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2024/05/20

■第4回脱ひきこもりサロン「ある〈ひきこもりの親〉Sさんの場合」報告

脱ひきこもりサロンの4回目は、こんな「ひきこもり」スタイルもあるという話をしてもらいました。「ひきこもり」と言っても、それぞれ全く違う状況にあるように思うのですが、一般的にはマイナスイメージが強すぎて、それにみんな引っ張られてしまっているような気がするからです。

話を引き受けてくださったのが、母親の立場でのSさんです。
Sさんは、これまで何回かサロンに参加してくださっていますが、お話を聞いていて、いつもとってもあったかなものを感じていたのです。にもかかわらず、それでもやはり先を考えると不安がないわけではないと時々お話になります。それが少し気になっていました。

でも、いわゆる「8050問題」などは、別に「ひきこもり」に限った問題ではないのではないのか。「ひきこもり」家族が特別視される風潮に私は少し違和感があるのです。どんな家族にも、それぞれ問題はある。何か「言葉」が与えられると、その周辺が見えなくなってしまい、いい意味でも悪い意味でも、特別扱いされていく。そして、いわゆる「社会的弱者の権利」を振り回す人や、それをビジネス化する人さえ出てきかねない。

さまざまな「生きづらい人たち」にささやかに関わってきて、いつも気になっているのが、そうした「問題」を可視化することの功罪です。いろんな生き方のひとつを特別視する社会の風潮がどうもなじめないのです。もちろんそれが悪いわけではありません。でも、言葉にはなっていないけれど、みんなそれぞれに苦労しているのです。私だっていろんな問題を抱えていると、時に言いたくもなる。
ちょっと深入りしてしまいました。すみません。

Sさんのお話は、やはりあったかで穏やかな話でした。Sさんは、「ひきこもり」を受け入れながらも、決してそれを「一般化」せずに、それこそ自分たちの生き方という肯定的な姿勢で取り組んでいるような気がしました。
でも今のような状況になるまでには、母親としていろんな場に話を聞きに行ったようです。まあ、その流れでこの湯島のサロンにもつながってくれたわけですが。

そこでいろいろと感じたことも話してくれました。それこそ学校の話もでました。
聞きようによっては、どこにもあるような話で、あえて「ひきこもり」などという必要もない気もしますが、今様に言えば、「ひきこもり」と言えるのかもしれません。

サロンでの個別の話は基本的にオフレコなので、報告は差し控えますが、一つだけ紹介させてもらいます。
Sさんの息子さんには、子どもの頃からのなかよしの友だちがいるそうです。その友だちとは2人で旅行にも行くことがあるそうです。ここに大きなヒントがあるような気がします。

どんなにひきこもっていても、必ず外部とのつながりはあります。
それがネットなのか、ラジオなのか、家族なのか、はたまた自然なのか、はともかく、人は一人では生きてはいけません。その「つながり」によって、「ひきこもり」の状況は大きく変わるとともに、その「つながり」が「ひきこもりの安心の世界」を広げていくはずです。つまり、「ひきこもり」が問題ではなく、「ひきこもりの世界」の広さにもっと関心を持つべきではないかという気もします。

先日の「子どもたちの学びの場としての学校」のサロンでも「アタッチメント」が話題になりましたが、ひきこもりはある意味でのアタッチメント探しかもしれません。
自らの身を寄せ、つながりを感じられる「安心の基地」にひとまず落ち着く。それが「ひきこもり」であるならば、それはむしろ大切なことではないのか。

これも以前、ひきこもり関係のサロンで話題になったように、ひきこもりとは「安心できる世界」さがしでもあるでしょう。だとしたら、そうした「安心の基地」を子どもたちが見つけていくのになぜ周りの大人たちは理解を示さないのか。むしろ協力して、その世界を広げていくように力を貸すのがいいのではないか。問題の捉え方が間違っているような気もします。〇か×かの二者選択ではないのです。
それができないのは、もしかしたら、自分たちの世界こそが「狭い」のではないのか。そうであれば、まずは自分の世界をもう少し広げていく必要があるかもしれません。

今回はおひとり、自ら難しい問題を抱えている人が参加してくれました。
そして自らの問題をカミングアウトしてくださいました。
それに応じて、Sさんをはじめ、参加していた当事者の方や家族がいろいろと体験知からのアドバイスしてくださいました。お互いに気づきの多い話し合いになったような気がします。

そこで問題になったひとつが、当事者や親の問題ではなく、当事者の兄弟姉妹の問題です。まだこのサロンでは、それが話題になったことはありません。
でももしかしたら、それこそが問題を解くカギなのかもしれません。できれば兄弟姉妹問題をいつか取り上げたいのですが、話題提供してくれる人がいたらぜひご連絡ください。

今回はSさんのお話と新しい参加者のおかげで、私自身、気づかされることの多いサロンでした。でも私もいささか感情的になってしまい、余計な自分の話に加えて、「ひきこもり」というブラックホールに安住していないで、外に跳び出そうなどとついつい余計なことを言ってしまい、反省しています。

Sさんはじめ、参加されたみなさんに感謝します。

Suganuma100

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