« ■節子への挽歌6871:こころがやすまらない | トップページ | ■節子への挽歌6872:やはりユリがあると落ち着きます »

2026/09/02

■第11回SUN10ROサロン『映画の中の黒澤明』報告(2026年8月30日開催)

今回は、改めてまた、河村光彦監督の作品『映画の中の黒澤明』をみんなで観ました。
またとはいえ、前回とは違って河村さんご自身のナレーション入りの新編集版です。
ナレーションが入ったことで、全くと言っていいほど印象が違います。
河村さんの解説もとても適切でわかりやすい。
若い時の河村さんも映像で登場します。
Sun10ro2026081

私は今回で3回目ですが、毎回、新しい気づきをもらえます。
特に黒澤明監督に対しては、書籍で読むのとは全くと言っていいほど違う人柄を感じ、やはり河村さんと同じく学生で応募して黒澤映画に出演した櫻井勝さんが、つい自然と「くろちゃん」と言ってしまったという話もよくわかります。
しかし河村さんは、実に生真面目に黒澤監督に対応したようです。それもまた河村さんらしい。

『映画の中の黒澤明』は、黒澤明監督の大作映画『乱』(1985)のメイキング映像をまとめたドキュメンタリーですが、黒澤監督が自由に学生たちに撮影を任せたのも驚きです。しかも、時にアドバイスまでしていたようです。
一本の映画の撮影現場をここまで詳細に記録した映像は、おそらく他にはないでしょう。その意味で、本作品が日本映画ペンクラブ賞奨励賞など受賞したのも納得できます。
しかもこの作品を河村さんは私財をなげうって、一人で制作したのです。
改めてその行為に頭が下がりますが、河村さんはそれほどまでに黒澤明に惚れているのです。
惚れているだけではありません。使命感を背負っているのです。
黒澤監督の映画づくりの記録を通して、「効率やアルゴリズムが映画制作を主導する現代に、黒澤明の“忍耐・規律・人間への信頼”を提示する」ことで、映画とは何か、創造とは何か、人間をどう信じるか、という黒澤明の精神そのものを残したいと河村さんは言っています。
AIによって。映画制作が大きく変わりつつある今だからこそ、河村さんの思いと活動は貴重です。

いささか固いことを書いてしまいましたが、サロンでの河村さんの話は、いつものように楽しく愉快なものでした。
それに今回は、新たに黒澤明研究家の20代の浜崎さんが参加しました。
20代の若い世代の黒澤明の研究家。とてもうれしい話です。

浜崎さんは、昨年からこの映画を何回も観ています。
そして、黒澤映画に取り組む河村さんのドキュメンタリーをプロデュースする話も進んでいます。もし実現したら、前回のローランド・リチャードさんのとはまた別の河村さんの魅力が引き出されるでしょう。もし実現したら、リチャードさんも加えての鼎談サロンを企画したいです。

黒澤映画は、日本では最近はあまり話題になりませんが、海外での評価はいまなお非常に高いと言っていいでしょう。「映画の中の黒澤明」で取り上げられている『乱』も、公開時日本では興行的には失敗だといわれましたが、海外では非常に好評でした。
その理由に関しても、河村さんはしっかりと分析しています。

ちなみに、『乱』の製作費は 26億円でしたが、日本での興行収入は 17億円弱だったそうです。『映画の中の黒澤明』のなかでも、4億円かけてつくったお城を燃やす場面が出てきます。いろいろな意味で面白い場面です。
いまではこういう場面もAIでつくられるのでしょう。同じ映画でも、全く違ったテイストになるのは当然といえば当然かもしれません。

次回のSUN10ROサロン(10月30日)は、いよいよ映画『乱』を取り上げます。
まだ観ていない人、あるいはもう一度観たい人のために、サロンの前の午前中、湯島で映画を上映します。10時スタートの予定です。
サロンは、午後2~4時です。
映画『乱』を別のところで観て、サロンだけに参加するのももちろん歓迎です。
また改めて正式の案内を出しますが、ぜひともご予定ください。

河村さんに託された黒澤明監督の思いを、ぜひとも開花させたいと思っています。

|

« ■節子への挽歌6871:こころがやすまらない | トップページ | ■節子への挽歌6872:やはりユリがあると落ち着きます »

「サロン報告」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ■節子への挽歌6871:こころがやすまらない | トップページ | ■節子への挽歌6872:やはりユリがあると落ち着きます »