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2026/07/08

■湯島サロン「台湾で見たAI産業革命/ AIエージェントが変える働き方」報告(2026年7月4日開催)

毎年、湯島のサロンでAI最前線の話をしてくれている菅野弘達さんが、6月に台湾で開催されていた‟COMPUTEX TAIPEI 2026”に行ってきました。併せてアジアのシリコンバレーと呼ばれつつある「新竹科学工業園区(サイエンスパーク)」なども訪問してきたので、その報告をお願いしました。
https://www.edgecortix.com/ja/computex-taipei-2026

菅野さんはそこで見てきたAI産業革命の最前線の話に加えて、ものすごい勢いで変化しているAIエージェントの動きも紹介。その話を聞いて、変わっていく社会のなかで私たちはどうしたらいいのか、をみんなで話し合いました。

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まずはCOMPUTEX TAIPEI 2026の視察報告。
COMPUTEXは、台湾で毎年開催されるアジア最大級のIT・テクノロジー見本市で、PC・半導体・AIの最新動向が一挙に集まる国際イベントです。
なぜ台湾でのイベントに世界中から集まるかと言えば、台湾はいまや世界的なIT・半導体の先進拠点になっているからです。そのため、COMPUTEXは「その年のITトレンドが決まる場所」とも言われているそうです。
ちなみに、こうしたことの背景には、台湾の国家レベルのAI戦略があることは言うまでもありません。政治と経済がうまく支えあっているのです。これは先日、吉田太郎さんに報告してもらった台湾の有機農政事情にも通じています。

今回のCOMPUTEX TAIPEI 2026のテーマは ‟AI Together”。AIは私たちの日常生活の中に入り込んできており、誰もそこからは抜けられないところまで来ているようです。
会場の展示から、菅野さんもそれを実感してきたようです。

COMPUTEXには今年も世界中から1215社が出展、来場者も世界中から11万人以上が来場。しかし、菅野さんによれば、日本の大企業の出店は見られず、日本がこの分野から大きく遅れていることを感じたそうです。
中国企業は台湾に次いで多く出展していましたが、残念ながらロボットに関する展示は少なかったようです。AIに並んで、最近のロボット技術の進歩は驚くほどの勢いですが、AIがロボット技術と組み合わされば、もう人間など不要になるでしょう。AIにとっては、ロボットのほうが親和性があるはずですから。
言い換えれば、人間の役割が変わってくる。「人間とは何か」を改めて考えなければいけない時代に入ったようです。

つづいて菅野さんは、NVIDIA(アメリカ企業)やTSMC(台湾企業)などを中心とした巨大サプライチェーンのAI産業ピラミッドができあがってきているという話をしてくれました。その中心が、アジアのシリコンバレーと言われる「新竹サイエンスパーク」なのです。
新竹は広大なアメリカのシリコンバレーとちがって、「1時間圏内」のエコシステムと言われるように、材料、装置、サプライヤー、そして優秀なエンジニアーが「1時間以内」に集まれる、世界で最も濃密な半導体集積地になっています。こうした地理的な集積が、トラブル時の即時対応や超高速での技術革新を可能にしているようです。
TSMCは地政学的なリスク分散の一環として、日本の熊本県にも子会社を建設しているようですが、こうしたAI産業ピラミッドに日本が乗り遅れているのは事実のようです。

なぜ乗り遅れたのか。菅野さんは、その解説もしてくれましたが、それを挽回すべくいろいろな動きがあることも紹介してくれました。それが意外な企業(たとえば味の素やTOTOなど)の意外なアプローチでした。内容は省略しますが、要はまだ挽回の機会はあるということです。

つづいて菅野さんは、こうした予想以上の急速なAIの進化で、組織のあり方や働き方も大きく変わっていくだろうという話をしました。
既に大企業での人員削減が進められていますし、「AIソロプレナー」という言葉も出てきています。AIソロプレナーとは、生成AI・自動化ツールを武器に 「一人で企業レベルの事業運営」を行う起業家のことで、要するに「全社員AIエージェントの会社」と言ってもいいでしょう。実際に、今年5月、LINEヤフー会長を退任した川辺健太郎さんが、AIエージェントだけを雇用する「AIソロプレナー」会社を創業するとは発表したそうです。

これは極端な事例ですが、いずれにしろ会社の形は大きく変わっていくでしょう。菅野さんは、これに関してもいくつかの視点で変わっていく会社組織のあり方を解説してくれましたが、その一つに「〈雇用〉から〈プロジェクト単位〉への移行」という指摘がありました。そろそろ「雇用労働」の時代は終わっていくようです。

なお、菅野さんは、日本企業にも独自の強みを活かす道は残っているという話もしてくれました。たとえば、「人にしかできない信頼関係づくり」です。

話し合いでは、私たち自身の暮らしにつながる話も多かったですが、そうした話から意外な話へと展開もしました。
たとえば、AIエージェントはドラえもんのような存在で、私たちはのび太になれるという話から、そうなればやりたいことが見つかりやすいという話になり、そこから「やりたいことが見つからない」という人が増えているという話に展開。「やりたいことが見つからない」人なんかいるのという人の問いかけを受けて、20代の参加者から、詰め込み教育を受けてきて、社会に出たら好きなことをやりなさいといわれても戸惑う人が多い、という話になり、学校教育の話題にまで発展。さらには、AIを使いこむというよりもAIに使われるのではないかという不安もでました。いや、それを「不安」というべきか、「安心」というべきかは、迷うところではありますが。

環境危機問題の話題も出ました。
AIの普及には膨大なエネルギーが必要ですが、光技術を使う省エネ化の話やAIと原発は切り離せないという話が出ました。さらに、AIは電力だけではなく、膨大なきれいな水が必要だという話から、環境危機問題にもつながっていきました。現在、地球環境危機は炭素の視点で議論されがちですが、最近、山本眞人さんが新著『生産と消費からケアと自由への転換』で問題提起しているように、炭素循環の視点だけではなく、水循環の視点も重要です。いつかこの問題も取り上げたいです。

いずれにしろ、AIにどう取り組んでいくかで、私たちの生活は大きく変わっていくでしょう。これまでSFの世界で語られてきたことが、今やまさに私たちの日常生活の話になってきているのです。
ともかく「吉と出るか凶と出るか」。対応次第で、真逆な結果が出るかもしれません。
AIに飼いならされないように、しっかりと生きたいものです。

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