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2024/01/18

■湯島サロン「不登校やひきこもりの子どもや人に家族として出来ること」報告

摂食障害、ヘビーリストカッター、精神疾患、不登校、ひきこもりだった2人の娘たちを「世界一素敵なママ」に育てた土佐みやえさんの、体験談も踏まえた「家族として出来ること」を話してもらうサロンは、10人が参加しました。
それぞれに当事者的な関心をお持ちの方ばかりで、土佐さんの話の後、自らの事例を話したり、アドバイスし合ったりの話し合いもあり、翌日、土佐さんからも参加者からもたくさんの示唆をもらったというメールが届きました。
やはり体験知・実践知の話し合いは多くの気づきをもらえます。

Tosa2024010

土佐さんは、「心穏やかに暮らすために、私達家族ができる事」と題して、まずはご自分の体験話から話しはじめました。
摂食障害、ヘビーリストカッター、精神疾患、不登校、ひきこもりの2人の娘をもった土佐さんは不安な日々の中で、希望の光を求めてお医者さんに行ったのですが、そこでの処方は薬だけ。そこで自分がやるしかないと覚悟を決めて、自分にできることって何だろう、と試行錯誤を始めたのです。

孤独と罪悪感の毎日のなかから、行き着いたのが、「トコトン話の聴けるお母さんになろう」ということでした。それから「家庭内傾聴」について学びだし、実践知を重ねてきたのです。
そうした中で、気づき学んだことを、とてもわかりやすく話してくれました。

土佐さんは、ともかく「本来(ありのまま)」を認めることからはじめることが大切だと言います。しかし、「ありのまま」とは意外に難しい。
そのことを、「ありのままゲーム」でみんなに体感させてくれました。
相手の「ありのまま」に気づくには、まずは自らが持っている「自分のフィルター」に気づかないと、相手のありのままは見えてこない。
問題を抱えている人が、その問題解決のための知識を身につけすぎて、逆に問題が見えなくなっていることに、私もよく出合います。土佐さんの「ありのままゲーム」は、そのことに気づかせてくれました。

家庭内傾聴に関しては、「心通う話の聴き方」を中心にわかりやすく解説してくれました。たとえば、アドバイスはできるだけ控える、沈黙を恐れない、あるいは言葉を聴くのではなく気持ちを聴くこと、などなど。ともかく、積極的に、能動的に、肯定的に、相手の話を聴いていくことが大切だと言います。
そうしたことにより、お互いの信頼関係が築け、安心感が得られていくことで、自立へとつなげて行ける糸口が生み出される。

家庭内傾聴に加えて、自己内傾聴(自己との対話)も大事です。そして、それぞれの人生と距離感に関しても、まさに「ありのままに」しっかりと理解し、受け入れることが大切だと言います。たとえば「Yes and の会話」が大切だというような話もありました。
しかし、親が子供のことを心配して気遣うあまり、その「親の不安」が、逆に子どもに重くのしかかり、自分の不安だけではなく親の不安も背負い込んでしまうこともある。親子といえども、それぞれの人生があり、お互いの生き方や距離感をきちんと理解し合わなければいけません。

そうしたことを重ねて、家庭を「ホッとできる場、リラックスできる場にする」(安全基地)にしていくことが大切だと、土佐さんは言います。そのためにも、「あかるく、あせらず、あきらめない」ことが大切。問題を解決することよりも、お互いに尊重し合うこと。
つまり、不登校とかひきこもりとかが問題なのではないのです。問題はもっと根本的なところにある。今回は、ここまではあまり議論にはなりませんでしたが、行動(「なる」)よりも存在(「ありのまま」)を大事にする、Not doingbut beingという話もちょっとだけありました。

最後に土佐さんは、「正しいお母さんより楽しいお母さん」をめざそうと言いました。
ハーバード大学の調査では、幸せに生きているとそれだけで、日々周りに接している家族や友人が、幸せを感じる可能性が15%も高まるのだそうです。
もちろん、ここは「正しいお父さんより楽しいお父さん」と言い換えてもいいでしょう。

私も時々、ひきこもりなどの相談を受けますが、子どもの引きこもりを問題にする前に、まずは親が自分の引きこもりに気づくことというのが、私の考えです。それを実践しているのが土佐さんのようです。

土佐さんは、家庭内傾聴ファシリテーターとしてこれまで長年、さまざまな家庭の問題にかかわってきています。
土佐さんの活動は次のサイトをご覧ください。
https://kateinai-keicho.com/

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