■湯島サロン「視覚障害者が感じているいまの社会」報告
自閉症で視覚障害の南さんは、最近、交通事故に合いました。
幸いにさほどひどくはなかったのですが、転倒し背中を打って、いまは歩行のリハビリ中です。
しかも自転車に当面乗れなくなったので、仕事ができなくなってしまいました。
経済的にも大変で、サロンどころではないはずですが、どんな時でも前向きの南さんは、歩行のリハビリにもなると、そんななかでもサロンにきて話をしてくれました。
前回の南さんのサロンに参加できなかった方も参加され、改めて南さんの生き方や人生観に触れて感じ入った人もいたようです。
ちなみに今回は視覚障害をタイトルにしていたことから、街中で出合った視覚障害のある人にどう声をかけたらいいかなどの質問が冒頭参加者からありました。
たしかに駅や街中で、白杖を持った人が戸惑っているときにどう声をかけようかと迷う体験をお持ちの方は少なくないでしょう。
南さんはご自分の体験から、具体的に話をしてくださいました。
たとえば、目が不自由な人にはエスカレーターは避けた方がいいこと、声をかける場合は前から、突然の接触は避けるように、などといった話を、視覚障害の当事者としての気持ちも含めて話してくれました。
駅や道路にある黄色の点字ブロックに関しても、その色も含めて、いろいろと問題があることも話してくれました。
南さんのように、当事者の気持ちをあっけらかんと素直に話してくださる方はそう多くはないでしょうが、そうした南さんの体験や思いなどを聞いていたら、実際に目の不自由な方への接し方も変わるはずです。
参加者のなかからは、南さんの体験をコミックや本にして広めたらという提案もありました。私もそうだなお思ったのですが、意外にも南さんは、コミックや本にするとどうしてもいろいろと「盛り込まれて」しまうのでといいました。
私が今回のサロンで一番印象的だったのは、その時の南さんの反応でした。
でも私にはちょっと魅かれる案でした。どなたかトライしてみませんか?
南さんはまた、これまでのみずからの人生やいまの社会をどう感じているかなどに関しても話してくれました。
前回も感じたことですが、南さんは自らが置かれた環境を「言い訳」に使うことなく、逆境さえからも学び活かしているのです。そしてその姿勢が、もしかしたら南さんを守ってくれているのかもしれません。その姿勢には学ぶことが多い。
また社会に関する評価や受け止め方には、私には共感するものも共感できないものもありましたが、いずれにしてもしっかりした自分の意見をお持ちです。逆説的ですが、見えにくいからこそ見えているのかもしれないと思いました。
視力はよくても、社会を見ようとしない人やあまり見えていない人もいます。
いや見えればこそ見えなくなっている人も少なくない。
今回もまた南さんからはたくさんのことを学ばせてもらいました。
特に「障害」とか「自閉症」とかという言葉について、やはりもう一度考え直したくなりました。
と同時に、南サロンのようなサロンを増やせていけないかと思いました。
南さんのように、自分の思いを一度、サロンで話してみませんか。
話してどういう意味があるのかわかりませんが、自分を少しだけでもさらけ出すと何かが変わるかもしれません。
基本的には湯島サロンでの個人に属する情報は原則「オフレコ」ですので、話したい人、ぜひご連絡ください。
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