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2026/07/05

■第10回SUN10ROサロン『黒澤明を探して』報告(2026年6月30日開催)

今回は黒澤映画ではなく、河村光彦監督の半生を追いかけた作品『黒澤明を探して』(ローランド・リチャード監督)をみんなで観たうえで、河村さんとリチャードさんに語ってもらいました。

河村さんは常々、黒澤映画は人生の教科書であると語っていますが、言い換えると、そうやって育ってきた河村さんの言動に黒澤映画の神髄を感じられるような気がする時があります。
おそらくこの映画を制作する気になったリチャードさんも、それを感じたのではないかと思います。映画だけでなく、彼が主宰する「リッキーレポート」でも、河村さんの取材記事を書いていますので、ぜひお読みいただければと思います。
https://rickyreports.jp/archives/kawamuramitsuhiko/

サロンではまず『黒澤明を探して』をみんなで観ました。
黒澤監督の作品『生きる』のシーンを思い出させるように、河村さんはブランコで登場します。これがなかなか「さまになっている」のです。

Sun10000000

つづくインタビューで、河村さんは、黒澤監督との出会いから、40年かけて完成させた『映画の中の黒澤明』制作の経緯、そしてそうしたことを通しての黒澤映画の意義を、いつもサロンで語っているように、淡々と語ります。

詳しくはぜひ作品を観てほしいのですが、河村さんと黒澤映画との出合いは、黒澤映画『乱』のメイキング撮影を依頼され、制作現場で150時間にわたって撮影したことです。黒澤監督の撮影現場で、150時間も自由に撮影するという経験をしたのは河村さんだけでしょう。ところが、その貴重な映像は公開されることなく長いこと行方不明になっていたのです。
しかし、この体験は、映像フィルムに記録されたのと並行して、河村さんの心身にも記録されたのです。いや、フィルム以上のものが、たぶん河村さんには残っているような気もします。私には時に、河村さんの人生と黒澤映画が時に重なって見えてしまうほどです。

それはともかく、長いこと行方不明になっていた150時間のフィルムが出てきたのです。それでまた河村さんの人生は大きく変わっていきます。
このあたりはこれまでのSUN10ROサロンでも語られてきたことなので繰り返すのはやめましょう。
ともかくそれを材料に、河村さんは私財を投じて、『映画の中の黒澤明』を制作し、黒澤映画の神髄を世界に伝えていくことを自らのミッションにしたのです。

河村さんが語る黒澤明監督は、「黒澤天皇」といわれるような雲の上の人ではなく、とても人間的であたたかな人です。俳優への指導も非常にていねいで、みずからも実際に演じて見せることも少なくなかったようです。
話を聞いていて、役を演じさせるのではなく、その役そのものになりきるように働きかけていたような感じを受けました。
そういう話は、サロンでもよく出てきますが、話を聞けば聞くほど、黒澤監督への親しみが増してきます。河村さんが心底惚れこんでいるからかもしれませんが、以前、SUN10ROサロンに来てくれた俳優の櫻井勝さんも同じような話をしてくれています。

またこれまでのサロンでもよく話題になっていますが、戦争や暴力を美化しない倫理観、 『乱』の戦闘場面では直接的な殺戮シーンを避けたという話も、話題になった『椿三十郎』の血が噴き出る惨殺シーンの強烈な印象を受けたことのある人にとっては意外な話でしょう。でも改めて、その後の作品を思いだせば納得できます。

そうした黒澤監督の精神を、河村さんは未来へ伝えることが自分の使命だと考えているのです。そして、それがいささかおかしくなってきているような今の社会を変えていくことだと考えているのです。
この作品は、そうした河村さんの思いを伝えてくれています。

河村さんにつづいて、この映画を制作したリチャードさんにも話してもらいました。
なぜこの映画を制作する気になったのか。リチャードさんは、河村さんの黒澤映画に対する思い入れの強さに触れて、こういう人の思いは伝えていかなくてはならないという思いが強まったと言います。
リチャードさんも、どこか河村さんと重なるところがある、
「黒澤監督の願いを伝えたい」という河村さん、「河村さんの思いを広げたい」というリチャードさん。河村さんという存在を知った以上、映画にしなければいけないと思い、リチャードさんも私財と時間を投じて映画制作に取り組んだのです。

類は類を呼ぶのでしょうか。とてもいい話です。
そこからみんなでの話し合いが始まりました。
いつもながら、黒澤監督や河村さんの新しいエピソードが出てきました。

ところで、『乱』は、30作品ある黒澤映画の中では日本では興行成績もあまりよくなく人気もいまひとつでした。ところが海外では、黒澤作品の中でも『乱』は上位なのだそうです。
その違いはどこから来るのか。
理由はいろいろと考えられますが、話をしているうちに、改めてみんなで『乱』を観ようということになりました。

『乱』は162分という超大作です。
映画館でならともかく、湯島で観るのはあまりに辛いので、それぞれが自宅で観てくるのはどうかと提案しましたが、やはりみんなで一緒に観るのがいいとみんないうのです。
それで、次々回(10月30日)のSUN10ROサロンの前に、『乱』をみんなで観ることになりました。午前中、希望者は『乱』を見て、午後、SUN10ROサロンです。
だいぶ先の話ですが、よかったらご予定ください。

また次回(8月30日)は、『乱』のメイキングフィルムを河村さんが編集した『映画の中の黒澤明』(ナレーション付き版)をみんなで観てのサロンです。
というわけで、これから2回は『乱』がテーマです。

なお河村さんは最近、『映画『乱』四十年目の証言」をアマゾンでオンデマンド出版しました。『乱』をより深く鑑賞するための手引書ともいえます。湯島ではSUN10ROメンバー特別価格(2,000円)で購入できます。
またほかにも、4冊、河村さんの思いをまとめた黒澤映画関連のオンデマンド出版(各1000円)もあります。ご希望の方は湯島に来た時にお申し出ください。河村さんの活動支援の意味でも、ぜひよろしくお願いします。

 

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