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2024/01/30

■湯島サロン「ビットコインに価値はあるのか」報告

参加者は少なかったのですが、じっくりと議論し合うサロンになりました。

今回話題提供してくれた李東哲さん自身、最初はビットコインに関心がなかったそうですが、友人からの繰り返しの勧めで、ビットコインを体験的にも学んでみて、その意味の大きさに気づいたのだそうです。そういう経緯を踏まえて、貨幣の歴史からはじめて、李さんが行きついたビットコインの歴史的な意味を話してくれました。

李さんは、ビットコインは、モンテスキューの三権分立論が政治を大きく変えたのと匹敵するくらいの大きな影響を経済界に与えるだろうと考えています。つまり、投機の話や資産の話ではなく、経済思想のコペルニクス的転回の話なのです。
私も今回、その意味を少し理解できた気がします。暗号資産などという呼び変えに騙されていたのかもしれません。この辺りの話は、湯島で行われている陰謀論サロンやポスト資本主義の話にもつながっていく壮大な話になっていきます。

今回参加者が少なかったのですが、改めてまたこのテーマのサロンは企画したいと思います。貨幣とは何か、経済とは何か、そこにつながる話です。

世間的には、ビットコインも、現在の経済の枠組みで考えられ、ともすると投機的な面に焦点が置かれて語られがちですが、李さんによれば、それこそビットコイン構想の巧みさを示唆していると言います。
投機性や資産性は、現在の通貨制度を革新するためのビットコインを広げていくために仕組まれた手段であって、ビットコインの本質はそこにはないと李さんは言います。

李さんは通貨の持つ3大機能としての「価値尺度機能」「交換機能」「価値保存機能」に加えて、「価値侵蝕機能」に注目します。
これは別に新しい視点ではありませんが、多くの経済学者はむしろこの機能を「価値増殖」側面として捉えがちです。それこそ「通貨制度」の持つ本性ではないかと私も考えています。
通貨それ自体は価値を生み出しませんから、通貨が利子を生むというのは、価値を移転することです。ということは、価値増殖はその反面に価値浸食を含意しています。李さんは、そこに着目しているのです。その視点にはとても共感します。

とまあ、こんな感じで議論は進んだのですが、詳しく紹介しだすと長くなるので、李さんが強調したビットコインの特徴を紹介します。そこに李さんが考えているビットコインの価値が象徴されていると思います。

まず、ビットコインは全世界に開かれた超主権貨幣だと言います。つまり貨幣発行権者が持つ特権を奪うことで、貨幣の権力性を抑制できるというのです。
さらに、発行総量と発行プロセスが決められている約定貨幣であり、その動きはすべての人に公開されているので、その面からも貨幣権力を制約し、貨幣を公正な方向に導くことができると言います。

こうしたことから、ビットコインは未来を開くカギを握っているというわけです。私はそれほど楽観できませんし、仮にそうだとしても、その未来のイメージがつくれないのですが、今回はそこまでの議論には至りませんでした。
もちろん李さんとしても、すべてうまくいくとは思っておらず、だからこそビットコインの行く末に関心を持っているのです。

ちなみにここでは触れませんでしたが、ビットコインの仕組みやこれまでの動き、あるいはビットコイン以外の仮想通貨/暗号資産の状況。既存の金融組織や関係者との関係なども紹介してくれました。
李さんによれば、ビットコインは今年からまた新しい段階に入るようです。
また参加者からは、ゲゼル経済学や地域通貨の話も出ました。

私自身がしっかりと理解してないので、報告もわかりにくいと思いますが、李さんがまとめた「ビットコインの価値」という小論文がありますので、関心のある方はご連絡ください。
その論文の最後で、李さんは次のように書いています。

欲望に満ちた貨幣の世界で、ビットコインを通して、我々は人の魂から来る希望の光が見られる。

その「希望の光」についてのサロンをまた李さんに頼もうと思っています。

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