■湯島サロン「例外状態と日常のあいだ」のご案内
日本構想学会との共催のサロンの3回目です。
今回は、構想学会理事の猪岡さんが、12月の日本構想学会大会で発表する「平常心を構想するの会 ― 例外状態と日常のあいだ」のプレセッションとして、「例外状態と日常の間」をテーマに話し合いたいと思います。
「例外状態」とは、カール・シュミットが言いだした概念で、非常事態においては、通常の法律や制度が適用されず、主権を託された統治者が物事を決めていくような状況を指します。
その典型は「戦時体制」です。
もちろん戦時下だけの話ではありません。最近の日本も、もうすでに「例外状態」にあるのではないかとも言われています。憲法や法律が機能していないからです。
たとえば、法学者の古関彰一さんは最近の著書『虚構の日米安保』でこう書いています。
実は私たちは1990年代以降、有事法制・安保法制という「戦後秩序の例外状態」を生きている。しかも、私たちはそれを「例外」と認識することなく、ナチス誕生前夜のドイツの人々のごとくに生きている。しかも最近の日本では、「例外だ」と言うことさえもなくなってきた。
つまり「例外状態」がもう「日常」になっているというのです。
なんとなくそういう状況を感じている人はいると思いますが、ナチ時代の社会と今の日本をつなげて考えている人は少ないでしょう。
しかし、過去の歴史を学べば、主権の所在は、ある時、一気に集中されて、例外状態が出現することはよくある話なのです。
それは「民主主義」や「デモクラシー」のあり方にもつながっています。
いやそれ以前に、私たち一人ひとりの日常の生き方につながっているはずです。
猪岡さんが考える「例外状態と日常のあいだ」はどんなことなのか。さらに猪岡さんが、この問題に「平常心」という視点を加えているのも気になります。
さてどういう話の展開になるのか。
サロンでは、猪岡さんの「構想」をベースに、猪岡さんからの問題提起に応じる形で自由に話し合うスタイルをとりますので、テーマは難しそうですが、気楽に参加しても大丈夫です。猪岡さんがいろいろと考える視点を出してくれるはずです。
最近の日本の政治状況には、大きな不安を感じている人も多いと思いますが、そういう状況の中でどういう政治姿勢をとったらいいか、生きていく上で何をどう注意したらいいかなど、いろいろな生きたヒントが見つかるかもしれません。
ぜひ多くの人に参加していただきたいと思います。
ちなみに猪岡さんは、40代前半の、子どもにも恵まれ、毎日忙しく働いている「普通」の人です。
日程などの案内の後ろに、猪岡さんの問題意識を載せておきますので、ぜひお読みください。
日本構想学会との共催ですが、参加者は広く公開ですので気楽にご参加ください。
これを機会に、もしよかったらぜひ日本構想学会にも入会してください。
全くの新しい思想とスタイルの学会です。
学会嫌いな私でもつき合わせてもらえています。
〇日時:2025年10月25日(土曜日)午後2時~4時
〇場所:CWSコモンズ村湯島オフィス
http://cws.c.ooco.jp/cws-map.pdf
〇テーマ:「例外状態と日常のあいだ」
〇問題提起者:猪岡武蔵さん(日本構想学会会員)
〇会費:500円
〇企画:CWSコモンズ村+日本構想学会
〇参加申込先:qzy00757@nifty.com(佐藤)
〔猪岡さんの問題意識〕
第二次世界大戦を引き起こした原因の一つとして、当時のナチス政権は合法的な選挙によって選ばれた政権であったことは広く知られています。しかし、その合法的な政権掌握の過程について、私たちはどの程度理解しているでしょうか。振り返れば、民主国家として主権者たる国民の意思を憲法に掲げる現代の日本においても、全体主義的な判断が主権者である国民の意志を無視してなされる危険性は払拭されたのでしょうか。
ドイツの政治哲学者カール・シュミットは、第二次大戦前後のドイツにおいて、「例外状態」における政治判断が主権者を超えて行われる状況について論じました。民主国家において、主権者の判断が通常の手続きに従えない緊急時において、一部の権力者による拙速な判断が続く可能性は、現代日本においても十分に起こり得る危険性を孕んでいます。
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