陰謀論の人気はすごいです。15人の参加者がありました。しかも女性が多い。ネットで見つけて湯島サロンに初めて参加した2人も女性でした。
今回の陰謀論サロンのタイトルは「陰謀論追究の結論と日本の今後」。副題は「陰謀論から観た国際情勢とマスコミ報道の読み解き方」です。
いつもと違い、個別テーマというよりも、いわば陰謀史観とでもいうべき話でした。そして、そうした時代状況を踏まえて、中嶋さんは「マスコミ報道の読み解き方」をていねいに話してくれました。
陰謀史観と言ってもさまざまありますが、今回の中嶋さんは、近代経済成長主義の根幹に金融資本家を置く陰謀史観をベースに、世界を読み解くうえでの枠組み仮説を紹介してくれました。ほかにも言及はありましたが、「イルミナティ」を頂点にした300人委員会による世界支配体制の構図、いわゆる「イルミナティ陰謀論」が基軸でした。
本題に入る前に、中嶋さんは「陰謀論」の定義や構造を解説してくれました。
まず、陰謀論とは「現代や歴史上の出来事に対する一般的な通説を受け入れず、明確な証拠証明が不全なまま特定集団の利益に繋がっていたとする主張の事で、論者を恣意的に嘲けり笑うために使われる用語である」と解説してくれました。この定義で、中嶋さんが、陰謀論と向き合う立場がわかります。中嶋さんにとっては、陰謀論はあくまでも仮説なのです。そして、陰謀と陰謀論は別物なのです。
つづいて、中嶋さんは、陰謀論でよくあげられる事件を例示してくれました。ケネディ大統領暗殺事件、9.11事件、新型コロナパンデミックとワクチンなどなど。日本でも陰謀論で指摘される事件や事象は少なくありません。
ちなみに、中嶋さんはまだ記憶に生々しい「令和6年能登半島地震」と「北九州飲食店火災」に関してささやかれている「陰謀説」も紹介してくれました。
それだけでも興味津々の問題ですので、ついそこに深入りしそうになりましたが、なぜそうした陰謀論が広がるのかという視点から世界の構造を読み解き、今後の日本を考えようというのが、今回の中嶋さんの意図なので、あまり深入りせずに前に進みました。
陰謀史観あるいは陰謀論の根底には、「あらゆるものはつながっていて、それぞれに意味がある。そしてそれらはすべて今を説明するためのものである」という考えがあります。中嶋さんがあげた、たくさんの事件や説明がつかない事象を要素としてつなげていくとどんな世界が見えてくるのか。そしてそうした世界を誰が操作しているのかが、陰謀論の核心ですが、そこから中嶋さんは世界の階級的構造の話に転じました。そしてそのトップにいる世界支配階級こそ「イルミナティ」、という仮説を紹介してくれました。すべての根幹は一つの主体に行きつくというのが、近代の、とりわけアメリカ発の陰謀論の特徴ですが、これはおそらく一神教文化に関わっています。一神教の世界での秩序原理はピラミッド構造ですから。
そしてその体制のもとに、世界を動かしているのは「欧州巨大財閥+中世覇権国の王族貴族たち」として、その体制や情報機関に関して解説。300人委員会に関しても紹介。そして、こうした支配構造がどうやって生まれたかを説明してくれました。
結局、彼らは、通貨発行権を武器に経済支配と資源支配を進め、それで得た莫大な財によって、世界支配構造を創り上げたのです。そして、ある時には冷戦構造で、ある時には三極構造で、という風に、世界を操ってきた。
そうした中では、彼ら選民以外の人間は道具(手段)でしかありません。ですから人口増減もまた自由に操り、戦力や労働力として必要な時には「産めよ増やせよ」、それが不要になった今は「人口削減」こそが選択肢だというのです。そこで大きな機能を果たすのが「医療」です。
そういう視点で世界の動きを見ると、確かに納得がいくことは多いように思います。
しかし、世界にはそうした世界秩序体制に抗う動きもあります。今回中嶋さんが紹介したのは、たとえばBRICSの動きや金本位制の世界通貨の話です。
とまあ、こういう話がいろいろと展開されたのですが、そんな時代において、日本に活路はあるのか、そして個々人はどう生きるのか、が次に語られました。
中嶋さんは、いまのままでは日本は落ちぶれるだけだと言います。貧富格差の限りない拡大、パンデミック後遺症が加速する人口減少、そして終わらない宗主国(アメリカ)による植民地政策(日本は主権国家ではない)。
ではどうすればいいか。中嶋さんは、解決すべき喫緊最大の問題は日米問題だと言います。つまり、アメリカから主権を取り返さないとだめだというのです。ここで、陰謀論は現実、サロンでよく話題になる日米合同委員会につながります。
しかし、そのやり方は注意しないといけない。そうしないと田中角栄さんや鳩山由紀夫さんのようになってしまいかねない。慎重に、そしてグローバルサウス諸国にも働きかけながら、ことを進めていかねばいけない。そのためには、私たちは情報の正しい読み解き方を知る必要がある、と言って、その読み解き方をていねいに解説してくれました。
今回、中嶋さんが一番に伝えたかったのはこれなのかもしれません。陰謀を打ち砕くには、やはりみんながしっかりと現実を読み解いていくことが大切ですから。
最後に、中嶋さんは、まとめとして、「氣エネルギーが正しく高い人を増やす」「日本にしかない宝の利用にはまず人づくりから」「世界から兵器とカネをなくした理想の社会建設を」というメッセージを出しました。
陰謀論には、さまざまなものがありますが、これはもう一つの陰謀論の世界につながる話題かもしれません。この分野の陰謀論(一神教型ではなく、アニミズム型の陰謀論)に関しても、サロンを企画したいのですが、なかなか話題提供者が見つかりません。どなたかいないでしょうか。
かなり省略した報告ですが、こうした話を受けて話し合いが行われました。長くなったので、それは省略しますが、最後に私の感想を2つだけ書いておきます。
イルミナティ陰謀論のような一神教型の陰謀論の存在意味は、一神教がすべてを神に託したと同じように、すべての責任を陰謀主(たとえばイルミナティ)に負わせてしまうことにあるように思います。つまり、実際の陰謀者の責任を隠してしまい、問題の所在を見えにくくしてしまう。そこにこそ陰謀論の目的、あるいは意味がある。
それを読み解いて、責任を追及していくのが、陰謀解読者の役割ですが、ともすると陰謀解読者が陰謀論に取り込まれて陰謀が見えなくなってしまうことがある。陰謀学の世界では、コンスピレーター(陰謀説者)とセオリスト(陰謀解読者)とはしっかりと区別されますが、実際にはミイラ取りがミイラになることも少なくない。
中嶋さんは、そうならないようにと、情報を読み解く方法を今回詳しく話してくれたのだと思いますが、みんなの頭に残ったのは、陰謀仮説の面白さかもしれません。
しかし、陰謀論もまた仮説である以上、マスコミを通して与えられている情報を盲信してはいけないと同じように、陰謀論で語られていることも盲信しないようにしなければいけません。陰謀論を毛嫌いするのも盲信するのも、同じです。陰謀仮説は、批判的に受け止めなければいけません。
もう一つは、しかしにもかかわらず、たとえば今回のイルミナティ陰謀仮説にしても、そこから気づかされることはたくさんあります。
マスコミ報道や政府見解とは異なる事実の存在は間違いなくあります。実際に、たとえばペンタゴン文書のように、噂が事実であった事例はたくさんある。そうであれば、たとえ信じられないような情報の読み解き方にも関心を持つことが大切です。信じがたいような陰謀説も、もしかしたら事実につながっているかもしれません。
同じ一つの事実も、見方によって全く違った意味を持ってきます。情報リテラシーを高めるとともに、多様な意見に心を開いて、自らの考えもまた柔軟に相対化していくことが大切ではないかと思います。いずれにしろ、思い込みは避けねばいけません。
長い報告になってしまいました。
陰謀論サロンはなぜか人気があり、今回もまた定期的にやってほしいという要望がありました。どなたか話題提供や問題提起したい方がいたら、ご連絡ください。
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