■湯島サロン「春の食養生」報告
東方健美研究所代表の新倉久美子さんによる「食養生」サロンの春版ですが、今年はちょっと遅れてしまい、立夏に先立つ土用の季節になってしまいました。
そこで今回は、春食養と土用食養の話をしてくださいました。
昨年末の、「ふるさと薬膳のすすめ 郷土食は日本の薬膳」のサロンで、食養の考え方や新倉さんの提唱している「身土不二」のふるさと薬膳の解説はしてくださっていますが、今回もまた改めてしてくださいました。
これに関しては昨年の報告でも書きましたが、要約すれば、ひとつは「土地と食」という切り口から、地域食文化の継承と創造の意味や「身土不二」の大切さを、もう一つは「季節と食」という切り口から陰陽五行説を踏まえた「食養」の取り組み方。まとめて一言で言えば、「その土地でとれた食材を食べ、その季節にとれる旬のものを食べること」(「風土はフード」)こそ、健康につながる「食養生」だというお話です。
詳しくは前回の報告を読んでみてください。
http://cws-osamu.cocolog-nifty.com/cws_private/2023/11/post-c35e3b.html
前回は、中国の陰陽五行説に基づく「五行配当表」によって、季節季節の食養生のポイントを総論的に解説してくれましたが、今回は「春」と「土用」に焦点を合わせてくれました。
新倉さんの「五行配当表」を添付しますが、簡単に言えば、食物の持つ五味五性の性質と人間の臓器との関係を五行で閑連づけ、バランスよく配合することが「薬膳」の基本であり、特に五味五性の調和が大切なのです。
季節ごとの色も大きな意味を持っています。
ちなみに「土用」は日本では夏の「土用の丑の日」をイメージしがちですが、陰陽五行説では季節の変わり目を「土用」というのだそうです。つまり、いわゆる四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間のことだそうです。
今年で言えば、立夏が5月5日ですので、今まさに春から夏への土用というわけです。
今年は間に合いませんが、春の食生活のポイントは、「春は肝臓、酸味」だそうです。
春は、暖かくなる気候により植物が芽吹き、樹木は枝葉を伸ばす柔軟でのびやかな季節です。この季節を健やかに過ごす、食のポイントを漢方では「蔭」を養い育てて、肝機能を補う食事を心がけようという意味から「養蔭補肝」という言葉で表すそうです。
具体的には、涼性、冷性の食材で肝機能を補う作用のある旬のもの、葉物野菜やサヤエンドウ、レタス、ノビルやカンゾウ、ハコベなどの山野草、鶏肉、レバー、白身の魚などに「酸味」を加えて、食べるとよい、と新倉さんは言います。
また、春は目が疲れる、目がかすむ、など目にトラブルが多い季節だそうですが、こうした目の症状は肝機能の低下によることが多いそうです。ですから、旬の食材を上手に組み合わせて調理し、酸味を多めに摂るように心がけるのがいい。
今年はもう春の食養生の季節は終わってしまいましたが、夏に向けての「土用の食養生」に関しては、五行配当表にあるように、「涼・寒」でもなく「熱・温」でもなく、あまり刺激的でない「甘味」を意識するのがいいそうです。具体的には大豆やその加工品(豆腐やアブラゲ)をあげてくれました。そして「胃」を意識しようということでした。
話し合いでもいろいろな話が出ました。雑穀米の話やスローフードの話など、私にとってもとても示唆に富む話も多かったのですが、何しろ私は食材や料理に関する知識が乏しいので、きちんと紹介できないのが残念です。
次回の「夏養生」サロンは、6月8日に開催しますので、ぜひ実際に料理をする人たちに参加してほしいと思います。ぜひ予定に入れておいてください。
もっとも料理しなくても食に関する知見がたくさん得られますので、ただ「食べるだけの食生活者」である私のような人にも大いに参考になります。
ちなみにサロンの日の夕食から、私は苦手な大豆食品をできるだけ食べるようにしました。これで今年も暑い夏を乗り越えられるでしょう。
と思っていたら、一昨日から胃がやられてしまいました。土用の期間はとりわけ胃に注意しないといけないと痛感させられました。
健康に関心のある方は必須のサロンです。
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