■湯島サロン「ようこそ日本へ、ヤシュカさん」報告
1週間前に来日したインドの若者ヤシュカさん(21歳)の、いわば歓迎オープンサロンでした。10人近くの人が参加しました。
実はヤシュカさんが湯島に来るのは3回目です。
1回目は昨年の暮れのオープンサロン。湯島のサロンの話を聞いて突然一人でやってきたのです。この時は私は参加していませんでしたが、参加した6人の多彩な人たちを魅了したようです。その時参加していた人も時間調整できなかった一人を除いて、みんな参加です。
2回目は1週間前。たまたま私だけしかいなかったので、私とだけしか会えませんでした。初対面で短時間でしたが、彼はすべてを見せる術を持っています。
そして今回が3回目。
ヤシュカさんはともかく人生を楽しんでいる若者です。まだ来日したばかりなのに、すでに日本の社会になじんでしまっているようです。
一応、来春から大学で芸術関係の学びをすることになっていますが、実際にはこれまで通り、独学で学んでいくのがヤシュカさんのスタイルでしょう。
「学び方」が全く違うのです。
日本の大学が、彼にとって効果的な学びの場になるかどうか、とても興味があります。
ヤシュカさんはインドで、学びに恵まれた環境で育ったわけではありません。むしろ逆かもしれません。
5~6年前にインターネットが使える環境に出合って、彼は世界を一気に広げたのです。
そこから作曲に目覚め、文学に目覚めた。日本語も短期間の独学でマスター。
作曲はすでに映画音楽向けに作品が売れて、今回の日本への旅費などもそれで賄ったそうです。
彼の話は驚くばかりですが、何を質問しても、即座に答えが返ってくる。
みんなが一番感心したのは、ともかく回答が速くて明確なのです。
たとえば、作曲を学びに来たというので、それにつながる集まりを私は紹介したのですが、即座に「興味がない」という。せっかくの好意に対する配慮など微塵もない。しかしそれがまた全くの嫌味を感じさせず、むしろ心地良ささえ感じさせる。
私のほかにも、いろんな人が、ヤシュカさんのためにといろいろ提案しましたが、そのほとんどすべてへの答えが「興味がない」なのです。
念のために言えば、打算的な損得感は全くありません。ただただ彼は自らの好みで即決断できるのです。これほど迷いのない人との会話は私も初めてです。
生成AIに詳しい人も参加していましたが、ヤシュカさんの頭脳回路も生成AIに近いのかもしれません。ともかく一点の曇りさえない。
サロンが始まる前に、彼と話していて、気が向いたら自分の考えもサロンでみんなに話したいと言っていましたが、途中で気が向いたようで、ホワイトボードを使いながら話を始めました。
このあたりは生成AIとは違うようです。
今週私はちょっと疲労気味で、なんとなくぼーっと聞いていたのですが、参加者の一人の要約によれば、「私の心の中にある小さな"かけら"が自分にとっての真実と共鳴する」というような話だったそうです。だから何事に対してもすぐに答えが出るのでしょう。
ちなみに彼はインドが嫌いだそうですし、インド人という自己認識もあまりないようです。インド哲学にも関心なし。
途中で彼が作曲した曲も聴きました。演奏もパソコンを使って仕上げています。
日本で最初に買った大きな買い物はピアノだそうです。
ヤシュカさんが関心を持っているのは作曲だけではりません。
文学にも関心があり、今朝も3時間かけて谷崎潤一郎の『春琴抄』を読んできたそうです。日本語習得も兼ねているので、オーディオブックを聞きながら読むのだそうですが、オーディオブックを流す速度が2倍速どころではないのです。
文学は日本語習得のためだけではありません。それにその作品を読む価値があるかどうかもすぐわかるそうで、作品名は書きませんが、ある有名な作品は3頁読んで、これは読むに値しないとすぐやめたそうです。ここでも判断が速く、バッサリと決めてしまう潔さがある。
時空間を超えて幅広く書籍も読んでいますが、なぜかインドの作品には「興味がない」のだそうです。
さてこの超人的なヤシュカさんが、これからどう変化していくか。
興味があります。
秋にまた、ヤシュカさんのサロンをやってもらおうと思います。
彼が「興味がない」と言って、断らなければですが。
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