■「自己家畜化する日本人」
池田清彦さんの「自己家畜化する日本人」を読んでいたら、こんな文章が出てきました。
家畜のごとく国家に管理されてたかだか1、2年長く生きたところで、一体何が楽しいのであろうかと私などは思わなくもないが、多くの人が疑問を抱かずに自ら身を委ね、管理される方向へとひた走っている。
賛同したくもなる一方で、反論したくもなるメッセージです。
一部のオオカミが、進んで人間とともに暮らすことで食性や形質、性格を変化させ、温和で従順なイヌへと進化してきた過程を「自己家畜化」という。そして、この自己家畜化という進化の道を、動物だけでなく人間も歩んでいる、と池田さんは書いています。
そして、本書は自己家畜化をキーワードに現代日本で進む危機的な状況に警鐘を鳴らす。生物学や人類学、心理学の知見を駆使して社会を見ることで、世界でも例を見ない速度で凋落する日本人の精神状態が明らかになる、本書の紹介文には書かれています。
池田さんによれば、日本の都会人は「過剰に」家畜化されていると言います。
私のささやかな体験から言っても、確かに「都会の住民」と「地方の住民」とは、どうも意識が分岐しつつあるように感じています。
昨日湯島でオープンサロンだったのですが、改めてそんなことも感じました。
池田さんは本書の最後にこう書いています。
私は生きていないので、結末を見ることができないのは残念だけれど、若い人は多少でも精神的自己家畜化から逃れて、上手にそして幸福に生き延びてほしいと思う。
幸運を祈る。
私はまた戻ってくる予定なので、結末を見ることができると思いますが、いい社会になっていてほしいと思うので、現世滞在中にもう少し働きかけを続けたいと思います。でも、池田さんの気持ちはよくわかります。
気楽に読める本ですので、気が向いたら読んでみてください。
来年、「農場育ちサロン」をやれたらいいなと思っていますが、どなたかやってくれませんか。
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