« ■湯島サロン「攻められたらどうするのか? 真の安全保障政策を考える」のご案内 | トップページ | ■湯島サロン「請願権の現実をご存じですか」報告 »

2024/03/13

■第30回益田サロン「生物と環境の二重円錐モデル」報告

細菌学の視点を基軸に、生物と環境の関係を考え、そこから社会の様々な問題を捉えなおそうという益田サロンも30回目を迎えました。
回は、昨年末に行きついた「生物と環境の二重円錐モデル」をベースに、「言葉」を切り口に、改めて、言葉や時間を持った人間の視点で、生物と環境の問題を考えていこうということになりました。

最初に益田さんは、「言葉は、時間を越えて、事物の存在を保証する」と話しだしました。空間的な円形モデルでの生物と環境の捉え方とは違って、円錐モデルにおいては、時間の観念が生まれ、存在は動き出すのですが、それらは言葉によって保証されるというわけです。言い換えれば、言葉が時間を生み出したと言ってもいいでしょう。

しかし、「事物の存在」を「保証する」とはどういうことか。
初参加した人が、最近、自分の名前を変えたという話をしてくれました。
これまでは生まれた時に親から与えられた「名前」で生きてきたが、定年で仕事をやめたのを契機に、別の名前を使うことにしたというのです。

その人が言うには、自分はどんどん変化しているにもかかわらず、名前によって自分が「固定」されている。そうした名前によって構成されているアイデンティティを解き放ちたいというのです。
言葉(名前)と実体(事物の存在)との関係は、言葉から考えるか、存在する事物から考えるかで、逆転します。たとえば、「保証」が「支配」「拘束」になることもある。

また「保証する」対象は固定した事物なのか変化する事物なのかによって、「存在」の意味合いが変わってきます。いささかややこしく言えば、即自的なアイデンティティか対自的なアイデンティティかと言ってもいいでしょう。

そこから、生物(主体)と環境の二元論的・二次元的ではない関係が見えだすのではないかという気がしますが、今回はまだ「存在」や「保証」の意味を深めるまでには至りませんでした。

さらに、言葉が生み出す「環境」と円形モデルで考えられていた「環境」との違いも整理する必要があるような気がします。「関係」と「境界」の問題も少し出ましたが、まだ話し合いにまではいきませんでした。これもとても面白いテーマだと思います。

モデルが「進化」した以上、言葉や概念もまた「進化」させる必要があるような気がします。そのあたりの理解の共有が難しいために、なかか話し合いが難しい。

もう一つ、益田さんが提出した命題は「言葉は環境である」ということです。
「身体あっての心」というのはこれまでも何回も出てきた命題ですが、円形モデルの場合、「環境あっての生物」というように、環境が生物(のようなもの)を生み出してきましたが、言葉が生まれた円錐モデルになると、逆に環境である言葉が、生物のようなものを生み出すことになると益田さんは言います。
ここで生物と環境の転回が生まれるわけです。さらには環境や生物の意味合いも変わってくるような気がします。

と、今回もまたかなり私の勝手な解釈を入れて整理してみましたが、益田さんの意図に沿っているかどうか自信がありません。

たとえば、あとで確認したら、益田さんとしては、言葉はその対象を生物のようなものにする。つまり言葉によってその対象は復元性すなわち持続的に存在を続ける(対象が不変のものになる)ことができるようになる、という意味で、「言葉は環境である」という命題を出したそうです。

というように、なかなか話し合いがかみ合わないのは、やはり基本となるモデルの理解や「言葉」の意味が共有されていないからではないかという気がします。

そこで次回は、益田さんと相談して、これまでの集大成も兼ねて、「生物-環境」益田モデルを益田さんにていねいに解説してもらい、そこからいくつかの論点課題を提起してもらおうと思います。

これまでに、様々な論点・課題が出てきているように思いますので、改めての益田さんのモデル解説から、シーズン2の益田サロンを開始したいと思います。
次回の益田サロンは415日(月曜日)を予定しています。
ぜひ新たな参加者も含めて、みなさんの参加をお待ちしています。

Masuda30000

|

« ■湯島サロン「攻められたらどうするのか? 真の安全保障政策を考える」のご案内 | トップページ | ■湯島サロン「請願権の現実をご存じですか」報告 »

サロン報告」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ■湯島サロン「攻められたらどうするのか? 真の安全保障政策を考える」のご案内 | トップページ | ■湯島サロン「請願権の現実をご存じですか」報告 »