■湯島サロン「日本の生成AIの現状と近未来-シンギュラリティにどう備えるか」報告
菅野弘達さん(株式会社ハイパーメディアマーケティング代表)の「日本の生成AIの現状と近未来」のサロンには10人を超す人が参加。しかも様々な立場の人が参加したのが印象的でした。すでに生成AIは思った以上にさまざまな分野に入り込んできていることを改めて認識させられました。
菅野さんは、いまから30年前の1994年に、パソコンの父とも言われるアラン・ケイを日本に招へいした時の(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会のスタッフで、まさにIT革命の始まりからIT業界に関わってきています。まずはそうしたご自身の体験も含めて、IT革命の歴史を振り返ってくれました。
つづけて、「シンギュラリティとは何か」の解説。
AI が進化していく過程で、いずれ人間の知性を超える転換点が到来するのではないかと言われていますが、この転換点のことをシンギュラリティ(「技術的特異点」)と呼んでいます。シンギュラリティは2045年に来ると言われていましたが、現場に関わっている人は、それが今ではどんどん早まると考えているようです。
たとえば、孫正義さんは人間の知能(IQ)を100万倍も超える超AIが10年以内には実現すると昨年発言しています。映画「ターミネーター」や「マトリックス」の世界が現実のものになるかもしれないのです。
実際に生成AIは、すでに私たちの生活の中に入り込んできています。
たとえば Chat GPTです。Chat GPTを使っている人も増えていますが、その「進化速度」も早いようで、どんどん進化しているようです。
スマホも、どんどんエージェント機能が進化し、最近ではAIエージェントという言葉も目に付くようになってきました。
つづいて生成AIによって社会が大きく変わっていくだろうことを、企業の世界と生活にとっても重要な移動手段を例に話してくれました。
生成AIはいまの産業構造を大きく変えていき、たとえば世界の自動車メーカーがどんどんと消えていく、つまり「トヨタが消滅する日」も来るかもしれないというのです。
実際にそうした状況の中で、トヨタも大きな戦略転換を進めています。
こうした動きの背景には、第4次移動革命と言われる「MaaS(Mobility as a Service)」が世界的に進んでいるという事実があります。MaaSを象徴するのは自動運転システムです。それは産業界を激変させるばかりでなく、私たちの生活や都市の姿を変えていくでしょう。
こういう話の後、菅野さんは参加者に「こうした生成AI 3.0時代を乗り切るためにどうしたらいいか」を問いかけました。そして話し合いが始まりました。
論点はさまざまなところに跳びましたが、そもそもAI革命が話題になりだした頃、「人間は働く必要がなくなりユートピアが来る」と「人間がAIに隷属するディストピアになる」という両論がありました。正反対の意見ですが、いずれもAIが人間の頭脳よりも優れていることでは一致しています。
つまり、ある意味でのシンギュラリティの到来は間違いない事実でしょう。
しかし、だからといって、AIが人間を超えるわけではありません。それは人間がネコや犬よりもすべてにおいて優れているわけではないということを考えれば納得できるでしょう。あんまり良い例ではないですかね? すみません。
でも大切なのは、AIの世界で優劣を考えるのではなく、人間の世界で発想していくことです、孫さんのようなビジネスマンに騙されてはいけません。AIがどんなにそのIQ機能を高めたとしても、そんなことは人間の幸せには大した意味もありません。IQ偏差値信仰に振り回されている現実を忘れてはいけません。
AIエージェントに振り回されないようにするには、AIをうまく使いこめばいいだけの話です。そのためには、AIを収益事業や国家統治のためだけの道具にしてはいけないということです。
人間にはIQなどでは評価できないすばらしいものがある。そうしたことに私たちはもっと関心を向けなければいけません。
そういえば、菅野さんは最近、マインドフルネスの活動を始めたそうです。
そこにこそ大きなヒントがあるのかもしれません。
いずれにしろ、AIはたかだかがエージェント(代理人)です。まちがってAIのエージェントになってしまわないようにしなければいけません。
でも残念ながらどうもそういう方向に向かっているような気がしないでもありません。
何しろそうしたほうが楽ですから。
困ったものです。
生成AIとどう付き合うか。
今回、菅野さんからもらった課題を忘れずに、生成AIの動きを見ていきたいと思います。
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