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2024/01/18

■デヴィッド・ハーヴェイの『反資本主義』をお薦めします

いまの社会の流れを変えたいと思っている人に、ぜひ読んでほしい本に出合いました。
デヴィッド・ハーヴェイの『反資本主義』(作品社)です。
https://sakuhinsha.com/politics/28393.html

書には、なぜ新自由主義的資本主義が広がり、いまそれがどういう状況に置かれているか、そして、そうした状況を打開し、新しい道を切り開いていくためにはどんなシナリオがあるのか、が示唆されています。
類書は少なくありませんが、時代の流れを大きく把握し、先を実践的に展望するために、大きな示唆をもらえる本です。

特に私が共感したのは、コロナパンデミックで大きく変わってしまった状況にあるいまこそ、ある意味での「好機」ではないかとの著者の指摘です。
たとえば、著者は「この緊急事態のまっただなかにおいて、われわれは実にさまざまな代替的体制を実験している。貧しい人や被災地域や被災集団に対する基礎食品の無償提供であり、無料の医療処置であり、インターネットを通じた別種の通信交流環境などだ。実際、新たな社会主義社会の輪郭はすでに明らかになりつつあり、だからこそおそらく右翼や資本家階級も不安のあまり、以前の状態に人々を連れ戻そうとしている」というのです。そして、「今という瞬間は代替的社会を築くために、この社会主義的想像力を駆使できる時ではないのか? これはユートピアではない」とはーヴェイは呼びかけます。
さらに、この好機を活かすために、民衆教育としての社会運動の必要だというのです。

残念ながら、しかし現実は、ハーヴェイも危惧している通り、むしろ以前の状況に戻そうという動きの方が大きいように思います。多くの人の意識も、それに同調していますし、むしろ以前よりもさらに新自由主義的資本主義の流れに身を任せようとしているようにも感じます。
新自由主義的資本主義は、明らかに破綻指定と思うのですが、その一番の被害者こそが、その流れを守ろうとする。これはこれまでも繰り返された歴史の教訓でもありますが。

それはともかく、本書はぜひ多くの人に読んでほしい気がします。
できれば、以前お薦めした『資本主義の次に来る世界』も併せて。

ちなみに、本書には、ウクライナ戦争勃発時の論考「ロシアのウクライナ侵攻をどう見るか-暫定的な声明」が付録として併載されています。
いまなお示唆を与えてもらえる小論です。よかったらこれだけでもぜひ。

 

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