令和の百姓一揆に呼応して立ち上げた百姓一揆呼応隊の第2回サロンは、国会議員の川田龍平さんにお願いしました。
川田さんのことは紹介するまでもないと思いますが、薬害エイズに巻き込まれた体験から、「目先の利益の為にいのちを切り捨てる構造を本気で変えなければならない」と、国政で活動している政治家です。
https://ryuheikawada.jp/
令和の百姓一揆にもパートナーの堤未果さんとご一緒に参加されていましたが、川田さんは、在来種のタネを守り、持続可能な地域の食システムの導入を目指す「ローカルフード法案」を提出するなど、農や食にも精力的に取り組んでいます。
「ローカルフード法案」は今国会にも提出されましたが、残念ながら今回も審議未了のまま廃案になってしまいました。実に残念です。
ぜひサイトをご覧ください。私たちももっと関心を持っていきたいと思います。
https://localfood.jp/
今回は、川田さんの農や食や医療(それらはすべて密接につながっています)に関する思いと取り組みをお聞きし、生活者としての私たちに何ができるかを考えていきたいと考えて企画しました。
川田さんは7月の参議院選挙という超多忙な時期にもかかわらず、サロンに来てくださり、これまでの取り組みなどをわかりやすく説明してくれました。
川田さんは、「有機給食を全国に実現する議員連盟」を2年前に立ち上げましたが、それに関連して、千葉県のいすみ市や木更津市の取り組みから話しだしました。子どもたちの給食に、日本の農と食の問題が凝縮しています。
現場の話から始めるところに、私は川田さんの真摯で誠実な姿勢を感じました。そして、川田さんご自身の農業や食に対する考えも伝わってきました。
つづいて自分がなぜ政界に入ったのかの話へと移り、薬害エイズ事件と日本の薬害構造について、ざっくばらんに話してくれました。政治家特有の忖度など微塵も感じませんでした。
薬害エイズ事件に関しては、今では知らない人もいるかもしれません。本来病気を治すための薬で,健康が奪われ、命が奪われ、しかも、そうした事実が政官業によって、隠蔽された事件です。私が医療行政に疑問を持つ契機になった事件です。私自身は、こうした構造はいまなお解消されていないと思っていますが、当時の記録が、川田龍平ヒストリーとしてyou tubeにアップされていますので、ぜひご覧ください。川田さんの原点です。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLA_g8gOAZfoOp-Hkt6T3jE-JWF4_MGc5r
日本の薬害構造を知った以上、放置しておくわけにはいかないと、川田さんは無所属で立候補し、政界に入っていきます。そこからさまざまな苦労を重ねていくわけですが、いのちを切り捨てる構造を変えようという信念はますます強まっているようです。
川田さんが体験してきた政治活動の経緯、とりわけ厚生労働行政や委員会活動の実態から、いまの政治の実態が伝わってきました。
体験者からの直接の話は、なまなましく、説得力もあります。
そこから次第に、農薬問題や食と健康の関係、有機農業推進の課題、大規模化農業の問題点、農薬規制・残留農薬問題と国際比較、種子法・種苗法の動き、さらには「医食同源」の観点から食の重要性などへと話は広がっていきました。
こうした話はいろいろと漏れ聞こえてきますが、私たち生活者には全体像がなかなか見えません。しかし、いろいろと組み合わせると新しい地平も見えてきます。最近の米不足や米価問題も、すべては実はこうした日本の農や食の構造につながっています。
さらにそれは思わぬ問題にもつながっているのです。たとえば、医療制度と薬問題にもつながっていますし、いささか微妙な問題ですが、発達障害児の増加とも無縁でないのかもしれません。いうまでもなく、少子化問題や国家の安全保障にもつながっています。
食は私たちの生命の基盤です。それにつながる農のあり方は、経済問題などではないのです。そこの意識を変えなくてはなりません。
目先の〈意図された米不足問題〉や米価問題に目を奪われてはいけません。その奥にはとんでもなく大きな闇がある。言い換えれば、大きな希望がある。
川田さんたちがいま取り組んでいる「ローカルフード法」は「食や農や医」、つまり私たちの安心した生き方につながっています。この法案の制定作業の実状や政界での調整に関しても少し話してくれましたが、残念ながら今国会でも審議未了で見送られてしまいました。
マスコミ報道からは見えてこないことがたくさんありますが、私たちができることもあるように思います。私たちの関心や思い、そして力を束ねる仕組みができれば、「ローカルフード法」も実現するはずです。
なお、今回審議未了で終わった「ローカルフード法案」についての第1回報告会が6月30日(月)の19時から20時、川田龍平渋谷事務所で行われます。オンライン参加も可能ですので是非お聴きください、詳しくは川田事務所にお問い合わせください、
医療制度と薬の現状についても話してくれました。今年初め、薬学部で学んだ学生の伊佐さんのサロンでも話題になりましたが、いまの日本の製薬行政もまた、危機的な問題を抱えています。これに関連して、川田さんは、医療費削減と食育・農業の連携の重要性も指摘しました。経済視点では縦割り行政は効果的ですが、命や暮らしの視点からは無駄が多い。
「農福連携」は湯島のサロンで長年取り組んでいるテーマですが、「経済」の視点ではなく「暮らし」の視点で考えると、これまでの発想とは違う展開が見えてきます。
いずれにしろ、医療と食と農はつながっています。しかしこれまで、それらをつなぐ視点は「経済」だった気がします。すべての根底には「経済優先の社会構造」がある。それでは事態は変わらない。川田さんもそうした現状に目を向けているのです。
報告したいことはたくさんありますが、川田さんのお話は密度が濃く、しかも広がりがあるので、簡単には報告できません。
それに概念的な話だけでなく、たとえば、グリホサートやネオニコチノイド系農薬の健康影響など具体的な話もありましたし、日米関係や日本の医療などに関して時にかなりドキッとするような指摘もありました。日本で売られたり使われたりしている薬に対しても、厳しい指摘がありました。ともかく書きたいことは山ほどありますが、中途半端に紹介して誤解されてもいけないので報告は差し控えます。
川田さんはこれまでに何冊も本を出されていますし、いろいろなところで講演もされています。ぜひそうしたものに触れてほしいです。最近も、『高齢者の予防接種は危ない』(飛鳥新社)を出版しています。よかったらぜひお読み下さい。できれば、パートナーの堤未果さんの本も併せて読まれることを奨めします。
サロンには、シードバンクに関心を持って活動している人や有機農業・自然農法関係者、あるいは食育活動に取り組んでいる人など、いろいろな実践活動家も参加していたので、話し合いも興味のあるものでした。ただ時間不足だったのが残念です。
こういう活動に接していつも思うのは、いろんな活動がうまくつながっていかないことです。慣行農業の問題点を克服しようと、いまさまざまな活動が展開されていますが、農法に限ってもそれぞれ農法別に活動が展開されていますし、ましてや、食や医療、育児や健康などとの総合的な連携はなかなか実現しません。また現場の実践活動と国家政策は本来密接につながっているべきですが、うまくつながらずに時に反対方向に動いています。
川田さんのような人に、それらをつなぐ要(かなめ)になってもらえればと思います「いのちを切り捨てる社会」から「いのちを守る社会」にしていくためには、実践者たちも「小異」を捨てて、大同団結していくことが必要です。川田さんは最近も、『高齢者の予防接種は危ない』(飛鳥新社)を出版しています。よかったらぜひお読み下さい。
ローカルフード法はその一歩になるかもしれない。そんな気がしました。
ところで来月は参議院銀選挙で、川田さんも立候補します。
サロンの最後では、少しだけその話もしてもらいました。
いまの日本の選挙には人手がともかくかかりますが、もし応援してもらえる人がいたら川田事務所に連絡してください。
湯島のサロンは、「不偏不党」を理念にしていますが、今回は川田さんを個人的に(政党を離れてです)応援することをお許しください。
百姓一揆呼応隊のサロンにもたくさんの課題をもらった気がします。
サロンでは、今回出されたさまざまな問題を学んでいくとともに、実践現場での農や食の動きとの接点を広げていければと思っています。
次回、どなたか問題提起したい方がいたらご連絡ください。
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