■今年読んだ本のベスト10
一条真也さんが、今年読んだ本のベスト10を選んだが、「資本主義の次に来る世界」が一位でした、とわざわざラインで教えてきてくれました。
その結果は一条さんのブログに書かれています。
私が読んだのは、この本だけでした。彼の読書範囲はともかく広いのです。
https://shins2m.hatenablog.com/entry/2023/12/30/000000
一条さんは、それらの紹介や読後感を、いつもていねいにブログで紹介していますので、よかったら読んでください。一条さんの紹介文を読んだだけでも読んだ気分になります。
一条さんのブログを読んで、私も真似をしたくなりました。
私の読書の範囲や量、そして読み方のていねいさも、一条さんとは比べようもありませんが、それでも今年も100冊を超える本を比較的ていねいに読んだつもりです。ただ、ジャンルがかなり狭くなったうえに、最近は、新刊よりも昔の本を読みなおすことが多くなりました。フィクションはほんの数冊しか読みませんでしたが、いずれもベスト10に入りませんでした。想像力が低下しているのかもしれません。
対象にした本は、今年出版された本に限定しました。
結果は次の通りです。
いずれも面白いというよりも、共感できたというべきでしょうが。
書名と、気になった一文を挙げてみました。順位はありません。
〔いまの金銭至上主義的経済社会から抜け出すための示唆をもらえた2冊〕
〇「資本主義の次に来る世界」(ジェイソン・ヒッケル 東洋経済新報社)
成長志向のシステムの目的は、人間のニーズを満たすことではなく、満たさないようにすること
〇「資本主義の〈その先〉へ」(大澤真幸 筑摩書房)
相克性を基底に置いた関係から、相乗性を基底に置いた関係へ
〔いまの政治の閉塞状況を打破していくための示唆をもらえた2冊〕
〇「地域主権という希望」(岸本聡子 大月書店)
私がめざしたい政治とは、人々が当たり前に、希望をもって暮らせる社会の実現
〇「コモンの「自治」論」(斉藤幸平+松本卓也編 集英社)
〈ケア〉とは、まわりの人々から人間以外の生物や環境まで気遣うこと
〔自分の生き方を問い直すヒントをもらえた2冊〕
〇「自己家畜化する日本人」(池田清彦 祥伝社新書)
現代社会において「飼い主」は、「システム」「権力」
〇「我々はどのような生き物なのか」(ノーム・チョムスキー 岩波書店)
社会変革のための方法はただ一つ、民衆による広範な組織化と活動
〇「宮本常一〈抵抗〉の民俗学」(門田岳久 慶應義塾大学出版会)
理念の実現のために制度や補助金を「使う」という主体的あり方が重要
〇「樹木が地球を守っている」(ペーター・ヴォールレーベン 早川書房)
人間は「無知」を受け入れ、尊重することで、よりよい道を見出せるようになる
〔気付きをもらった本〕
〇「戦後教育史」(小国喜弘 中公新書)
教育改革の現場を通して見えてきたのは、政治に翻弄される学校の姿であり、そのなかでの子どもたちの不幸
〇「新しい自由論」(村中璃子 文藝春秋)
自由は、最初からそこにあるわけでも勝ち取ったら終わりでもなく、時と文脈に応じてその意味をくり返し問い直し、理性と努力で守っていく必要がある
ちなみに、読みなおした本では、「「日本書紀」の暗号」(林青覚 講談社)が面白かった。今年出版された「スサノヲの正体(関裕二 新潮新書)も面白かったですが。年末年始は久しぶりに日本の古代史の本を10冊ほど読む予定です。
| 固定リンク
「無駄話」カテゴリの記事
- ■養生宣言(2024.06.17)
- ■シャーロックにはなれそうもありません(2024.04.05)
- ■今年読んだ本のベスト10(2023.12.31)
- ■『刑事モース〜オックスフォード事件簿〜』がついに終わりまし■(2023.08.27)
- ■新羅と秦族と六郷満山文化(2023.07.26)
コメント