« ■節子への挽歌5825:にことのレース対決 | トップページ | ■節子への挽歌5826:にこのピアノ発表会 »

2023/12/24

■第28回益田サロン「心と言葉と時間パート5」報告

円錐の上に逆円錐を重ねた新しい「環境-生物モデル」(二重円錐モデルと仮称)を切り口に、「生物と環境」を考える益田サロンの5回目は、「言葉と環境」を切り口にしましたが、なかなか前に進めません。

今回、益田さんが話したかったのは、「言葉は心の環境である」、そして「関心の対象は言葉の環境なので、心は関心の対象を自由に変えられる」ということです。
しかし、「言葉」という「概念」は、一筋縄ではいきません。その意味を理解しシェアするのに難航しているのです。

さらに、ここでの「環境」は、しかし、これまで益田サロンで話し合っていた「環境」とは違っているような気がします。
たとえば、二重円錐モデルが出てくる前の同心円モデルでは、本来の関係にある環境によって、生物(のようなもの)は存続を支えられ、同時に生物は環境を壊すことなどしなかったとされてきましたし、同時に、環境が生物(のようなもの)を生み出していくという構図になっていました。

しかし、二重円錐モデルにおいては、上の世界では、ベクトルが逆転し、生物(のようなもの)が環境を生み出していくとともに、環境との関係が変わっていくのです。
この関係を二次元的に同心円モデルで表現すると、生物と環境の位置関係が逆転してしまうため、三次元の円錐モデルになったわけですが、この辺りがなかなか理解しづらいのです。

益田さんは、言葉は心の環境であり、「関心の対象」は言葉の環境になっているという二重の関係がある。心と「関心の対象」の間に言葉が介在しているので「関心の対象」が変わっても言葉と心の関係は変わらないので、心は関心の対象を自由に変えられると言います。関心の対象が変わるというのは、その関心の対象内の変化のことで別の関心の対象に関心を移すという事ではない、というのです。

言葉で書くと簡単ですが、これが実際にどういう意味なのかをシェアするのが難しく、サロンでは話は混乱しました。議論が混乱するのは、思考を深めるための必要プロセスと考えればいいでしょうが、注意しないと空回りにもなりかねません。

さらに議論を混乱させたのが、「言葉」とは多義的であり、人によってイメージも内容も違うということです。
たとえば、前回、益田さんは、生物のようなものと環境として、「私欲」と「公欲」という表現を使ったのですが、これによって私は全く理解できなくなってしまいました。
言葉の意味が公的(この意味の捉え方も問題ですが)に決められるのであれば、生物(のようなもの)が自分で存続を守ってくれる環境を生み出していくという発想とは矛盾してしまう気がするからです。

私は「公」という文字に反発しすぎるのではないかと注意されたので、これからは言葉にはこだわらないようにしようと思いますが、それでは現実に「言葉が環境をつくる」ことが理解できなくなります。もっともサロン参加者のなかで、そういう受け取りをしたのは私だけですので、私の理解不足かもしれません。

しかし、これこそが、「言葉が環境」という命題の問題点を象徴しているように思えてなりません。それでこだわっていたのですが、いささか袋小路に入りそうなので、次回からは視点を変えて、参加者の乾さんの問題提起をもとに話し合いをしていくことになりました。

私自身は、2つの円錐の世界は、下は実存世界であり、上は唯識世界と考えるととてもわかりやすい気がします。前に益田さんが話題にした「魂魄」もそれで整理できますし、近藤さんが時々話す「環世界」も考えやすくなる。
つまり身体感覚から生まれた五識が「意識」を生み出し、そこから「無意識」、さらに「集団的無意識」へと世界を広げていき、その相互作用の中で、人間の「環世界」が育っていると考えるのですが、どうも独りよがりのようで、受け入れてはもらえませんでした。

また、「公」と言う言葉も、「コモンズ」あるいは「共」に替えれば、と思うのですが、なかなか賛成は得られません。
言葉が生み出す環境もまた、実に難しいようです。関心の対象を変えることでは心は揺るがないとしても、言葉の意味合いが変わることで心は影響を受けないのか、そこがとても気になります。

次回は乾さんの問題提起を受けての益田サロンになる予定です。
新しい展開が始まります。これを機会に新しい参加者を歓迎したいと思います。

次回は1月下旬を予定しています。

Masuda28000

 

|

« ■節子への挽歌5825:にことのレース対決 | トップページ | ■節子への挽歌5826:にこのピアノ発表会 »

サロン報告」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ■節子への挽歌5825:にことのレース対決 | トップページ | ■節子への挽歌5826:にこのピアノ発表会 »