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2024/09/14

■湯島サロン「秋の食養生」報告

食は地域と季節に深くつながってこその「薬膳」だという新倉久美子さん(東方健美研究所代表)に、季節ごとに食へのアドバイスをお願いしていますが、今回は、「秋の食養生」でした。
厳しい暑さのなか、10人を超える参加者が集まってくれました。

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このサロンへの初参加の方も多かったので、いつものように、食養の考え方や新倉さんの提唱している「身土不二」のふるさと薬膳の解説から始まりました。
何回聞いても、いつも新しいエピソードが追加されていて、気づかされることが少なくありません。

「食養生」に関しては、参加されていない方もいるので、改めて簡単な要約をしておきます。ひとつは「土地と食」という切り口から、地域食文化の継承と創造の意味や「身土不二」の大切さ、もう一つは「季節と食」という切り口から陰陽五行説を踏まえた「食養」の取り組み方。まとめて一言で言えば、「その土地でとれた食材を食べ、その季節にとれる旬のものを食べること」(「風土はフード」)こそ、健康につながる「食養生」だというお話です。
「食べ物は薬」という「薬食同源」の話もありました。こうしたことから新倉さんは「ふるさと薬膳」を各地に広げてきたのです。

詳しくは第1回の報告を読んでください。
http://cws-osamu.cocolog-nifty.com/cws_private/2023/11/post-c35e3b.html

つづいて、「秋の食養生」について具体的にお話しいただきました。
新倉さんの食養指針の背景にあるのは、長年の調査研究、そして実践を通して、新倉さんが整理した「(新倉版)陰陽五行配当表」(添付)です。今回もそれにしたがって、具体的な食材や調理法にも言及しながら、食の留意点を話してくださいました。

秋は空気が乾燥するため、鼻や喉に不具合が生じて肺呼吸器に症状が現れやすいそうです。肌や髪の毛に潤いがなくなるのもこの季節の特徴です。
したがって、秋の食養生のポイントは、漢方では体内の「陽」を育て肺呼吸器を潤すという意味から「培陽潤肺」という言葉で表すそうです。
新倉さんも、この季節の食養生は「秋は肺呼吸器、辛味」と覚えましょう、と言います。さらなる乾燥期、そして寒い冬に備えて、呼吸器系を整え、身体を程よく温めていくことが大事なのです。
肺を潤す食べ物は里芋、大根、にんにくなどの他、生姜、山葵、山椒など辛味の食材が効果的だそうです。背の青い魚も身体を程よく温めてくれるそうです。
蕎麦のように身体を冷やすようなものを食べるときには、辛味の薬味で緩和するといいとも教えてくれました。

いつも書かせてもらっていますが、食は生き方にも深くつながっています。
イタリアから広がった「スローフード」はまさに「スローライフ」につながっていましたが、今回私が改めて気づかされたのは、食への取り組みは自立した生き方につながっているということです。

新倉さんは以前、各地の伝統食をしっかりと残していこうと「ふるさと薬膳」という考えを打ち出して、全国を飛び回り、農村の女性たちと一緒に「伝統食」を「ふるさと薬膳」ブランドで、事業化していくのを手伝っていました。そうした活動が農村女性たちの経済的自立への意識を喚起していった話を今回もしてくれました。

いつものように今回もいい話だと聞いていたのですが、この話は、他人事ではないことに気づかされました。つまり、私のように「食」を与えられるもの(誰かがつくってくれるもの)として受け止めている生き方に対する厳しい問いかけでもあることに気づきました。
つまり、自分では食材選びや調理をすることなく、いつも誰かが提供してくる食事を食べているような生き方は、自立した生き方とは言えないのではないかと気づいたのです。
私にとっては、これはかなり衝撃的な気づきです。

新倉さんはまた、食べるものはすべて(健康への)効能があるとも話してくれました。
実際に参加者からも、食生活を変えたら体質が変わったという体験談も紹介されました。
医療と食生活は、まさに隣り合わせなのです。
私もそのことは頭ではわかっていましたが、新倉さんのこのサロンに参加させてもらっているおかげで、まさに薬食同源を実感できるようになってきました。

今回は参加者も多かったこともあって、話はかなり広がりました。
そうした話の広がりを聞いていても、食こそ、生きることの基本だなと痛感します。
にもかかわらず、どうも最近の食への関心はおかしな方向に向いている気がしてなりません。
いやその前に、私自身の食への無関心さはやはり問題です。

食は与えられる餌ではないのですから、もっと自分で何を食べるかを考え、自分でたまには調理しなければいけません。せめて何を食べているのかくらいはもっと知ろうとしなければいけません。
そんなことは私にはできそうもないのですが、どうもそうも言ってはいられない。
困ったものです。

話がだいぶそれてしまいましたが、今回はいろんなことを気づかせてもらいました。
でも男の料理教室に行く気にはまだなっていませんが。

なお、藤倉さんは、現在、「週刊金曜日」に、メニューと写真つきで「季節の薬膳」毎月連載しています。関心のある方は是非お読みください。

報告が遅れたうえにいささかピント外れの報告になってしまいました。
実は最近心身ともに不調なのです。
食生活を問い直さないといけません。

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