■第9回増田サロン「自覚と平和のプログラム」報告(2026年2月11日開催)
第9回「地湧の思想」サロンは「自覚と平和」を取り上げました。
これに関しては、和田重正さん(「地湧の思想」の提唱者)の3冊の関係著書があります。『自覚と平和』『もうひとつの人間観』『母の時代』です。
増田さんは、心の底からもう戦争はいやだと言える戦争体験者は数少ない時代になった。さらには、今回の選挙結果からもうかがえるように、積極的に戦争は必要、軍備は必要と唱える若者も多くなった、という話から始めました。
しかし、若者たちが平和を望んでいないわけではありません。むしろ平和を望めばこそ、軍備増強を望んでいると言ってもいいでしょう。戦争も「平和のための戦争」なのです。そこをしっかりと理解しないと問題の立て方を間違ってしまいます。
「平和のための戦争」はともかく、和田重正さんは、平和実現の方法には2通り考えられると書いています。
一つは反戦・反核運動であり、世論の力を高めていくことによって戦争勢力を抑えるやり方です。しかし、これでは戦争の根本原因や戦争への不安を解消することはできない、と和田さんは言います。
もう一つは人間観を問い直し、人間の本性に目覚めること(自覚)です。そしてこの「人間観」を転換できるかどうかが、平和への大切な岐路だというのです。
この「人間観」、つまり人間の本性をどう捉えるかが、「地湧の思想」の核心ではないかと思いますが、今回、増田さんは具体的には明示しませんでした。人間の本性にそれぞれが自分で目覚めることこそが大切で、よそから与えられた「知識」として「知る」だけでは十分ではないと考えているのです。
概念として捉えるのでは、むしろ真実から離れてします。
そこで「人間の本性を考える視点」や「自覚と平和に向けたプログラム」にそって、そのヒントを提示しながら、参加者を「人間の本性」の話し合いに誘っていきました。
増田さんは最初に、「“いのち”を自覚すること」。つまりこの自分とは何か、どんなものであるか、をよく知ることから始めることを呼びかけます。平和の起点は「人間とは何か」を考えることだというのです。ここでどう考えるかで、その後の展開は真逆になります。
そして増田さんは、仮説として、「不可分一体のいのちの世界」を提示します。人間の本来のすがたは、誰とでもみんな同じ一つのいのちを共有している仲間同士であって、足りないものは補い合い、困ることは補し、合って平和に暮らすようにできている」という人間観です。
「一つのいのちを共有」という点は、いささかわかりにくいという意見もありましたが、みんなつながっていると考えれば理解しやすいでしょう。そこでは「敵」など生まれようがない。
人によっては、有名なホッブズのように「人間は自然状態において自己保身のために争いを繰り返す生き物」と考えるかもしれません。確かにそうした人間観が、西欧近代社会の根底にあると言ってもいいでしょう。そして私たちもまた、そういう人間観を学校教育で学んできました。しかし、それはあくまでも「一つの人間観」でしかありません。
西欧世界でさえ、最近はそうではない「もう一つの人間観」が唱えられだしています。考古学者や人類学者によって、原始時代の人間の本性としても、そう語られ出しています。生物界がそうであるように、人間の本性は決して争い合うものではなく(局部的にはそうした行動はあるとしても)、全体としては支え合うものと考えるほうが理に適っているように思います。
この話は、湯島ではよく話題になります。
つづいて増田さんは、「平和とは何か」を問います。平和とは、単に戦争のない状態ではなくお互いの補い合い、扶け合う状態ではないのかというのです。
そこで増田さんは、日本国憲法前文の言及し、それを読み上げました。
日本国憲法前文には、世界の平和への潮流を変える力が潜んでいるというのです。
日本国憲法を積極的に解釈して、世界の平和創造への役割を果たすべきではないか、と考えているようです。
話がいささか飛躍しましたが、ともかく、平和に向けての出発点は、人間は互いにバラバラで対立しているという人間観からいかなる人間も決して赤の他人ではなく一つにつながりあっているという人間関係への転換であり、その実践である、というのが「自覚と平和のプログラム」の思想です。
この思想に立てば、こうした自覚のない反戦運動は、逆効果かもしれません。
平和のための戦争が今も各地で行われています。
しかし戦争によって得られる平和は、強いられた平和であり、「利害の平和」に過ぎません。本当の平和は、人間観の変革からしか生まれない。
とても共感できます。
私たちはもっと自然界の摂理を理解し、その一員としての人間の本性に目覚めなければいけない。
改めてそう気づかされたサロンでした。
そして、いま並行して行われている湯島の憲法サロンにおいても、日本国憲法を積極的・能動的に捉え直して、国内だけでなく、平和に向けての世界の潮流を生み出すために何ができるかも考えてみたくなりました。
人間の本性を明らかにし、それを一人ひとりが自覚すること、それが戦争のない世界をつくる源だと考えることで「平和」に向けての構想を描いていく「自覚と平和のプログラム」。いつかこれをワークショップで展開できないか考えてみたくなりました。
どなたかチャレンジしてみませんか。
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