湯島のサロンでは「おカネとの距離感」がよく話題になりますが、おカネと言ってもいろいろな捉え方があります。そこで今年の後半は、少し「おカネ」を話題にしていこうと思います。
その第一弾として、「公共貨幣」をとり上げ、公共貨幣フォーラム代表理事の下田直能さんに入門編的な紹介をお願いしました。

公共貨幣とは、「いかなる者にも債務を発生させることなく、公共機関が、その貨幣発行権に基づいて発行する貨幣」のことで、NPO法人日本未来研究センター理事長の経済学者山口薫さんによって提唱されているものです。
今の貨幣とどう違うのか。
私たちが現在使っているお金の99%は、日本銀行(中央銀行)や民間の銀行が政府や企業に貸し付けることで、利付き債務(借金)として生み出されていますので、山口さんは「債務貨幣」と呼びます。債務貨幣は、利子を生み出します。
いま日本では膨大な国債が債務貨幣によって発行されていますが、それに伴い膨大な利息が発生し、国家財政を圧迫しています。
日本銀行は国営と思っている人がいるかもしれませんが、日本銀行は民間の株式会社です。しかも大口株主はロスチャイルド家などの金融資本家と言われています(実態は発表されていません)。
言うまでもありませんが、株式会社の目的は、株主のために利益を上げることです。
言い換えれば「おカネ」で利益を上げている人がいるということです。
現代の経済システムでは、お金は「借金」から生まれます。何の実体がなくても、銀行は信用創造し、無からお金をつくることができるのが現在の貨幣システムです。そこで、山口さんは、これを「債務貨幣」と呼びます。
ところが、「借金」とか「債務」という言葉でもわかるとおり、ここにはある意味の「支配」関係が発生します。
おカネは3つの機能を持っているとよく言われます。
「価値尺度」「交換手段」「価値の保蔵手段」です。
しかし、実はもう一つ大きな機能があります。「権力の支配手段」です。山口さんは、その4つ目の機能を経済学者たちは隠してきたと言います。
私たちの生活を豊かにしてくれるための交換手段だったお金が、いつの間にか、権力者の支配手段になってしまい、しかも、「おカネがおカネを生む」ような「金融経済」が実体経済を支配するようになってしまっているのです。
そこで山口さんは、「債務貨幣」ではなく、みんなの生活のための貨幣システムにしなくてはいけないということで、「公共貨幣」を提唱したのです。
「公共貨幣」と「債務貨幣」という視点でおカネを考えると、同じおカネでもまったく違ったものであることがわかります。
と、ここまでが私の理解なのですが、その先の具体策がなかなかわからない。
そこで今回、下田さんに入門編をお願いしたのです。
下田さんは、ご自分が制作した「公共貨幣入門」ともいえる動画をまずは見せてくれました。
https://www.youtube.com/watch?v=IP4K2leStGs
まず、「おカネ」と言っても、いろいろあることを知ることが大切です。
そこから質疑応答の形で話し合いに入りました。
「公共貨幣」と「債務貨幣」の違いは、「貨幣の発行主体が違うこと」と「貨幣の発行(信用創造)の仕方が違うこと」のようです。
発行主体が今の日本銀行のような民間企業でなくなり、政府機関が発行することになります。企業ではなく、政府なので、信用創造からの利益は必要ありません。「利益創出のための信用創造」も必要ありません。ですからバブル経済は発生しにくくなるでしょう。景気変動は穏やかになるでしょう。
現在の債務貨幣システムでの信用創造、つまり貨幣の発行は、「おカネが必要なところ」にではなく、「おカネが儲かりそうなところ」に向けての信用創造が起こりやすいですが、その結果、おカネを儲ける人はどんどんと儲けていき、社会に必要な活動をしようとしているところには、信用創造、つまりおカネが向きにくくなるというようなことは起こりにくくなるでしょう。
さらに、信用創造はお金の増殖のために行われるのではなくなり、過剰な利子は抑えられるでしょう。ちなみに、今のように国家財政を補填するために国債発行のために銀行から政府が借金していると莫大な利子が発生しますが、公共貨幣で、政府自らが貨幣を発行すれば、利子は発生しなくなります。
さらに公共貨幣で、国債をすべて買い取り償還すれば、毎年の数兆円の債務利子は発生しなくなります。
政府による債務利子の一部は、保険などの運用利益になっているため、まわりまわって国民にも一部還元されていますので、そう簡単に今の債務貨幣システムを公共貨幣システムに代えていくことはできませんが、公共貨幣フォーラムでは今、具体的展開に向けての法案作りにも取り組んでいるようです。
しかし、残念ながら、そもそも「公共貨幣」について知っている人があまりに少ない。下田さんは、ともかく一人でも多くの人に、現在の債務貨幣システムとは違う、公共貨幣システムを知ってもらうことが大切だと考えています。
提唱者の山口さんが指摘しているように、貨幣の持つ「支配手段機能」が私は大きな問題だと思います。そこにこそ現代の債務貨幣システムの本質があると思うのです。ただ交換手段であるならばお金は私たちの生活を豊かにしてくる存在です。
金融資本の支配手段から、生活者の生活手段へと、貨幣の役割を戻していかないと、いまの社会の格差構造や対立(戦争)構造は変わらないような気がします。
いずれにしろ、公共貨幣論は、これからの経済を考えていく上での大きな示唆を含んでいます。金融の話は難しいので敷居が高いですが、本来はもっと簡単な話のはずです。自分たちだけで牛耳られるように難しくしてしまいがちな、専門家に騙されてはいけません。
お金に支配されている人が多い世の中を変えるために、まずは「おカネとは何か」をもう少し考えてきたいと思います。
サロンでは、地域通貨の話やゲゼル経済学の話も出ました。
ベーシックインカムやベーシックサービスの話も出ました。
でも話し合いを聞いていて、みんな現在の「債務貨幣」や「利子経済」に呪縛されているような気がしました。おカネの持っている、見えない支配手段機能に気づかないといけません。まずはおカネに支配されている生活を見直すことが大切かもしれません。食べ物がないと生きていけませんが、おカネはなくても生きていけるはずなのです。そんな簡単なことにどうしてみんな気がつかないのか不思議です。
なお公共貨幣についてもっとよく知りたい人は、下田さんが制作したわかりやすい動画がありますので、それをぜひご覧ください。最後に紹介しておきます。
また一般社団法人公共貨幣フォーラムというグループもありますので、そこに参加するのもいいでしょう。
https://public-money.jp/
次回は「地域通貨」をとり上げたいと思いますが、どなたか話題提供もしくは問題提起をしてくれませんか。
もしいたらご連絡ください。
〈下田さんが紹介してくれた公共貨幣関係の動画〉
「公共貨幣と債務貨幣」シリーズ
(1)「公共貨幣と債務貨幣」(5:24)
https://youtu.be/IP4K2leStGs
(2)「債務貨幣の弊害(前編)――景気変動の助長」(7:27)
https://youtu.be/w5_uu9bQddg
(3)「債務貨幣の弊害(後編)――格差拡大の助長」(5:51)
https://youtu.be/-LHstFf1N_I
(4)「公共貨幣システムの実装(1)――公共貨幣の発行」(5:35)
https://youtu.be/MHX66q00Dd4
(5)「公共貨幣システムの実装(2)――100%準備と銀行」(6:31)
https://youtu.be/Eob-p8Qk5DU
財政赤字解消と景気回復のための公共貨幣発行の提案(6:09)
https://youtu.be/nVVgu9EjraE
日本国公共貨幣法案(朗読・字幕付き)(11:48)
https://youtu.be/UqsT0wA1pM4
《出版記念オンライン講演会》の抜粋版(5:06)
https://youtu.be/6nNEyuABMfY
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