■がん民間療法体験11:「民間療法」とは安心感を持つための知恵
この体験報告のおかげで、いろんなことに気づかされます。
人生において何が一番大切かを考えるヒントももらえるような気がします。
私を心配して、私のがん民間療法体験に否定的なコメントをくれる方もいますが、たぶん一番真剣に考えているのは患者当人です。その当人の思いが間違っていることはたぶんにあり、考え直すことを働きかけてくれることには感謝すべきでしょうが、実際には「否定」されると不安になります。この「不安感」こそが、治療にとっては最大の敵のような気がします。
この数週間、そのことを痛感します。
この報告では、私がいかにも脳天気にいい加減にやっているように見えるかもしれませんが、いざとなったら私が痛さや症状を背負い込むわけですから、一番真剣に考えているのは私だろうと思います。ですから前にも書きましたが、医師から早く手術をしたほうがいいと言われれば、迷いますし、民間療法など無意味だと言われれば不安になる。骨への転移は大変だぞ、と言われれば、不安が高まって、なんだか腰の骨が痛くなってくる。
ともかく、自分の問題として(つまり知識としてではなく)、常に「不安」を背負っているのです。
これは私だけの話ではないでしょう。
病気になった患者当人は、不安に覆われている。
その不安をあおるようなアドバイスは、たとえそれが正しくとも患者の病気にはいい影響を与えることはないでしょう。
病気は生命体に生ずる現象ですから、その生命体の心身、つまり意識と無縁なはずがありません。生命体は機械ではないからです。
プラセボ効果の多くの実験結果からも類推できるように、時には薬も毒になる。
相手を思ってのアドバイスが相手の不安を高めて免疫を低下させることもあるでしょう。
私自身、いろんな人のアドバイスで、不安になって心身がおかしくなることもある。
だからあまり否定的でドグマティックな意見は無視したいのですが、それがまた難しい。
無視するとさらに怒られる。そして私もさらに滅入ってしまう。
いやこれは他人事ではないのかもしれません。
これまで私は、病気の人にどういう声かけをしてきただろうか。
いや、いまも闘病中の友人知人にどう接しているだろうか。
私としては妻の闘病に付き合った経験から、それなりの自負があったのですが、どうもまだまだきちんと対応できていないのではないかと、思い知らされています。
最大の薬(療法)は、やはり安心感を患者に持ってもらうことではないかと思います。
いや、安心感をしっかりと持つことこそが、患者にとっても一番大切なことでしょう。
「民間療法」とは、そうした安心感を持つための知恵なのではないか。
そんな気がしてきています。
安心感さえ持てれば、病気はそう問題ではなくなる。
よく言われるように、病気になるとわかってくることがたくさんあります。
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