« ■湯島サロン「秋の食養生」報告 | トップページ | ■節子への挽歌6154:なかなか生活のリズムが安定しません »

2024/09/15

■湯島サロン「沖縄/南西諸島で急速に進むミサイル基地化」報告

久しぶりに沖縄在住の緒方修さんに、沖縄で進んでいる軍事基地化の現状報告をしていただきました。
首都圏にいると沖縄の話はウクライナやガザの動きほどにも入ってきません。そこにこそ、大きな問題があると私は感じています。

以前、沖縄に関するサロンの報告に書かせてもらいましたが、私は「沖縄と連帯する会・ぎふ」の「沖縄関係ニュースなど(沖縄2紙の基地等の問題のニュース見出し+URLのリンク)」を定期的に読ませてもらっています。更新時に代表がコメント・サマリーを書いてくれているので、それを読むだけでもお勧めします。
ぜひみなさんにも読んでいただきたいサイトです。
https://okinawarentaigifu.jimdo.com/

今回、緒方さんは、いまの沖縄での現場情報というよりも、その根底にある大きな動きに関して、お話ししてくださいました。
最近は目先の動きに目を奪われてしまい、大きな構造への関心を忘れがちですが、こうした基本認識を時々再確認することは大切です。

緒方さんは最初にまず南西諸島の位置を地図で示してくれました。
そもそも「南西諸島」と言われてもピンとこない人も多いと思いますが、九州の南にある馬毛島から台湾に近い与那国島まで、約1200キロにわたって弧状に位置している島々を指します。いまそこに自衛隊が配置され、ミサイル基地化が進んでいるのです。
これに関しては、これまでも湯島のサロンで個別には取り上げてきていますが、今回はそうした動きの背景にある世界の政治構造(あるいは経済構造)について緒方さんは関心の目を向けさせてくれました。

この南西諸島のラインは、かつてよく話題にされたアメリカ軍のオフショア・コントロール(米国本土からできるだけ遠くに防衛拠点を作る)戦略における第一列島線の北部に当たります、その北には、かつて「不沈空母」と言われた日本列島があり、これがアメリカと中国の安全保障にとって重要な意味を持っているのです。いまその南西諸島が実質的には中国に向けてのミサイル基地になってきているのです。私たちはその意味をしっかりと受け止めないといけません。

これまで南西諸島に配備されるミサイルは射程200キロほどの迎撃用でした。しかし最近それが射程1000キロほどのものになってきている。中国本土にも届く攻撃用ミサイルと思われても仕方がない。
つまり方針が変わったのです。南西諸島の主だった島を、自衛隊と米軍の基地が入り交じりながら、中国が太平洋に出るのを抑える第一列島線を武装した壁にする、という計画が進んでいるわけです。こんな大きな変化に無関心でいていいはずがありません。

中国との最前線である南西諸島を緊張緩和ではなく、攻撃性のある武器を並べた「城壁」にするということは、南西諸島を守るためではなく、アメリカ政府と日本政府がともに南西諸島を捨て石にする意図をもったということだとも考えられます。
武装が進み集落の近くにミサイル弾薬庫が作られているのに、住民の有事避難計画は不十分。これもむしろ住民の不安を高める代物のようです。

こうした動きに対して、緒方さんたちは現地の状況を写真で撮って、写真展を各地で行っていますので、ご覧になった方もいるでしょう。でもそうした危機感やそれを問題にする動きはなかなか広がらない。
写真展は台湾でも開催したそうですが、そのとき、学生に「大陸から攻めてきたらどうする?」と訊ねたら「歓迎旗振って歓迎します。その後抵抗します」と言ったそうです。台湾の民間でもあまり戦争の危険は感じていないようですが、日本の若い世代はどう思っているのでしょうか。そんな話もありました。

しかし、厳しい戦略をとりながらも、アメリカは中国とのチャネルはたくさんキープしてもいる。一方、いまの日本には中国とのチャネルはほとんどない。
そこに緒方さんは大きな危惧を感じているのです。

とまあこういう話をいろいろとしてくれました。詳しくは緒方さんが、「文芸思潮」に寄稿した「沖縄/南西諸島 急激に進むミサイル基地化」の記事を添付しますので、是補お読みください。

ダウンロード - e6b296e7b884e383bbe58d97e8a5bfe8abb8e5b3b6e3839fe382b5e382a4e383abe59fbae59cb0e58c96efbc8fe69687e88ab8e6809de6bdae.pdf

こうした話の途中でも、話題はいろいろと飛びました。

辺野古(米軍飛行場移転先)の話題も出ましたが、辺野古埋め立てのために、いまも島の西側の安和鉱山から毎日900台以上のダンプカーが土を運び出しているそうです。
辺野古は地域が拡大された結果、軟弱基盤が含まれたので、未来永劫完成しないという見方もありますが、それにもかかわらず埋め立てはいまも続いているのです。
私はそこに、現在の経済と政治の本質を感じますが。

以前、湯島でも話題になった下地島での陸上自衛隊高官5人が私服で乗っていたヘリコプターの墜落事件もちょっと話題になりました。多くの人がおかしいと感じていることも、いつの間にかうやむやにされて忘れられていく。

でもそうしたところにこそ、事実を見極め、未来を開くカギがあるのかもしれません。
これこそ、今度湯島で開催する「陰謀論サロン」のテーマです。

なお、緒方さんも寄稿している東アジア共同体研究所のニュースマガジンも沖縄関連記事が毎週出ています。次のサイトに「いいね」をすれば、毎週送られてきます。
http://www.facebook.com/east.asian.community.institute

サロンに参加したおふたりの方から感想が届きました。
勝手にその一部を紹介させてもらいます。

沖縄の人たちの絶望感、微かな幸せを抱いたままで生存者としての複雑な諦め。無機質で横柄な軍事基地の施設を目にして心が傷んだ。そうなんです。傷んだのです。そこまでしか進まない自分を感じて胸が痛いです。

地域住民と日本政府の信頼関係を壊しても構わないというがごとき対話拒否・騙し討ち・なし崩し・瀬戸際ゴリゴリで押してくる強権発動で、強面化していると政府のアンチジェントルな態度変化を感じた。

いずれにも共感します。そして南西諸島で起こっていることは、明日の日本を大きく左右していきます。
そんなことなどに全く目を向けることのない、いまの自民党総裁候補者たちや立憲民主党代表候補者の議論を聴いていて、やはりこのままでは子どもたちに禍根を残すことになると思わずにはいられません。

来週9月26日に「あなたはなぜ戦争が嫌いですか」をテーマに話し合うサロンがあります。
お時間が許せば、ぜひご参加ください。

Ogata202409000

|

« ■湯島サロン「秋の食養生」報告 | トップページ | ■節子への挽歌6154:なかなか生活のリズムが安定しません »

サロン報告」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ■湯島サロン「秋の食養生」報告 | トップページ | ■節子への挽歌6154:なかなか生活のリズムが安定しません »