■湯島サロン「日本の個性と可能性~日本社会を変えるために「日本」について理解しよう」報告(2026年8月9日開催)
増山博康さん(見沼菜園クラブ代表)は、最近の日本に状況に不安というか、不信というか、ともかくこのままではいけないと考えています。
社会への疑問は、何も今に始まったことではありません。学生の頃から、社会への違和感はあり、社会を変えていこうという姿勢で生きてきています。
障害者運動、環境問題、農業などに関わり、今は教育関係のことにも関わっていますが、この違和感のある日本社会を変えるには、まずは日本社会の「個性」を理解しなくてはいけないというのが増山さんの考えです。
そこで、いままで40年ほどいろいろな実践を重ねてきたことを一度サロンで参加者に公開し、参加者と話し合いながら「日本」について理解を深めようと思って始めたのが、このサロンです。
いまの社会にはいろいろな問題はありますが、増山さんには日本の個性への信頼があり、社会を変えていく可能性は大きいと確信しているのです。
ですからこのサロンは、ただ話し合い考えるだけではなく、具体的な実践につなげていきたいと増山さんは思っています。そのためには、継続して実施していかなければいけません。隔月程度の開催を予定していますが、今回はその第1回です。
増山さんは学生時代に取り組み出した地域の障害者運動のことから話を始めました。
それを皮切りに、点字受験の実現や自治体の環境基本計画策定などの体験を通して、日本の個性を考える材料をいろいろと出してくれました。
話し合いは自由に拡散しながら、たくさんの話題が出てきましたが、なかなか肝心の「日本の個性と可能性」にはたどりつきませんでした。何しろ「日本の個性」ですから、そう簡単にたどりつけるはずもありません。「島国根性」とか「農耕民族文化」とか、「空気の文化」「調和重視の社会」とか簡単な言葉にしてしまえば、それこそ「言葉遊び」になってしまうでしょう。それでわかったようになってしまっては、増山さんの意図には合わないでしょう。なにしろ増山さんは、実践の人でもあるからです。
参加者がまたややこしいほどに多彩なメンバーだったので、話し合いもとてもおもしろかったですが、まとめるのは至難です。それに1回目のせいか、あまりかみ合っているようにも思えませんでした。
でもまあそれがサロンのいいところなのです。
ボランティア論議や国のかたち論議、暴論の役割、信頼関係の棄損、法的差別と民間差別、コスパ・タイパ重視の新自由主義的危機、あるいは「汎市場化」など、興味あるテーマはたくさん出てきましたが、まあ1回目ですので、テーマ出しの感もありました。
話し合いの最後に、とりあえずの日本個性仮説を増山さんに問うたら、「沼地」という言葉が出てきました。遠藤周作が『沈黙』で書いた「沼地」です。日本人の心の奥底には、理性や倫理では制御できない“泥のような暗い領域”があり、そこに神が寄り添うというのが遠藤周作の「沼地」思想で、それが「共同体への溶け込み」や「情的なつながり」「曖昧さ」という日本人の生き方につながっているというのです。
私には違和感がありますが、とりあえずの「最初の仮説」が定まったので、話し合いの起点ができたと言っていいかもしれません。
しかし、「沼地社会」をどういう報告に変えていくかに関しては、また議論が紛糾しそうです。水田にするか乾田にするか、ビル街にするか草原にするか。
いろいろと話し合ったあたりで、前にも湯島で何回かサロンをしてくれた開成町の元町長の露木さんが、自分の体験から、社会を変えていくためには何が大切かを話してくれました。なんだかそれが今回の結論になってしまった感もあります。
露木さんは、社会を変えるための3つのキーワードを出してくれました。「青さ」「熱い気持ち」「よそ者の力」。特に大切なのは、「青さ」。透明性とか誠実とか理想主義と言ってもいいでしょうか。
ちなみに、「熱い気持ち」に関しては、増山さんは「暴論」という表現を使っていましたが、通ずるところがあるでしょう。しかし、「沼地」社会からはなかなか出にくいのが「暴論(理念?)」です。このあたりがこれからの論点の一つになるかもしれません。
この3つは、別に社会を変えるためだけではなく、組織を変えるためにも当てはまるという話も出ました。
ここから「変える」ということの本質が見えてくるような気がします。「変える」ということは何なのか、も、あまり何も考えずに話している人が多いように思っている私には、「青さ」という言葉は心に響きました。
露木さんは、地方自治の停滞に関しても言及してくれました。自治の停滞は、社会の主役が人間から制度に移っているからかもしれません。事実、住民たちが主役になって動き出している「住民自治」に比べて、中央政府に目を向けた「団体自治」は、最近逆方向を向いているような気さえします。しかし、最近は日本でも「ミュニシパリズム」の動きが少しずつ広がっていて、私には展望は明るいです。
話し合いで出た話題のほんの一部しか紹介できませんでしたが、増山さん自身、まだ確たる確信や考えがあるわけではなさそうです。
増山さんは、これから隔月でサロンを開いていく予定です。今回も話題になったさまざまなテーマに関してゲストを呼んだり、さらにサロンだけではなく、今回話題になった開成町訪問など、湯島を飛び出すことも考えていくそうです。
社会を変えていくということは、言うまでもなく自分を変えていくことと深くつながっています。他人事で考えていては社会は変わりません。増山サロンには、話し合いだけではなく、そこから何かが生まれてくることを期待したいです。
さてどんな展開になっていきますか。
しばらく様子を見ようと思います。
増山さん
勝手な報告ですみません。フォローしてくれますか。
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