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2024/11/22

■湯島サロン「冬の食養生」報告(2024年11月22日)

東方健美研究所代表の新倉久美子さんによる恒例の季節ごとの「食養生サロン」、今回は「冬の食養生」です。

20241100000 中国の「薬膳」には、病気を治すことを目的とする「食療」と、病気にならないよう予防するための「食養」の二面性があるそうですが、新倉さんが長年取り組んでいるのは、地域独自の食文化である郷土食を、薬膳的観点から見直し、現代風にアレンジして、「日々の食事によって健康を取り戻し、身も心も健やかに過ごしていくための「食養」を目的とした健康料理」として広げていこうという「ふるさと薬膳」活動です。新倉さんは、全国各地に実際に出かけて行って、そうした「ふるさと薬膳」の芽を各地に育ててきました。

新倉さんは、湯島のサロンでは毎回、季節に合った「食養」の話を具体的にしてくれるのですが、そこに入る前に、総論的に「郷土食は日本の薬膳」と題し「身土不二」や「薬食同源」などの話や、なぜ、自分がこの活動を始めたのかなどの話をしてくれます。
いつも同じ資料で話してくれるので、大筋は同じなのですが、毎回、新しいエピソードが含まれています。ですから毎回聞いている私も退屈しません。それに時々、同じ話でもハッとした気付きをもらえるのです。

新倉さんがこうした活動に取り組みだした契機の一つは、30年以上前に(天安門事件直前)、中国の精華大学に国費留学した時の体験です。もちろん精華大学に留学するには、その前の活動がいろいろとあるのですが、「薬膳」をきちんと学んだのはこの留学時だったようです。

今回は、その時の顛末の話がとても面白かった。たぶんこれまでも聴いているのですが、中国の文化の深さと実態に触れたようで、私自身、中国が好きになりました。
まあ、そんな「副作用」があるのが、新倉さんのサロンなのです。

「ふるさと薬膳」についての詳しい話は、これまでの報告を読んでほしいですが、今回はこれからの季節に向けての「冬の食養生」のポイントを、できるだけ新倉さんのお話そのままに報告します。新倉さんは、独自に整理した「陰陽五行配当表」に従って、次のような話をしてくださいました。

冬は、固まる性質を持つという意味から「水」の行に属する季節。冷たい北風に象徴される寒さの厳しい冬は特に早目の食養生で、体を温め、労わることが大切だそうです。

漢方ではこの季節の食養生のポイントを、体内の「陽」を補い、冷えに対する抵抗力の弱い、腎を温めよという意味から「補陽温腎」という言葉で表しています。

寒さの影響を受けやすい腎臓は、人間の成長・発育に関する働きを左右する重要な臓器であり、人体の生命力の源。中国の「食医」が一番気にしたのが腎臓だそうです。腎機能の衰えは足腰の弱り、聴力の衰え、頻尿や残尿感など老年期におこる不具合の症状にもつながっています。腎臓を大事にするのが長寿の秘訣。

ここまでの話は、まさに今の私にぴったり合います。
実は先週の定期検査で腎機能の弱まりを指摘され、足腰の衰えを今痛感、夜中の頻尿で寝不足です。人生の冬を迎える私には、いつも以上にこの言葉はピンときます。
ではどうしたらいいか。これに関しても新倉さんは具体的に話してくれます。

体を温め、腎機能を強化するためには、根菜類や背の青い魚、牛肉、羊肉の他、黒豆、昆布、ヒジキ、ワカメなど海藻頼など黒くて保温効果のある食材を上手に組み合わせて調理し、体の中から温かくなるよう、心がけることが大切だそうです。

味付けに関しては、冬はむしろ酸味とか苦味とか辛味よりも塩味(鹹:かん)が大事だと言います。そして「塩味」について少し話してくれました。五味でいう「鹹」とは合成された塩味ではなく、天然のミネラル成分を含む、人体に必要な塩分を含む味覚だそうです。たまたま、私は新倉さんに「藻塩」を味わせてもらいました。平板な塩味とは違います。塩分の取りすぎはよくないと言われますが、そこでいう「塩分」と五味で言う「鹹」とは違うのです。注意しないといけません。

そして新倉さんは、いつものように最後に「冬の食養生のポイントは『冬は腎臓、体を温めよ」と覚えなさいとまとめてくれました。

今回も新倉さんが整理した「五行配当表」に基づいての季節季節の食養生のポイントの説明もしてくれました。これはとてもわかりやすく、またすんなりと理解でき、誰でもすぐに取り込めそうなので、いつもと同じく添付します。
この表の詳しい説明を聴きたい人は、ぜひ次回の新倉食養サロンに参加してください。

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ちなみに新倉さんは、現在、週刊金曜日でレシピ付きの「季節の薬膳」を毎月連載しています。1115日号に掲載されたおすすめ薬膳料理は「錦秋喝采」。下味をつけた鯖をカラッと揚げて、ミカンやリンゴを加え、大根おろしを和えたものです。料理の命名はもちろん新倉さんです。写真を添付します。
とてもわかりやすい食養生記事ですので、ご関心のある方は是非同書をお読みください。

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今回はもう一つ、お薦めの一品のレシピも紹介してくれました。体を温める「長寿粥」。ちょっと先ですが、小寒・大寒の頃に是非とのことです。新倉さんが書いたレシピを添付します、私もできるかどうかわかりませんが、来年挑戦しようと思います。

なお次回は「春食養」に合わせて、季節の変わり目の「土用」の「食養」に関しても詳しいお話があるそうです。
だいぶ先ですが、2025年2月2日を予定しています。

 

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