■湯島サロン「私のコミック遍歴史」報告
イシモトタネオさん(スタジオDIG 代表取締役)の「私のコミック遍歴史」は、たくさんのコミックや雑誌を持ち込んでの話題満載のサロンでしたが、何しろ内容が多すぎて、本論に入る前に時間切れになってしまった感があります。
参加者は少なかったのですが、実際にかつて漫画を描いていた人もいて、話が弾みすぎてなかなか進まなかったのです。
イシモトさんも参加者も消化不良だったと思います。パート2を考えます。
話は、まず漫画作家になろうとしてイシモトさんが東京に出てくるところから始まりました。有名漫画作家のところへの住み込みを期待していたものの、残念ながらそうはいかず、それでも漫画への思いは深く、ともかく東京に出てきて、新聞配達所に住み込んで漫画作家の仕事を手伝ったりしているうちに、作家ではなく編集者になって会社を興して今に至っているというのがイシモトさんの「コミック遍歴人生」なのですが、今回は、その最初の部分で時間が来てしまいました。
しかし、その部分だけでも、私でも知っている何人かの有名な作家との交流もあり、そうした話が面白かったのですが、うまく報告できないのが残念です。
手塚治虫もそうですが、中学生時代から有名な漫画家になっていた作家も少なくないことを知りました。加えて漫画作家の過酷な仕事状況も。時代を先駆けていたのが漫画界だったのかもしれません。
イシモトさん自身も漫画を描いていたこともあったようで、今回その作品は持ってきてくれませんでしたが、いつか見せてくれるでしょう。
イシモトさんは結局、編集の仕事へと移るのですが、ご自分が手掛けた本も紹介してくれました。そのなかには、黒澤明監督の『七人の侍』の漫画もあります。
この本はいま湯島で預かっていますので、お読みになりたい方は今度のブックカフェサロンでどうぞ。
私が子どもの頃はまだ『のらくろ』や『冒険ダン吉』などが残っていましたが、雑誌連載の手塚治虫による物語漫画が生まれだしたころです。絵物語というジャンルも盛んでした。私も雑誌連載の『沙漠の魔王』に魅了されていて、そこに登場した「メムノンの巨像」に会いたくて、会社を辞めて時間ができたので一番最初に出かけたのがエジプトでした。ほかにも漫画に影響を受けたことは少なからずあります。
イシモトさんは小松崎茂の原画なども持ってきてくれました。
また1950年代から60年代には貸本漫画も流行っていました。私もよく通いました。
こういう話は、話題になりだすと際限なく広がっていきます。
「私のコミック遍歴史」ということなので、イシモトさんは年表まで作って用意してくれたのですが、それを忘れてきてしまったために、話は自由自在に広がりがちでした。いずれにしろ材料が多すぎました。
しかし、イシモトさんの「思いの深さ」を改めて知りました。
イシモトさんが持ってきてくれた本は、私にも懐かしいものがいろいろとありました。
私も40歳くらいまでは、かなりコミックを読んでいました。手塚治虫の作品は一般に市販されたものはほぼすべて読んでいますし、娘にはうっかり漫画の主人公の名前をつけてしまい、今でも娘から恨まれています。
ちなみに、湯島のCWSライブラリーにも1冊、萩尾望都の作品「百億の昼と千億の夜」があります。原作は光瀬龍ですが、これはたぶん女性作家でなければ描けなかった作品だと思います。萩尾望都の時空を超えた構想力は私には驚異的です。
よかったらぜひ読んでみてください。
今回、サロンの話し合いを聞いていて、私の時代の漫画論議とは全く違うものを感じました。私もかつては、漫画には好意的でそれなりの論を語っていたものですが、今はもう全くついていけません。
それに、最近の漫画はあまり読めません。『沈黙の艦隊』や『鬼滅の刃』は一応全巻読んでいますし、『キングダム』も最初の数巻だけを読んでいますが、その他の話題作はほとんど知りません。
今回、イシモトさんの持参したものの多くは、むしろ私の時代のものだったので、雑誌の付録の「サスケ」とか、手塚治虫の「ロストワールド」復刻版など、懐かしいものもたくさんありました。
イシモトさんは編集面では女性漫画家のほうが多いようですが、有名な女性漫画家のプロフィールなどもまとめて配布してくださいました。
しかし今回は、これは時間がなくて説明がありませんでした。
これはまた改めてサロンをやってもらおうと思います。
今回はイシモトさんも心配していた通り、1回のサロンの枠内にはとうてい収まりませんでしたが、10月のブックカフェサロンのテーマを「私の好きなコミックを語り合う」にしましたので、その時にまたイシモトさんにも話してもらう予定です。
みなさんもぜひごひいき漫画を紹介しに来てください
もう少しテーマを絞って、イシモトさんにまた話してもらうことも考えたいと思います。
話がいろいろとびかったためうまく報告できずにすみません。
イシモトさんには、ぜひ「イシモトさんの漫画遍歴人生」を漫画にしてほしいと思いました。
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