のつながりや生活圏を育てていくことこそ、生活防衛なのではないかということです。いやそれは防衛だけではなく、生活を豊かにすることでもあるのです。
案内文でも裕さんはこう書いていました。
資産防衛のためゆるい人的ネットワークが必要。これが湯島のサロン?
というわけで、報告は極めて私自身の我田引水の結論になってしまいました。
裕さんの意図から外れているかもしれません。
あるいは参加者の受け取り方とはずれているかもしれません。
どなたか報告を是正していただければうれしいです。
でも改めて「生活のために大切な資産」とは何なのかを考える材料を与えてもえました。生活のために大きく依存している貨幣の危うさにも気づかせてもらいました。
湯島のサロンにも、なにがしかの資産価値?があるかもしれません。
ちょっと元気がでます。
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