カテゴリー「NPO時評」の記事

2018/10/22

■カフェサロン「『子どもNPO白書2018』を刊行して」報告

日本子どもNPOセンターが出版した「子どもNPO白書2018」をテーマに、執筆者の交流会もかねてのサロンを開催しました。
白書に関しては、既に紹介させてもらいました。
http://cws.c.ooco.jp/books.htm#180923

今回は、白書の編集代表でもある日本子どもNPOセンター理事長の小木さんが名古屋から参加、大坂からも日本こども未来研究所所長の川野さんも参加してくれました。
日本子どもNPOセンターのメンバーでない人も数名参加し、総勢15人ほどになりました。
社会保障を専門にされている本間先生も参加してくれました。
東京新聞の飯田さんも取材に来てくれました。
編集委員の金さんは子連れ参加で、場の雰囲気も変わりました。
異分野の人ができるだけ接点を持つというのが湯島の精神ですので、うれしいことです。

私も白書は読ませてもらいましたが、さまざまなところでさまざまな活動が行われているのがよくわかります。
子どもたちは、大人と同じように、さまざまな問題の絡み合いの中で生きています。
子どもが生きているのは、決して「子どもの世界」ではありません。
無防備な子どもたちこそ、社会全体の縮図を体現しながら生きている面がある。
ですから、子どもの世界からは大人たちの社会の実相がよく見えてきます。
子どもの世界に現れている問題は、実は大人の問題の写し絵でもあり、そこから私たち大人の生き方が鋭く問われているわけです。

同時に、子どもの世界だけを見ていると見えなくなってしまうことも少なくありません。
今回の白書では、子どもたちを取り巻く法的環境の変化がていねいに解説されています。
それは、子どもたちにとっては逆風の流れのように思いますが、その流れに抗うためにも、あるいは新しい流れを創りだしていくためにも、さまざまな現場の人たちが横につながっていくとともに、実践者と研究者とのつながりがますます大切になってきています。
これだけさまざまな現場で実践している人たちがつながって、研究者と一緒になって動き出せば、法的環境を能動的に変えていけるように思います。
いやそれこそがNPOの大きな使命ではないかと改めて思いました。
この白書の継続的な出版活動は、そうしたつながりを育てる場にもなっていくでしょう。
実践者たちの交流や問題をシェアしあう場が、もっともっと必要だと話し合いを聞いていて感じました。

もう一つ感じたのは、白書もそうなのですが、総じて「大人の視点」で語られていることです。
もっと子供たちが主役として登場してほしい。
子どもたちを語るのではなく、子どもたちの思いを聞きたい。
私は障害のある人や高齢者の問題にもささやかに関わらせてもらっていますが、当事者とそれを支援する人の見ている世界はかなり違うのが、いつも気になっています。
そもそも支援するという一方向的な活動ではなく、お互いに学び合っていくことが必要ですが、子どもから学ぶことは山のようにあるはずです。
子どもたちは何を困っているのか、そうしたことをもっと聞きたかった気がします。

話し合いではいくつかの話題が出ました。
たとえば、福祉と教育の関係、あるいはNPOと行政の関係。
また「地域施設」という領域の立て方の是非も議論されました。
いずれも湯島のサロンで時々話題になるテーマですが、子どもの視点で、そうした課題を話し合うことは大切です。

もう一つの大きな課題は、この白書をどうやって社会に広げていくか、言い換えればたくさんの人たちに購入してもらうか、です。
読んでもらって何かの行動につながっていくことが白書の目的です。
どうしたら広げられるかについても、いろんな意見が出されました。
みなさんも、もしよかったら購入して読んでみてください。
そしてできればまわりの人たちに紹介していただければ嬉しいです。
湯島でも購入できるようになりましたので、読んでみようという方がいたら、湯島に来た時に声をかけてください。

せっかくの機会なので、私もいくつか提案させてもらいました。
たとえば「子どもNPOラウンドテーブル会議の発足」です。
執筆者である、領域を超えたたくさんの実践者や研究者たちが、子どもたちが置かれている現状の問題を可視化し、公開フォーラムのスタイルで、ぜひ社会に発信していってほしいと思います。
そして、さまざまな立場の人を巻き込んで、時には子どもたちも巻き込みながら、全国各地で定期的に公開のラウンドテーブル会議を展開し、問題を解決していく実践につなげていく。
それは同時に、大人や高齢者も含めて、みんなが住みやすい社会になることにつながっていくでしょう。
子ども世界は大人の社会の写し絵なのですから。

子どもたちの直接の声を社会にしっかりと伝えていく活動も必要です。
NPO活動の一つの落とし穴は、問題の当事者と問題解決を支援するNPO関係者との思いが「ずれていくこと」です。
問題を観察者的あるいは支援者的に捉えるのではなく、当事者(この場合は子どもたちですが)と一緒に活動していく。
白書でもそうした事例はいくつか紹介されていますし、最近そうした活動も増えていますが、子どもたちがいまの社会を、あるいは今の大人たちの生き方を、どう見ているのかは、必ずしも社会に発信されていないように思います。
子どもたちが見ている社会の姿を、私たちはもっと学ばなければいけません。
これは子どもに限りません。
高齢者も障害のある人たちにも、すべてに言えることです。

日本子どもNPOセンターの「白書活動」の価値を、改めて実感したサロンでした。
書店や図書館に注文したりして、ぜひみなさんも、この白書の存在を広げていってください。
子どもたちの育ち方が、私たちの未来を方向づけていくのですから。

報告というよりも、思いを書きすぎてしまいました。
すみません。
引き続き、具体的なテーマについてのサロンもやってみたい気がします。
どなたか問題提起したい方がいたらご連絡ください。


Kodomo181021


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2018/09/20

■「子どもNPO白書2018」を読ませてもらいました

湯島に事務局を置いている日本子どもNPOセンターが、2号目になる「子どもNPO白書2018」を出版しました。
ざっとですが、通読させてもらいました。
創刊号に劣らず内容が充実しているので、この活動も軌道に乗ってきたことがわかります。
子ども関係のNPOはとても多く、その全体像はなかなか見えてきませんが、こうした白書の継続的な発刊を通して、さまざまな分野の活動がゆるやかにつながっていくことが期待されます。

第1号と同じく、白書は大きく「理論編と「実践編」に別れています。
理論編では、創刊号発刊後3年間の間に起こった、大きな変化について解説されています。
まずは法的環境の変化について、NPO法、児童福祉法、教育基本法の改正とその問題点が解説されています。
市民活動の視点から、改正の方向性に関する批判的な指摘もしっかりと行われています。
市民、それも実践者中心の手による白書であることの強みと言っていいでしょう。

NPO活動は、法的環境に大きく影響されますが、改正の動きを所与のものとして受動的に捉えるのではなく、むしろ法的環境を能動的に変えていくことがNPOの大きな使命です。
個々のNPOとしては、なかなかそうした使命は果たせませんが、そう言う意味でも、こうした白書づくりの意味は大きいでしょう。
子ども関係のNPOをつないでいく子どもNPOセンターの最大の役割はそこにあるように思います。
個々のNPOはどうしても目先の問題の対応に追われがちですが、ゆるやかにつながっていくことで、子どもの視点からの法的環境の整備にも関わっていくことができるはずです。

理論編では、法的環境と並んで社会環境の変化も取り上げられています。
自然環境、平和活動、SNSに代表される情報環境、さらには子どもの貧困への具体的な実践として広がりだしている子ども食堂などの動きなどが、多角的に語られています。

実践編は、第1号と同じく、領域別に具体的な活動事例や実践者の論考が展開されています。
いずれも実践を踏まえたものなので、説得力を感じます。
事例は、北海道から九州まで全国にわたっています。
第1号よりも、執筆者の顔ぶれが広がっているのも、うれしい前進です。
なお、資料編として、関係法や条文なども掲載されています。

日本子どもNPOセンター代表の小木さんは、「刊行によせて」で、今回も第1号で掲げた編集方針を大事にしたと書いています。
それは、「全国の子どもNPO活動の全体像が鳥撤できること」と「全国に点在する子どもNPOにヒントを投げかける理論と実践を紹介すること」の2つです。
この「白書」活動を継続していくことこそ、いま必要なことと確信している小木さんの思いは、着実に深まり広がっているようです。

読み物としても、資料としても、密度の高い、しかしとても読みやすい白書ですので、子ども関係のNPOに関わる人はもちろんですが、多くの人に読んでほしい白書です。
NPOのネットワークがつくる白書の継続刊行は、めずらしい活動ですが、個々の問題に取り組むとともに、そうした活動が横につながって、社会への情報発信をしていく活動こそが、市民社会を育てていくのではないかと思っている私としては、応援していきたい活動です。
ぜひとも多くの人に知ってもらい、この白書活動をさらに広げていければと思います。

ただ、そのためにもいくつかの課題はあるように思います。
私は第1号の紹介に際して、白書の内容として、2つの要望を書かせてもらいました。
ひとつは、「領域を超えた実践者たちが、今の子どもたちや社会をどう考えているかを話し合うような座談会」。
もうひとつは、「子どもにとっての活動の場である社会を、子どもたちはどう見ているのかという子どもたちの声」。
今回も残念ながらそうしたものはかなえられませんでしたが、第2号を読んでもう一つ感じたことがあります。
それは、小木さんが意図されているように、子どもたちの世界や子どもNPO活動の世界が鳥瞰できるように、この白書を図解化できないだろうかということです。
図解化することで、見えてくることも多いですが、それ以上に図解化することで、子どもNPO活動に降り汲んでいない人たちの理解は進むでしょう。
創刊号も含めた2冊の白書を材料にして、子ども世界の動向を鳥瞰図的に図解化するワークショップや研究会などができれば、きっと子供世界がもっと見えてくるような気がします。

これだけの白書をつくることに、関係者のみなさんがどれほどの苦労をされたかが少しはわかる者として、こうした要望を表明するのは、いささかの躊躇はありますが、逆にこれだけの苦労をさらに効果的なメッセージにしていくためにも、第3号にはそうした企画をぜひ入れていただきたいと思います。

せっかくできた白書ですので、ぜひこれを活用したフォーラムや集まりを、領域を超えて展開していっていただきたいとも思います。

ぜひ多くの人に読んでいただきたい白書です。
できれば一度、湯島でもこの白書を材料にサロンを企画したいと思います。
子どもの世界を見れば、これからの日本が見えてきますので。

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2018/09/01

■東京都自閉症協会の「声明文~相模原障害者支援施設での殺傷事件から2年を経て~」

東京都自閉症協会が、「声明文~相模原障害者支援施設での殺傷事件から2年を経て~」を発表しました。
前文に、「私たちは次のことを目標に活動していきます」と明言されているところに、協会の姿勢を感じます。
理事長の今井さんから、「当事者団体なので、主張と言うよりも自分たちがなにをしていくかを役員で話し合って声明にしました」とお聞きしました。
一人称自動詞で考えることを大事にしている私としては、その姿勢に共感します。

この声明に関しては、先日の相模原事件のアフターサロンでも話題になっていましたので、みなさんにもお伝えしたいと思います。
短いですので、ぜひお読みください。
http://www.autism.jp/news/2018/08/000889.html

最後に「障害者の幸せはあらゆる人の幸せにつながっている」と書かれていることに同感します。
しかも、それを「実際の活動を通して示していきたい」と表明しています。
私は、「大きな福祉」という理念で、これまで15年以上、NPOやいくつかの当事者団体ともささやかな接点がありますが、こういう姿勢の声明ははじめてです。

ぜひ多くの人に読んでいただきたいです。
この声明を中心にサロンを開きたくなっています。

声明文を、念のために貼り付けます。

<本文>
2016年7月26日に19名の利用者が殺害され、27名の方が重軽傷を負った事件から2年が
経ちました。

お散歩が楽しみだったAさん、お買い物が大好きだったBさん、みんなそれぞれ安心な
日々を送っていたはずです。そのかけがえのない毎日が一瞬で奪われてしまいまし
た。どんな場所で生活しようと二度とこのようなことがあってはなりません。誰もが
安心して暮らせる世の中を実現するために、私たちは次のことを目標に活動していき
ます。

1. 人の存在は経済的な価値ではかられるものではなく、生きていること・その存
在自体に価値があることを引き続き訴えていきたい
2. 重度知的障害者の支援施設での生活は管理が中心ではなく、楽しさや笑顔のあ
る毎日になるようにしたい
3. 自傷・他害リスクがある、生理三原則の達成に困難をかかえるというような要
支援度が極めて高い重度知的障害者を支援する職員の経済的、社会的地位を改善し、
その仕事に求められる人格や能力を有する人材を確保しやすくしたい

被告の行為は、名を成さんがために抵抗すらできない弱い者を殺傷した卑怯なもので
した。その背景には、人を経済的価値で考える世の中の傾向や、社会問題を暴力的に
片付けるという傾向が投影されているのではないでしょうか。

私たちは英知で、障害者の幸せはあらゆる人の幸せにつながっていることを、実際の
活動を通して示していきたいと思います。

2018年8月
NPO法人 東京都自閉症協会 今井 忠
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2018/06/28

■カフェサロン「九条俳句訴訟をどう思いますかーこれからの社会教育を考える」報告

「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」という俳句が引き起こした訴訟事件を材料にして、社会教育や市民活動のあり方を考えるサロンには、平日の夜にもかかわらず、13人の参加がありました。
この事件の概要に関しては、案内文にも書きましたが、先月出版された「九条俳句訴訟と公民館の自由」(エイデル研究所)に詳細な報告があります。
http://cws.c.ooco.jp/books.htm#180513

今回は、九条俳句訴訟市民応援団の世話人でもある佐藤一子さんにお話をしていただいた後、参加者で話し合いました。
佐藤一子さんは、50年以上、社会教育に取り組んでおり、湯島のサロンの参加者の中にも、佐藤一子さんの影響で社会教育に興味を持ったという人も少なくありません。
訴訟に関わってきたお立場からていねいに事件と訴訟の話を紹介してくれた後、「社会教育の公共性の意義をどうとらえるか」、そして「問題の背景、本当の原因をどうとらえるか」という問いかけを参加者に投げかけました。
そこから話し合いが始まりました。

話し合いは「社会教育」という言葉を初めて知ったという発言から始まりました。
その方は社会の問題にとても関心が深く、ご自分でも様々な活動をされている方ですが、そうした方からの思ってもいなかった発言に私自身目を覚まさせられた気がしました。
また逆に、この分野に造詣の深い北本市の市会議員の方が、公民館の始まりから現状まで、そしてこうした事件に対する行政や教育委員会などの対応の制約などを、とても具体的に話してくれましたが、これまで腑に落ちなかったことのいくつかがわかったような気がしました。
サロンには、いろんな立場の人が参加してくれますので、問題の見え方がとても豊かになります。

この事件を授業で取り上げたという看護専門学校の先生が、学生たちの反応を資料にまとめて報告してくれました。
憲法の意味も含めてきちんと情報を提供し話し合うことで若い世代の人たちがしっかりした評価をし、問題を的確に深めていくことが示唆されていたように思います。

現在この事件は地裁、高裁と住民側が勝訴していますが、行政側が最高裁にまで持ち込んでいます。
最近の裁判の風潮を考えると最高裁での原告敗訴が心配で、日本の社会はもうそこまで来てしまっているという懸念も数名の方から表明されましたが、そうであればこそ、この問題をもっと広い範囲で取り上げていくことが必要だと改めて思いました。
万一最高裁で逆転敗訴になったら、それこそそれを材料に動きを広げていかねばいけません。
学校教育での日の丸・国歌の話題も出ましたが、教育は「国民」の思想形成を通して、国家の未来を方向づけていきます。

この、もしかしたら事件にならなかった問題の意味をしっかりと受け止めて、社会への大きな警告へと高めてきたのは、この俳句の詠み手と俳句サークルの代表代行の方に依るところが大きいと佐藤一子さんは話されました。
お2人とも戦争体験にもつながっている高齢の女性ですが、その子とは偶然ではないでしょう。
また、佐藤一子さんは、俳句という活動を通して社会を捉える感受性を高めてきたことの意義にも言及されました。
とても共感できます。
経済活動にばかり目を向けていては、そうした社会性や批判精神は育ちません。
そこにこそ「社会教育」の本質はあったはずですが、いまはむしろその逆方向へと向かっているようにさえ思えます。

やはり「茶色の朝」シリーズのサロンを広げていければと思います。
「九条俳句訴訟」をテーマにしたサロンも、みなさんのまわりでもぜひやってみてください。
もしお手伝いできることがあれば、協力させてもらいます。

今回は元教師や社会教育、あるいは学童保育などに取り組んでいた研究者や実践者も複数参加してくれました。
いつもよりも長目に時間を取っていましたが、やはりそれでも終わりませんでした。
たくさんの刺激と宿題をもらった気がします。
8月には「学校教育」を取り上げたいと思っていますが、どなたか問題提起をしてくれませんか。


Kujousalon180627


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2018/06/06

■宮田喜代志さんを囲むコムケアサロンの報告

久し振りに熊本の宮田喜代志さん(小規模多目的ホーム明篤館館長・農福連携研究者)のサロンを開催しました。
宮田さんは、さまざまな分野で活動していますので、大きくは「福祉と農業」を基軸に最近の活動の紹介をしてもらいました。
10人の参加者がありました。
今回は思いきり主観的な報告をさせてもらいます。

宮田さんは、大きくは5つの話題をたくさんの資料を使って話してくれました。
大学新設、農福連携、フェアトレード、熊本地震と障害者支援、西本省三。
いずれも宮田さんが当事者として取り組んでいるお話ばかりです。

それらはバラバラの話題のようですが、宮田さんはそれらがしっかりとつながっていることを最近改めて実感してきた、とお話になりました。
たしかに5つの話題は、それぞれに完結してもいるのですが、人や社会を育てる大学を創る話からはじまった宮田さんの話は、最後に、中国研究者の西本省三は中国人をリスペクトしていたという話で、5つの話のループを完成させました。
キーワードは、人と人の関係性です。
宮田さんの人柄と生き方が、見事につながった話だったと思います。

大学を創る話や西本省三(宮田さんの縁戚の人)の記録をまとめるという話は、今回初めてお聞きしましたが、とても宮田さんらしい話だと納得しました。

そうした話題の中で、ご自身が対応しているケーススタディ的なお話もあり、そこでは「中動態」発想を活かして関係性を立て直していく最新のカウンセリングの体験なども、とても具体的に紹介してくれました。
その一方で、なぜ日本は日清戦争に勝利したのかというような話もあり、退屈しませんでした。

もっとも話題があまりにも多いので、私自身必ずしも消化できたわけではありません。
しかし宮田ワールドが目指していることや、それが今何を引き起こしているはなんとなく伝わってきました。
宮田さんの話は注意深く聞いていると、実に深い含意があります。
それを肩に力を入れることなく、さらっというので、聞き流すこともあるのですが、宮田さんにはラディカルさとリアリズムが、矛盾なく混在しています。
今回の話も、まさにそうした多様なものが混在しながらも、宮田さんの核はまったくぶれることなく、だからといって呪縛されることもない柔軟な生き方が語られていました。
それもあって、話し合いのところでは、農業の教育力とか農福連携の実状とか、福祉の世界の話とか、経済と社会の関係の話とか、いろいろと示唆に富む具体的な話題もでました。

公開は避けますが、宮田さんの個人的なビッグニュースもいくつか紹介されました。
これからは少し時間ができそうと言っていましたが、たぶん時間ができたら、さらに新しいことに取り組んでいく人ですから、むしろますます多様で多用な人生になって行くでしょう。
また時々、宮田さんの活動から社会の状況を垣間見るサロンをやってほしいと思います。

宮田さんが持ってきてくれたスリランカのインクルーシブコーヒーもみんなで楽しませてもらいました。

参加した人にだけしか伝わらない報告ですみません。
Miyata180605


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2018/05/21

■カフェサロン「世界は変えられる!子どもがそう信じられる社会に」報告

日本子どもNPOセンターが、ブックレット「児童労働、NPO/NGOのチャレンジ」を出版したことのお知らせもかねて、そこで取り上げられているNGOフリー・ザ・チルドレン ジャパン(FTCJ)の代表の中島早苗さんをゲストに、サロンを開催しました。
このタイトルにとても魅かれた私としては、たくさんの人で会場が大丈夫かなと実は心配していました。
実際には参加者は13人でしたが、半数は日本子どもNPOセンターの関係者で、ある程度問題を知っている人たちでした。
やはり「児童労働」というテーマは身近には考えてもらえないのかと、少し残念な気がしました。

フリー・ザ・チルドレンジャパン(FTCJ)については、案内文に書きましたが、次のサイトに紹介されています。
http://www.ftcj.com/

現在、世界には約1億5000万人の児童労働者数がいるそうです。
5歳から17歳の子どもたちの10人に1人が、義務教育を十分に受けられない状況に置かれているということです。
こうした状況を変えていこうと思い立ったカナダの12歳のクレイグ少年がはじめたのが、「フリー・ザ・チェルドレン・プロジェクト」です。
クレイグ君は、実際に各地の児童労働の現場に行き、悲惨な児童労働の実状を目の当たりにします。
問題はとても大きく、子どもである自分に何ができるだろうか。
彼を勇気づけたのは、マザー・テレサの「若者には世界を変える力がある」という言葉でした。
そして、今やクレイグ少年の活動は、世界に広がる大きな運動になってきているのです。

中島さんは20代の時に、アメリカでこの活動を知って、1999年に日本で活動を始めました。
知った以上は何もしないわけにはいかないというのが中島さんの気持だったようです。

クレイグさんや中島さんたちは、「自分にできることを、自分に関心のあることに活かせていけば社会は変わる」と考えています。
人は誰でも「贈り物」(Gift 才能)をもらっている。
そのGift(才能)を、社会の気になる問題(Issue)に向けていこう。
そうすれば世界は変えられる。
“Gift+Issue=Change”。
好きなことを活かして変化を起こそう!世界を変えることは自分を変えることだ、というわけです。
その信念に基づいて、できるだけ多くの子どもたちに、それを実感できる場を創っていこうというのが、中島さんたちの活動です。
そして、そうした体験をした子どもたちは、変わっていく。
そして世界も変わっていく。
とても共感できる活動です。
「世界は変えられる!」と、子どもたちが信じられる社会になれば、世界は変わっていくでしょう。

お話を聞いた後、いろんな話が出ました。
まずは、家族労働と児童労働とは違うという話がありました。
家族が支え合って、子どもの頃から家族と一緒に働くのは、むしろ肯定されるべきかもしれません。
教育を受けられずに、文字が読めないことが生命にかかわってくる事例も話題に出ました。
ご自分の体験から、他国の文化に関わっていくことには慎重でなければいけないという意見も出ました。
豊かな日本の子どもたちよりも、経済的に貧しい国の子どもたちのほうが、目が輝いているという話もありました。
またNGOだけでは限界があるので、行政も巻き込んだ方がいいのではという意見もありました。
大人たちが、そうした子どもたちを応援することも重要だという指摘もありました。
たぶんみんなそうなのだと思います。

しかし私は、やはり「子どもたちが主役になって動き出したこと」に、新しい時代のはじまりを感じました。
その一方で、日本の子どもたちの置かれている状況はどうなのだろうかと思いました。
さらに日本の大人たちはどうだろうか。
「世界(社会)は変えられる」と思っている大人たちはどのくらいいるのだろうか。
いろいろと考えさせられるサロンでした。

ちなみにクレイグさんたちの活動は、名称を“WE movement”と変えていますが、アメリカ各地で“WE day”という子どもたち主役の集まりをやっています。
ネットで動画が見られますので、ぜひご覧ください。
https://www.facebook.com/pg/WEmovement/videos/?ref=page_internal
中島さんたちは、3年後に日本で “WE day”を開催したいと考えています。
そのために資金的な支援を含めて、この動きをたくさんの人に知ってほしいと考えています。

未来は子どもたちが創っていきます。
しかし、大人も、その子どもたちを支援することはできます。
“Gift+Issue=Change”は、大人たちにも当てはまります。

フリー・ザ・チルドレンジャパン(FTCJ)のサイトをご覧になって、何かできることが見つかったら、ぜひ応援してください。
http://www.ftcj.com/
私も、「世界は変えられる!」と、改めてまた確信しました。
元気が出るサロンでした。

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2017/11/05

■カフェサロン「重度知的障害のある人の一人暮らしとコミュニティ」報告

風雷社中代表の中村さんのサロンは、三連休のど真ん中にもかかわらずに10人を超える集まりになりました。
最初に、中村さんたちがやっている、シェアハウス&コミュニティスペース『Transit Yard』で自立生活をする重度の知的障害のある青年げんちゃんの映像記録を見せてもらいました。
自立生活支援の活動の映像かと思っていたら、そうではありませんでした。
さりげない生活風景をただ映し出しているものです。
しかし、すっかり見入ってしまいました。
そこからさまざまなものが伝わってきて、いろいろと考えさせられました。
障害とは何か、自立とはなに、支援するとはなにか、そしてコミュニティとはなにか。
同時に、屈託のない、げんちゃんの笑顔と周りの人のすごく自然な表情や態度と、げんちゃんのお母さんのとても素直な言葉が、強く残りました。
さりげない映像の持つメッセージ性の大きさに改めて気づかされました。

中村さんたちの取り組んでいる活動やスタイルにもとても共感しました。
タイトルに中村さんが「コミュニティ」という言葉を入れた意味もよくわかりました。
実はあまりに多くのものをもらったので、消化できずに、今回も報告を書くのが遅れてしまいました。
しかし、今回ほど、自分の生き方に重ねあわせて考えたことはありません。
そうした「気づき」を、うまく言葉として書けないのが残念ですが。

Transit Yardではさまざまな生活がシェアされています。
現在はげんちゃんとフォトジャーナリストの人が住んでいて、1階(3階建ての住宅です)では今回も参加してくれた石川さんがイベントスペースを展開していて、そこではさまざまな人の集まりやイベントが行われているそうです。
げんちゃんが暮らしているTransit Yardは、施設でもグループホームでもなく、げんちゃんにとっても、またそこに関わっている人たちにとっても、コミュニティ的な存在なのです。
そして、そこにはまさにげんちゃんのコミュニティがある。
コミュニティの仲間同士での、支え合いや助け合いがある。
もちろんトラブルもあるのだろうと思います。
しかし、強い絆に呪縛されるような、拘束的なコミュニティではなく、ゆるやかな開かれたコミュニティを感じました。
アソシエーションではなく、まさに、トランジット・コミュニティ!。

映像を紹介してくれた後、中村さんはたくさんのことを話してくれました。
なぜ、げんちゃんと関わるようになったのか、Transit Yardを始めたのか。
自立支援制度に関する話も出ましたし、Transit Yardへの世間の目の話もありました。
いろいろと話し合いもありましたが、今回、私は自分のことと重ねていろいろと考えてしまったこともあり、あんまり思い出せないのです。
すみません。

でも、私が質問させてもらったことは少し覚えています。
げんちゃんのおかげで、とても人間的なコミュニティが育っているのではないかという私の感想には中村さんはあんまりうなづいてはくれませんでしたが、でも、げんちゃんはまわりの人に喜びや幸せを与えているというような話をしてくれました。
また、この15年ほど、日本の福祉行政は劣化しているのではないかという私の意見に、中村さんは全体としての障害を取り巻く社会環境はよくなってきていると教えてくれました。
現場の人がそう思うのであれば間違いありません。
そして中村さんから、マイナス面だけに目をやらずに、むしろ良くなった点を活かしていく方がいいと諭されました。
その言葉に、私は自らの姿勢を大きく反省しました。

参加者のなかには、さまざまな立場や方法で同じような活動に取り組む人たちが多かったのですが、NPO法人ぱれっとで活動している人たちがいました。
ぱれっとでは、障がいを持つ人と持たない人が一緒に暮らす家「いこっと」を運営していますが、ぱれっとの人たちの話もとても示唆に富むものでした。
http://www.npo-palette.or.jp/index.html
いつか話をしてもらいたいと思いました。

こうした実例が広がってくれば、障がいということへの意識が勝っていくだろうと思います。
なによりも、障がいを持つ人の親の意識も変わっていくかもしれません。
もちろん障がいを持つ人自身も。

今回のサロンでは、福祉の本質が語られたような気がします。
もっと多くの人に聞いてもらいたい話でした。

風雷社中では、RANSIT YARDで、毎週のように、重度知的障害者自立生活の記録 【げんちゃんの記録①〜③】の上映会&茶話会を開催しています。
案内は、下記にありますので、ぜひ一度参加してみてください。
https://www.facebook.com/events/1993776757532963/

また、案内の時にも紹介しましたが、げんちゃんに関しては、新聞でも報じられたことがあります。
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/genchan?utm_term=.dnJjjMYxzW#.yv0JJQwlrd
これもぜひ読んでみてください。

最後に中村さんは、いま取り組んでいる「知的障害者の自立生活についての声明」の話をしてくれました。
中村さんたちが目指しているのは、知的障害のある人たちが、自分が生まれ育った地域で安心した生活をしていけるような社会ですが、それは同時に、認知症になっても安心して生活できる社会につながっていくことを中村さんは気づかせてくれました。
こう考えると、「知的障害者の自立生活」とは、すべての人に無縁ではない話です。
これも今回、私が気付かせてもらったことの一つです。

「知的障害者の自立生活についての声明」もぜひお読みください。
https://jirituseikatu.jimdo.com/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E8%87%AA%E7%AB%8B%E7%94%9F%E6%B4%BB%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%A3%B0%E6%98%8E%E6%96%87/%E5%A3%B0%E6%98%8E%E6%96%87%E7%B4%A0%E6%A1%88/
この声明への関心を広げていきたいです。

いつものように偏った報告ですが、なにしろ最近のサロンは受け取る情報が濃密で大量なので、消化するのが大変です。
長い報告を読むのも大変だと思いますが、書くのもそれなりに大変なのです。
ぜひみなさん湯島のサロンで直接話し合いに参加してみてください。
私の報告など思いも及ばない気付きが得られると思います。

中村さんと石川さんはじめ、参加されたみなさんから、たくさんの宿題をもらったことに、感謝します。

Nakamura20171104


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2017/08/08

■ほっとスマイルプロジェクトがスタートしました

ご案内の通り、「スマイル記念日」とされている8月8日、ホットなスマイルを広げていこうという、壮大な思いをもって、ゆるやかなネットワーク「ほっとスマイルプロジェクト」が立ち上がりました。
台風が心配されていましたが、幸いに台風の影響もなく、14人の人が集まりました。

「ほっとスマイルプロジェクト」は、NPO法人認知症予防ネットを中心にして全国に広がってきている「みんなの認知症予防ゲーム」の実践者の交流会のなかから、生まれたものです。
これまでの何回かの交流会の中で、単に認知症予防のためのゲーム活動だけではなく、「だれもが気持ちよく暮らせる明るい社会」に向けて、実践者がゆるやかにつながりながら、活動分野も少しずつ広げていけないかという意見が出てきました。
これまでも何回か産まれそうになったことはありますが、いつもどこかで曲がってしまいましたが、ようやく大きな方向での合意が育ち、今日、スタートにたどり着きました。

しかし、みんな忙しい時間の合間を活かして、活動している人たちばかりですから、新たに新しい組織を立ち上げたり、そのために時間を取られたりするのは難しい。
そこで、
・それぞれが取り組んでいる現在の活動を、そのまま活かしたカタチでつながっていく。
・他の人の活動をシェアしながら、ゆるやかな協力関係を育てていく。
・定期的に集まる場をつくる。
ということを基本にし、さらに、
・みんなの認知症予防ゲームを核におきながらも、ほかの活動ともつながっていけないか。
・認知症予防だけではなく、子どもも含めて、社会全体を元気にしていくことはできないか。
といったことを目指そうということになりました。

そこでまずは、「笑顔を世界中に広げよう」という主旨に共感してくれる人たちの、ゆるやかなネットワークをつくることになったわけです。

そうした経緯から、今回は「みんなの認知症予防ゲーム」の実践者が中心でしたが、徐々にネットワークを広げていくことになりました。
活動の内容も、これからみんなでゆっくりと育てていくことになりました。

参加者それぞれの活動内容の紹介の後、ネットワークとしてどんなことがあればいいかなどの話し合いを行い、これからの方向性がなんとなく見えてきました。
それぞれの体験を話し合うだけでも、大きな気づきや刺激をそれぞれ受けたのではないかと思います。
当面は、フェイスブックを中心にそれぞれの活動をシェアしながら、なかまをふやしていくことになりました。
ご関心のある方は、ぜひフェイスブックのコミュニティに参加してください。
https://www.facebook.com/groups/1607233655975417/
ご自分の簡単な紹介や参加の意図などを送ってもらえればと思います。
みんなの認知症予防ゲームを実践されている方はそのことをお書きください。

また定期的に、交流会や勉強会も行っていく予定です。
ネットワーク全体として活動するというよりも、当面はメンバーそれぞれがいろんなプロジェクトやプログラムを起こしていくというスタイルです。

まだスタートしたばかりですが、ゆっくりと、小さく、しかし大きなビジョンを持って、仲間が広がっていけばと思います。
内容に関する問い合わせなどは、フェイスブックのコミュニティにお願いします。

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2017/07/31

■箸ぴーゲームサロンの報告

久しぶりに湯島で「箸ぴーゲーム」サロンを開催しました。
湯島に来た人は体験した方も少なくないと思いますが、殻つきのピーナツを箸で1分間にいくつ移動できるかを競うゲームです。
国際箸学会を立ち上げた小宮山さんの創案したもので、これまでもいろんなところで開催していますが、昨年は小宮山さん自らがアメリカのシアトルに出かけてやってきました。
ゲームの効用もいろいろと出てきています。
多文化交流や多世代交流にも効果的ですし、認知症予防や養護学校などでの活用も進んでいます。
詳しくは、国際箸学会のホームページをご覧ください。
http://www.kokusai-hashi.org/index.html
今回はさらに、新しい「箸輪ゲーム」もお披露目してもらいました。

サロンには12人が参加しました。
みんなそれぞれに、暮らしやすい社会を目指していろんな活動をしている人たちです。
高崎から参加してくれた方もいます。
ゲームの公式審判員(制度化されています)の二宮さんも参加してくれました。

小宮山さんからこのゲームへの思いを語ってもらった後、みんなでゲームを体験しました。
はじめての方もいましたが、みんなとても高スコアなのに驚きました。
このゲームの効用はいろいろありますが、副次効果として、利き手でないほうも使うので、両手使いとまでは言えませんが、利き手以外のほうも活性化されます。
それと箸の使い方が改善されるのです。
テレビでも取り上げられましたが、このゲームを活用している養護施設もあります。
時間がなかったので、今回は映像は流しませんでしたが、希望者にはDVDが配られました。
毎年、「箸りんぴっく大会」も開催されています。
http://www.kokusai-hashi.org/pg104.html
すごい記録も出ています。

つづいて、新しい箸輪ゲームにも挑戦しましたが、これはまだ開発段階なのでゲームを競うまでには行きませんでした。
これは箸の多様な機能を使う「5種競技」になっています。
ゲーム体験型サロンだったので賑やかなサロンになりました。

実はこのサロンは、あるプロジェクトのプレイベントでもありました。
こうした誰もが元気になるゲームなどを活用して、社会に笑顔を広げていく活動に取り組んでいる人たちのゆるやかなネットワークをつくろうという思いの人たちがなんにんか集まりだしていますが、その人たちの話し合いのなかから「ほっとスマイルプロジェクト」というのを立が得ることになったのです。
サロンの最後に、その呼びかけが呼びかけ人の櫻井さんから行われました。
すでにフェイスブックも立ち上がっています。
またキックオフイベントを8月8日に湯島で開催する予定です。
関心のある方はご連絡ください。
また箸ぴーゲーム等に関心のある方もご連絡ください。
さまざまな効用のあるゲームですので、もっと広げていければと思っています。

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2017/07/09

■コムケアサロン「無縁化防止に取り組んで6年」報告

今回のコムケアサロンは、6年前に「無縁化防止団体OMUSUBI」を立ち上げた心理カウンセラーの北原千香子さんに話題提供をお願いしました。
12人の人が参加しました。
無縁化防止団体OMUSUBIのミッションは、「孤独で居場所のない思いを抱えている人を一人でも少なくする」ことです。
そのため、毎月2回「ホームルーム」という居場所づくりをしています。
なぜOMUSUBIなのか。
おむすびを食べながらのサロンなのかと思いましたが、そうではなく、OMUSUBIのOの文字が丸い円に見えることから、円=縁をむすぶ、おむすびと命名したそうです。

Kitahara201707

北原さんがこの活動を始めようと思ったのは7年前の2011年2月。
あの3.11の1か月前です。
NHKスペシャル「無縁社会」を見て、雷に打たれたような強烈な感覚で、孤独死を防ぐために何かをしなくては、と思ったことがきっかけだったそうです。
北原さんは「あれは今でも不思議な体験です」と言っています。
それまで精神科クリニックや企業でたくさんの人の話を聞く中で、孤独な人が多いと感じていたこともあって、ともかく何かをしなくてはと思い、仲間と一緒に、まずは人の集まる場所を探し出したそうです。
そして始めた「ホームルーム」という居場所の提供は、いま7年目を迎えています。
しかし、一緒にやっていた仲間も転勤や仕事などの関係で活動が難しくなり、いまは北原さんがほぼ一人で活動を継続しているそうです。

私がとても共感するのは、思い立ってすぐに活動を起こす姿勢、欲張らずにできることからやってしまう姿勢、一人になっても持続していく姿勢です。
北原さんは、テーマを決めたり、世代を限ったりではなく、だれもが気楽に集まれる場をつくりたいと考えていますが、それにもとても共感できます。
そういう漠然とした活動には、行政もなかなか耳を傾けてくれませんが、いま必要なのは「個別問題の解決」ではなく、だれもがホッとする場を広げていくことだろうと思います。

北原さんの話を聴いていると、だれもがもしかしたら自分でも取り組めそうだと思える気になります。
しかし、実際には、こういう活動を持続していくことが一番難しいのかもしれません。
それに大変なこともあります。
つい最近ですが、集まりに来てくれる独り暮らしの人がなぜか来ないので、気になってご自宅を訪問したら、亡くなっていたそうです。
警察から北原さんは関係を質問され、普段付き合いのある近隣の知り合いというよりも説得力があるだろうと思い、無縁化防止団体OMUSUBI代表と自己紹介したそうです。
そうしたら、警察からはむしろ、不信感を持たれてしまったらしいのです。
最近は、高齢者などを対象とした、いささか怪しい団体が多いということを示唆している話のように、私には思えました。
そこにこそ、最近の福祉の深い問題があるように思います。
北原さんにとってもきっと大きなショックだったと思います。

無縁化防止団体OMUSUBIは任意団体です。
私は、NPO法人よりも、こうした住民たちのささやかな活動こそが大切だと思っています。
それも、だれもがその気になれば取り組めるような活動こそが、社会を変えていく。
困っている人たちを支援していくというようなサービス提供活動よりも、お互いに支え合う仕組みこそが本来的な市民活動ではないかと思うのです。
それにOMUSUBIに集まった高齢者が、それぞれの自宅でまた集まりを開いていけば、それだけでも「無縁社会」を変えていけるでしょう。
そこに私は、北原さんの活動の大きな意義と可能性を感じます。

いろいろと示唆に富む話し合いはありましたが、3つだけ紹介しておきます。
人が孤立しないためには、社会のなかでの役割があることが大切だという意見がありました。
あまり集まりに参加したがらなかった父親が、ある役割を見つけて以来、進んで参加するようになったという体験も紹介されました。
ただ人をつなげばいいわけではなく、つながるためには、やはりお互いの役割がみつけられるようにすることが大切で、そのためには参加者を「お客様」にしないことも必要かもしれません。
人はみんな、世話されるよりも、世話する方が楽しいのです。

活動を広げていくためには、工夫も必要かもしれないという話もありました。
人はそれぞれ得意なことややりたいことを持っています。
OMUSUBIの集まりでも川柳が好きな人がいて、いまは川柳もメニューの一つになっているそうです。
今回のサロンには、箸ピーゲーム、ラフターヨガ、琵琶で万葉集を語るなど、さまざまな活動をしている人が参加していましたが、そういう人に遊びに来てもらうだけで、仲間が増えたり、別の世界の人たちが仲間になってくれたりするかもしれません。
今回参加してくださった方は、北原さんから声がかかればきっと集まりに参加して、何か新しい風を吹き込んでくれることでしょう。
そういうかたちで、人のつながりが育っていけば、お金を介さずにできることはたくさんあるはずです。

とはいえ、活動には時にはお金が必要で、資金を提供してもらうための活動も必要かもしれません。
北原さんは、企業から助成金を提供してもらうためには企業にどういう価値を提供できるかという問いかけをしました。
活動の主旨をしっかりと相手に分かってもらうためにはそれなりの準備が必要ですが、要はその活動に価値を見出してくれる人を見つけることかもしれません。
ただ私はこの問題に関してはちょっとこだわりがあるため、いささか誤解されそうな発言をしてしまい、反省しています。
私は、そもそも「助成金をもらう」という発想が、間違いではないかと最近思いだしています。
「もらう」というよりも「活用してあげる」と考えられないか。
お金をしっかりと活用していくことで、むしろ相手を助成するのはこちら側。
ますます誤解されそうですが、助成金をもらっているという発想があると出資者への借りの感覚が生まれてきますが、活用させてもらうという発想が持てれば、自らの活動に自信が持てます。
なんだかとても傲慢なことを言っているように聞こえると思いますが、お金を稼ぐのと同じくらい、お金を活用するのは難しいことだと私は思っています。
いつかこの話題でのサロンもやってみたいですが、まだ私自身、説得力のある論理建てができていません。

いつもながら、話し合いのほんの一部の、それも私の視点での紹介になってしまいました。
北原さんの話を聴きながら、改めて福祉の原点を考えさせられました。
それと北原さんのような(華やかな世界を歩んでいた)若い人が、「無縁社会」に強く反応されて、行動を起こしたことにとても興味を持ちましたが、そこは残念ながら、突っ込こめずに終わってしまいました。

このシリーズも3~4回続ける予定です。
もし話題提供したい方がいたらご連絡ください。


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