■湯島サロン「英国の庭園でのボランティア体験」報告
5か月ヨーロッパを旅してきた仲谷さんの報告サロン第2弾は、最後に取り組んだ英国でのボランティア活動体験を中心に話してもらいました。
前回のサンティアゴ巡礼体験とは全く違っての一か所での生活です。
仲谷さんはまずなぜ英国でのボランティア活動に取り組んだのかの話から、ではなく、どうやってそのボランティア先を見つけたかの話からはじめました。
仲谷さんがボランティア先を探したのは、work exchange programという仕組みを通してです。このプログラムは、簡単に言えば、「毎日一定時間のボランティアをして、その代わりにホームステイさせてもらう」というもので、ボランティア先はネットで検索できるそうです。
work exchange を探せるネットのプラットフォームはいくつかありますが、代表的なものを紹介してくれました。いずれの場合も、自分が希望するところにネットで申し込み、ホストの了解が得られれば実現できます。
ちなみに申請は英語ですが、たまたま仲谷さんのホストは、面接もなく、書類審査だけで受け入れてくれたそうですが、もしかしたら、サンティアゴ巡礼直後だったことが信頼を高めたのかもしれません。
ただ、仲谷さんは、英国に移動した後、申し込んだため、実際にボランティア先が決まるまで1か月ほど、英国都市部で彷徨していたようです。
ところで仲谷さんが出合ったボランティア活動は、スコットランドの農村の庭の整理作業。「英国の庭園でのボランティア」という案内に、憧れの英国庭園の話を期待して参加した人もいましたが、「庭園」というよりも「広大な樹木つき野原」の草刈りと樹木伐採作業だったようです。バラの話は出てきませんでした。
“Work exchange”とあるように、ここでは“money”は使いません。
ボランティア作業と住まいの場の提供が、貨幣を介さずに直接交換される「事々交換」です。こういう仕組みが世界的に広がっているのは、なんだかとてもうれしいです。
お金などに依存しなくても、人間の支え合いや社会経済は成り立つのです。いや、お金を介さない関係であればこそ、人間的なふれあいが生まれるのかもしれません。
湯島のサロンで時々話してもらっている「エルモット村」も、“Work exchange”で世界中の若者とのつながりを広げました。仲谷さんは「民際交流」という言葉も使いましたが、国家の枠組みを超えだしているのは、資本だけではないのです。
話がまたそれました。反省。
ホスト家族は、学校の先生夫妻で、ふたりの子どもは大学生で家を出ていますが、たまたま夏休みだったので、ふたりとも家に戻ってきていたそうです。家族とはほぼ毎日、会っていたそうです。
仲谷さんの場合、1日の作業時間は4時間。住まいはホストの家の近くの別棟の家。食事は自炊ですが、食材は近くのお店で購入。昼食はホスト夫妻が作った物を一緒に食べることが多かったようです。
日曜日は、ホスト家族と一緒に教会へ。近くには特に観光地的なところはないので、作業時間以外ものんびりと広大な庭で過ごしていたようです。
でも村祭りに参加したり、近くのウィスキー工場見学会や鷹狩イベントに行ったり、元貴族の館の見学に行ったり、結構楽しんでいたようです。本人は退屈だったと言っていましたが。
滞在期間が2週間と短かったこともあって、村の人たちとの交流はあまりなかったようです。それに「日本人」だからといって、特に珍しがられたこともなかたようで、そのあたりが「外国人」に対して特別視しがちな日本の社会とは違うようです。
ちなみに、ホスト家族がボランティアを受入れ始めたのは今年の7月からで、仲谷さんは2人目の受け入れボランティア。ホストにとっても、その村全体にとっても、初めてのことだったようです。
ところで、今回のボランティア体験で、仲谷さんは何を得たのか。
そもそも今回の仲谷さんのサンティアゴから始まるヨーロッパの旅は、「自分探しの旅」でした。果たして「自分」は見つかったのか。
仲谷さん自身は明言しませんが、何か変わったものを得てきたようです。でも本人自身が、それがいったい何なのかに気づいていなようです。
前から仲谷さんを知っている人の多くは、変わったと言います。
他者のことを詮索するのはあまり趣味がいいとは言えないので、これ以上の詮索はやめますが、来年の仲谷さんはいろいろと新しいことをはじめるような気がします。
異体験は、必ず人生に新しい道をつくってくれる。私はそう確信しています。ただ、その新しい道を本人が気づくかどうか、そしてその道に歩み出すことを選ぶかどうか。
ちなみに、なぜ仲谷さんが英国にわたりボランティアに取り組んだのかは、明確です。
EU滞在の場合、3か月を超えるとビザが必要になるので、長期滞在するためには、一度、大陸を離れる必要がある。それで英国が選ばれた。ボランティアは単純に費用削減のため。英国でのボランティアを終わって、またEUに戻って彷徨することは可能だったわけです。要は、長くヨーロッパに滞在したかったようです。でも、ボランティア体験が終わったら帰国してしまった。
何かおかしい気もしますが、でもまあ、そんなことを詮索するのも余計なお世話です。仲谷さんが、英国でのボランティア体験で得たものが大きかったのかもしれません。
ボランティアを終わって帰国する時、ホストは仲谷さんを最寄り駅まで車で送ってくれたそうです。たまたま列車が着くのが遅れ、列車を待っている間、ホストといろいろ話をしたようです。サンティアゴ巡礼の話もしたそうです。
きっと双方にとって「よい別れ」だったのでしょう。
ホスト夫婦は、きっといつかサンティアゴ巡礼に行くでしょう。ホスト夫婦の子どもたちはwork exchange programを使って、いつか日本に来るかもしれません。
そんな気がします。
仲谷さんのサロンは、もう1回続きます。
次回は、サンティアゴ巡礼とスコットランドのボランティア体験の中間の、ポルトガルを中心としたヨーロッパ彷徨報告です。実は、この期間が一番長いのです。
改めて、サンティアゴ巡礼とは何だったのかの話もでるかもしれません。
よかったらお付き合いください。
今回仲谷さんがボランティアをしたところの写真を掲載している、work exchange programの募集サイトをご参考までに。
Volunteer Gardener Needed in Scenic Rhynie... - Worldpackers
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