■湯島サロン「コモンズの共創① 公と共の違いを考える」報告
久しぶりに私が問題提起させていただく連続サロンをスタートさせました。テーマは「コモンズの共創」。隔月開催を予定しています。
私が考えているコモンズは、「みんなのもの」という意味ですが、いわゆる「公」とは真反対なベクトルを持つ「共」なのです。ですから、そもそも「公共」という言葉は実態を覆い隠す言葉のような気がしています。
これは、湯島のサロンを始めて以来、その根底に置いている考えですが、なかなか伝わらないようです。そんなことから、改めてコモンズとは何かを考えていこうというのが、今回の連続サロンを思い立った意図なのです。
そこで、第1回の今回は最近、湯島のサロンでも話題になっている「公と共」を取り上げ、私の考えを問いかけさせてもらいました。
初回なので、いろいろな問題を含ませた形で総論的なパワーポイントをがんばって作成し、40分ほど話をさせてもらいました。その内容を報告していると長くなりますので、省略します。その最後の3枚だけを添付します。関心のある方はご連絡いただければ、パワーポイント全体をデータで送ります。
今回のテーマに関しては、次のような話をさせてもらいました。
日本における「公」は、パブリックというよりも、むしろ「官」(お上)に近く、「公共」という言葉に含意されている「みんなのもの」という「みんな」も「民」(臣民)というニュアンスが強く、主体性を持った個人というよりも、「官から捉えた民」という感覚が強い。国鉄などの「民営化」によって、国民みんなの財産が企業の財産になってしまったのは、その表れの一つではないか。
日本国憲法でも、主権者とされる個人の権利や自由よりも、公共の福祉が優先されており、しかも自民党の憲法改正案では、「公共の福祉」が「公益および公の秩序」に置き換えられていることに示唆されるように、「公共」も「公」に近い概念である。
最近話題になっている「コモン」とか「コモンズ」は、むしろ公とは対極にある概念であり、公共とは真反対のものであることを明確にする必要がある。
その根底にあるのは、社会を捉える視点であり、全体を起点にするか個人を起点にするかというパラダイム(発想の枠組み)の違いがある。
これまでは、全体を起点に社会を捉えて個人を考えてきたが、視点を逆転させて、個人を起点に社会を考えていくべきではないか。
そういうベクトルで考えれば、経済学も政治学も、行政も福祉もすべて大きく変わっていく。逆に、そうしたパラダイムシフトをしない限り、事態は何も変わらないのではない。
かなり大雑把な議論ですが、まあそんな問いかけをさせてもらいました。
そして話し合いに入りましたが、応答に精いっぱいで、話し合いの内容が思い出せません。困ったものです。どなたか代わりに報告してくれませんか。
なにやらだいぶ私が批判されたような気もしますが、でも残念ながら話し合いまでにはいかなかった気がします。今回もまた説明不十分で、話し合いが始まるまでの説明ができなかったようです。
たとえば、コモンズの時空間的な広がりや社会の捉え方をパラダイムシフトした場合の個人の具体的な行動変容に関する質問もありましたが、いずれも私には自明のことです。
一言で言えば、自分を素直に生きることから社会を再構成していこうということで、まずは身近な社会をコモンズとして主体的に関わっていこうということです。
ただコモンズは、そこに存在するわけではなく、変化し続けている(つまり生きている)ものだと考えています。だから「共創」なのです。サロンでも参加者の一人が指摘してくれましたが、個と全体はホロニックな関係です。
そして、私自身とつながるコモンズを時空間的に徐々に広げていこうということです。私自身と無縁な社会は私には存在しませんが、その社会に私のコモンズをできるだけ広げていくのが私の目指す生き方です。(雑駁な説明ですみません)
私はそういう生き方を長年やってきていますが、どうもそれが他の人にはなかなか理解してもらえないようです。しかし、誰かに指示してもらう生き方から抜け出して、その気になれば、誰でも、すぐにでもできることです。もちろん実際にそうできるようになるまでには時間がかかりますが、そういう生き方を目指すことならば今すぐにもできるはずです。もっとも、私はそういう生き方に主軸を置いてからもう30年以上経過しますが、まだまだです。
次回は5月の上旬に「コモンズの悲劇と幸せ」をテーマに開催する予定です。
しかし今回のサロンは、たぶんに消化不良の気がしますので、今回、参加できなかった方も対象に、4月に今回の話を踏まえての話し合いだけのサロンを開催する予定です。
日程が決まったら案内をさせてもらいます。
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