■「愛国心」
自民党総裁選挙で小泉進次郎さんが、なんと「愛国心」を持ち出したようです。
「愛国心」ほど、多義的で正反対の意味を持たせられる言葉はないように思います。
小泉進次郎さんが「愛国心」などというと、ぞっとしますが、「愛」という文字は私は大好きです。
最近読んだ、スラヴォイ・ジジェクの「戦時から目覚めよ」(NHK出版)で出合った一文はとても共感できます。
「愛国者、つまり自国を心から愛する人物とは、自国がひどい行いをしたときにそれを心から恥じる者のことを言う。『正しかろうが間違っていようが、私の国だ』という考え方ほど恥ずべきものはない。」
愛国者に関して書かれていますが、「愛」の本質を語っているような気がします。
この基準で考えれば、世に語られている愛国者や愛社精神の多くは、むしろ「愛するものへの背任行為の勧め」です。なんと「背徳的な政治家」の多いことか。そういう人に限って「愛国」という言葉を使います。
明日の9月27日、湯島で「あなたはなぜ戦争が嫌いですか」をテーマにサロンを開きます。
私自身は、戦争は嫌いですが、にもかかわらず私の体内には「戦争が好き」の心があることも知っています。だからこそ、常にその心を抑え込んでいるのですが、時に暴発してしまいます。そして無駄な結果に終わる「論争」や「非難行為」をしてしまっている自分に気づくこともあります。
まあそうしたことの集合的行為が戦争につながっていくのでしょう。
友人から勧められて読んだ、ジル・ボルト・テイラーの『奇跡の脳』(新潮文庫)にはこんな文章がありました。
「右脳の個性の最も基本的な特色は、深い内なる安らぎと愛のこもった共感」。
ジルは、脳卒中に襲われた若き脳科学者です。幸いに一命は取りとめたのですが、脳の損傷を受けた体験をとてもわかりやすく書いてくれています。
右脳と左脳の働きに関してはいろんな意見がありますが、ジルの体験からのこの言葉には右脳派を自認している私としてはホッとさせられます。
でもこれは必ずしも通説ではないでしょう。
むしろ左脳でこそ、戦争は抑えられると考えている人の方が多いでしょう。
私もつい数年前まではそう思っていましたし。
ところで、ジジェクの『戦時から目覚めよ』には、映画『サラエボ・サファリ』の話が出てきます。
ご存じの方も多いと思いますが、ここに登場するおぞましい人たちは右脳人間でしょうか、左脳人間でしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=QkTZYjL_8f8
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