■湯島サロン「戦争ができる国からの解放」報告
長年、平和や基本的人権の問題に取り組んできた川本兼さんが、1月に『戦争ができる国からの解放――日本と世界を変えなくては平和を獲得できない』を三一書房から出版しました。
https://books.rakuten.co.jp/rb/17728597/
川本さんは、本書の中で、反徴兵法制定運動を起こそうと書いていますが、今回はそういう呼びかけも含めてのサロンでした。
サロンでは、まず川本さんが書名(副題も含めて)に込めた想いから話しだしました。川本さんは、護憲論者の発想の転換が大切だと考えています。とともに、基本的人権の視点で、平和の問題を考えないといけないというのも川本さんの長年の主張です。
川本さんは、最近のウクライナ戦争をめぐる世論の状況などに触れながら、「戦争ができる正義の国」の考え方を国民が採るようになると、気がつかないうちに国民は「戦争ができる国」の手段とされ、犠牲にされてしまうことへの注意を喚起しました。そして、そのような考え方の行き着く先は、広島・長崎の原爆投下および東京大空襲をはじめとする都市無差別爆撃の犠牲となった先次大戦下の日本国民と同じ(あるいは現在におけるハマスとイスラエルとの紛争におけるガザ地区住民と同じ)ではないかと指摘します。
そうした認識を踏まえて、だからこそ「戦争ができる国からの解放」という考え方が必要だというのです。もう「平和憲法を護る」と主張するだけでは平和は守れなくなっている、護憲論者は発想を変えなければいけないというのです。
しかし発想を変えるだけでは事態は動かない。そこで、「先ず、反徴兵法の制定運動を」という「平和のための革命」運動(=基本的人権としての平和獲得運動)が必要だと呼びかけます。
話し合いでは、「国家と戦争の関係」、つまり国家に戦争をできる権利を認めるかどうか、という議論や、日本国憲法の位置づけ、つまり国際法理念のなかで特異な位置づけにあるのかどうか、さらには、私たちは憲法によって守られているのか、などが話題になりました。「統治」と「自治」も少しだけ話題に上がりました。
川本さんは、一緒に行動していく人を探しています。具体的な呼びかけは今回はありませんでしたが、こうした考えに共感して、一緒に、日本と世界を変えていく活動に取り組む人がいたら、川本さんは一緒に取り組みたいと考えているようです。
今回のサロンには最近、雑誌などで「平和」に関する論考を発表した本間さんや折原さんも参加しました。それぞれの論考に通底しているのは、いわゆる平和憲法の理念を軸にして、思いを広げていこうということです。
できれば、そうした議論が自由闊達に行えて、実践へとつながっていく、ゆるやかなプラットフォームが生まれればと思っています。
今回は、川本さんの主張を軸に話し合いましたが、次回は、最近、「攻められたらどうするのか 真の安全保障政策を考える」を発表した折原さんに、4月14日、サロンをお願いしています。
並行して、広義の平和に向けての実践に取り組んでいる人たちのサロンも開催していく予定です。話題提供や問題提起した方がいたら、ご連絡ください。サロンを企画しますので。
平和や憲法に関するサロンは湯島ではよく行われていますし、実践活動を展開している人も湯島サロンに参加している人のなかには何人もいますので、どこかでそれらが緩やかにつながっていくサロンもいつか実現したいと思います。
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